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メフィストフェレスの定理 地獄シェイクスピア三部作 みんなのレビュー
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紙の本
突き抜けたおもしろさ。
2015/11/30 09:03
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:紗螺 - この投稿者のレビュー一覧を見る
副題「地獄シェイクスピア三部作」。とにかくおもしろかった。読んでいても笑えるし展開が気になるし、シェイクスピアの作品を下敷きにしていてそれを換骨奪胎…というより、全く新しいものにしてるところがひとつの文学として完成しているように思う。
下敷きにしてるのは「リア王」「マクベス」「ロミオとジュリエット」で、それぞれ地獄を舞台に悪魔やメフィストフェレスやベルゼベルらが軸となって話が進む。
最初の話は悪魔がゴネリルとリーガンを魔女に取り立てようとしていて、ふたりはどちらが悪辣かを必死で争う(そこがおかしい)のだが、実は悪魔は…というどんでん返しがある。ゴネリルとリーガンが言う悪口は強烈で、ひどすぎるあまり滑稽に思えてくる。そのいっぽう、コーデリアの純粋すぎるせりふを聞くと、空々しくてふたりの姉のほうが人間味があるような気がしてくる。この辺がまた、うまいところだ。
「マクベス」は内容としては一番深い。地獄である意味達観の境地に至ってるマクベス、地獄を謳歌している様子を憂えた悪魔は天国に彼を追い払おうとする。途中まではコミカルに描かれるが、マクベス夫人が子どもを殺した事実が判明する下りから一気にシリアスに、そしてマクベスはマクベス夫人を抱えて自分にとっての地獄を求めて地獄から飛び出していく…。劇ならではの飛躍した展開が印象的で、一番完成度が高いように思う。
「ロミオとジュリエット」は〈恋を夢見る夢子ちゃん〉状態になっていたジュリエットの目が土壇場でさめる場面が、それまでの各々の自己中心的などろどろした欲望を洗う感じでよかった。
三篇それぞれ読み応えあり。こういう作品を、もっと読みたい。
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