紙の本
傷をを負った人間たちの再生の物語
2019/09/06 21:57
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投稿者:まなしお - この投稿者のレビュー一覧を見る
最初はホラー小説かファンタジー小説かと思ったが、違った。これは傷を負った人間たちの再生の物語である。4話からなっているが、最初はわき役だと思っていた人の存在感がだんだん大きくなってくる。そしてその人の行動や言葉が後で大きな意味を持ってくる。とても巧みな小説でもある。
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小暮写真館
2016/04/20 17:34
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投稿者:のん - この投稿者のレビュー一覧を見る
偏屈で変人の20代女性とまだまだ幼い高校生男子の(結果的には)悲恋の物語と言ってしまえばそれまでなのですが、それでは語りきれない魅力があります。ラストは感涙必死。
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結局何だか良く分からず
2014/07/22 09:31
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投稿者:ひろし - この投稿者のレビュー一覧を見る
上巻よりもさらに長い下巻。うーん・・・やはり最後までテーマというか、どこに気持ちを持ってっていいのか分からぬままに終わってしまいました。がっしりと物語の中軸を為す存在、のような物が感じられず。作品タイトルやその表紙写真から想像するにほのぼのとした人間ドラマかと思いきや、上巻を読み始めると「心霊物」のようでちょっと驚かされ。それが「生き霊」といった都市伝説的な物になってきたかと思えば、段々と人間関係のしがらみが濃くなってきて。下巻に至っては、主人公の一族の骨肉の遺産相続争いとが始まってしまう。そして最後の方はなんだか「電車っていいな」、「駅」からまた新しい人生の出発だ・・・みたいな感じで、感動的に仕上げてはあるんだけど、結局テーマがぼんやり。幽霊のじいさんは後半ほぼほったらかしになっちゃったし。たくさん出てきた登場人物やその人間関係も、ちょっとリアリティがない上何だかキャラクターが弱くて感情移入出来ず。うーん、先入観を最後まで捨てきれなかったせいなのか、最後に心に残る物がない。これ、上下巻で長々と描く内容だったのか・・・とちょっと疑問にさえ。
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なんとも
2015/09/13 07:09
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投稿者:きままかぜ - この投稿者のレビュー一覧を見る
最後まで小暮写真館が主役の物語に徹してほしかった。恋愛の要素があってもいいけれど小暮写真館を前半で強く意識させすぎたので、恋愛がメインだったのかと感じさせたラストの感動も色あせたものになってしまったのが残念。
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宮部みゆきさんらしいハートフルな作品で,とても面白かったです.昔の宮部さんの作風かなと思ってたけど,ちょっと違う気もする.これは進化なのか,それともある種,作者のメッセージなのかなとも.何にせよ,次の作品も絶対に読もうと思います.
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下巻に突入。なんとなんと、ゆったりまったり殆ど何も起こらなかった上巻とは異なり、下巻に入ってグッと面白くなってきたぞ。
不登校の子が残したこれまた写真の謎を解きながら、一方では幽霊が空き巣を撃退したことから転じた小暮さんの生き様の物語が絡み、そこから花菱家における次女の死をめぐって父母が持つ葛藤や、英一も弟の光も心に苦しみを隠して生きてきたことがポツリポツリと見えてくる。
兄弟で風子をみる件りの切なさといったら…。
ここに来て、何にも起こらない中でも、人として、家族として生きることそのものが大層なことなのだと知らされる。
垣本女史との緩やかな心の交流や親しい友人との長閑な親交を通じながら時が流れ、これもまた人生の愉しみと知れる。
キレイな風景が印象的な表紙の本なのだけど、そこがどこか知れるラストシーンがまた鮮やか。
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悲しい終わりでもなんでもないのに、涙が止まらなくなる•••。そんな感動のお話。
本当に読み終えた瞬間号泣でした。
また大切な一冊に出会わせてくれた、宮部さんに感謝です。
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これから先、
10cm背が伸びた英一と垣本順子が走り続けていく途中、どこかの駅でふと再び出逢えるといいなあ。
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下巻は、3章と4章の2つ。3章は、上巻と同じく一枚の写真を巡る話。今回は、心霊写真風ではなく、不思議なかもめと称するものが写っている。それが意味する秘密が解き明かされていく。
4章は、高校生である英一と家族、親類、友達、不動産屋の社長などがからんで、花菱家の家族の秘密、不動産屋の事務員の垣本順子の秘密を描写していく。
そして、最後に、心が空白になるような、まさかの結末を迎えるが、しかし少し幸せな結末でもあった。
4章の途中までは☆4つくらいかなと思っていたが、最後の数十ページの驚きの展開で、いっきょに☆5つの評価となった。
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大切な人を失った経験があるかないか、守るべき人がいるかいないか、といった立場の違いによって評価は大きく異なる気がする。
個人的にはどうしても犯罪モノを期待してしまうところがあるのだが、解説を読んで、作家にはそんな苦しみがあるのねと少し考えさせられた。
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この物語に出てくる花菱家族をはじめとした登場人物がひとりひとり魅力的で、いいなぁと思いながら読了。それぞれが閉じ込めていた過去の思い出したくない記憶と少しずつ向き合い、次への一歩を踏み出していく。じーんと温かいものが伝わってくる。
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友人、恋愛や親戚付き合い等の人との関わり。
そんな中の煩わしさとか温かさとか、生きることの大変さとか…
そして心霊写真から自主製作映画とか鉄道とか、そんなとこも話題が豊富。
読んでいるとその場面が鮮やかに浮かんでくるような話だった。
2015.5.30
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今年読んできた宮部作品は『模倣犯』と三島屋シリーズの『あんじゅう』。前者は連続殺人事件の顛末を、後者は過去の傷を持つ主人公がさまざまな人の話を聞くというもの。
『模倣犯』は題材が『あんじゅう』は主人公の来歴が複雑で、その分どちらも書き込みがしっかりされています。対しての『木暮写眞館』の主人公はあくまで普通の高校生、取り上げる事件も個人の不思議な写真といった小さなもの。先の二作品も書き込みがしっかりしている割に読みやすかった印象があるのですが、今作は主人公や事件の身近さのおかげか、軽快な文章や登場人物のやり取りも多く、さらに読みやすく仕上げられていた印象があります。上下巻でページ数もあるもののそのおかげで読み疲れるということはありませんでした。
内容はハードな雰囲気こそ抑えつつも人の悲しみ、浅ましさ、無意識の悪意をしっかりと描いています。こういうことを描かせたら宮部さんの右に出る人っていないんじゃないのかなあ。相変わらずの文章の巧さです。
その真骨頂となっているのが第四話の『鉄路の春』。英一の家族に起こった暗い過去、家族それぞれの悲しい想いを英一目線からしっかりと描きつつも結末は温かく、一抹の寂しさもあるもののそれを包み込む希望を感じさせる結びです。悲しさを描きつつも、優しさを最後に残す宮部さんらしい結末でした。
登場人物たちについては変わった人が多いというのが最初の印象でしたが、みんなある面では普通の人と変わらない、もしくは普通の人以上に繊細でそういう意味では読んでいる自分と変わりない人たちだったんだと、読み終えた今は思います。キャラの濃さと人間性をしっかりと両立させた人物たちでした。
そんな登場人物たちの中でも垣本順子の描き方は特に秀逸! 今まで読んだ小説の登場人物たちの中でも、特に忘れられない存在になりそうです。
宮部さんの作品ってやっぱりいいなあ、改めてそう思った作品でした。
2011年版このミステリーがすごい!8位