紙の本
様々なことに対して大きな示唆を与えてくれる
2016/11/17 09:52
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投稿者:ナミ - この投稿者のレビュー一覧を見る
実に様々な面から、様々なことについて自由自在に語られており、示唆に富む部分も多々あるが、様々なことが回り回って結局は「人間とは不可解なものであり、理解することは出来ない存在である」というところに行き着いているように思われる。このことは又、「人間とは常に変化するものであり、ある状態(型)に固定化してみれるものではない」とも言えそうである。随筆という形式で、哲学的な概念を語る形式なので、哲学的議論が不得意な私には少々持て余し気味である。とは言え、様々なことに対して大きな示唆を与えてくれることは確かである。
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自分がどういう人間になりたかったのか、どういう人に憧れていたのか、ということをふり返り考えてみると、まさに白州正子のような人なんですよね。つまり「目利き」。見て物の価値が分かる人というのに憧れていて、今でもそうなりたいと思っていることに最近気づきました。本物のを分かるようになりたいけれど、せめて自分の好きなものぐらい分かっていたい。
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きっと一回読んで何かが身につくとかそんな簡単なものではないんだよなぁ白洲さんの文章は。
何度も繰り返し読んで咀嚼したい。
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ごくごく短いエッセーが57編。初出は1948年、白洲氏40歳前、ごく初期の頃の随筆です。本格的な執筆活動はこの20年後。まだ、初々しさが感じられる文章ですが、格言めいた言葉の連なりや古典や美術に通じた話題が後年の著作を彷彿とさせます。
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1948年2月刊行とあるから、白州正子が38歳前に書いたもの。
私はこれまで、彼女のことを“白州次郎の妻”としてしか知ることが無かったが、この年齢で世の中の本質をこのように見つめていたことを考えると、能を通して馴染み、触れた時間の厚みを感じ、想像せざるを得ない。
最近、この時代の作家たちの作品を読むことがあるのだが、そこに描かれる登場人物たちの、溢れんばかりの教養やそれを踏まえての世の中への眼差しを感じさせられる。
たしかにそこに描かれているのは、裕福な環境に育った者たちが多いこともあるが、それにしても、現代の私たちとは大きく違う世界像が描かれている。彼らの育んでいた豊かな教養や智慧といったものが、こんなに短期間に、日本という国から失われているのかと愕然とする思いがする。
そうは言っても、つい最近まで自分も“失わせしめている”側にいたことに気が付かなかったわけだけれど。
これは“時代の変化”、“科学の発展”といったことでその分“置き去りになった人間”として片付けることはできないところまで来ている。
『社会が傷めば、人が輝く』というが、まだまだ、この社会の劣化は底を打たずに、堕ち続けるのか、輝きを取り戻すにはもっと深い闇を見ないと再生できないのか。
と感慨が深い。