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投稿者:イシカミハサミ - この投稿者のレビュー一覧を見る
6つの掌編と「結末」から成る
「承認をめぐる闘争」の物語。
解説にも似たようなことが書いてあったと思うけれど、
前に「門」を読んだとき、
名前が出てくるたびに「これは誰?」となったことと比べて
人物の書き分けが為されていて、
現代から見ても読みやすかった。
読んでいて面白くなっていって、
次の展開は、と思ったあたりで
次の物語に移っていく構成に
なんだか時代を感じた。
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須永のことは敬太郎(だっけ?)と須永視点の両方から語られていたが、なんだか人物像が違って、あれ?これって短編集だっけ?と読み返してしまった。
敬太郎も須永も、ああ、わかるわかる、という面を持っていて、共感しながら読んだ。
最後微妙だった我するけど、これはこれであり。
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敬太郎が探偵する場面や、須永が千代子の心理を技巧?と分析するところなど、すごい文章力と思った。後者は迫ってくる迫力があった。
登場人物が親戚同志の3家族なので、一緒の行動が多く、場面が多彩に描けたと思う。敬太郎という外部者の存在も必要だったと思うけど。千代子も魅力的に書かれている。千代子が母を送ってきた夕べなど、はじめ3人でとてもよい感じ…。
須永市蔵、ひとおしがんばれ!ともどかしかったが、相反する感情に苦しみ、どうにも身動きとれない状況というのもあるものだと感じた。
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いやぁ、面白かった。須永、拗らせすぎでしょ。「貴方は卑怯だ」と千代子に言われて「何故」と聞くところがもう卑怯極まりないです。ですがそういうところ、嫌いじゃないです。もちろん友達にはなりたくはないですが。愛すべきくず人間という感じです。
敬太郎が占いをしてもらうくだりも、面白かったなぁ。毒にも薬にもならないような内容を、話半分に聞いていたにもかかわらず、いざ判断に迷うことになったら、一生懸命にその占いを解釈して行動するところが笑えます。
「草枕」「虞美人草」とは読みやすさが段違い。あれはあれでよかったですが、やはり疲れます。「彼岸過迄」は、決して軽いタッチというわけではないですが、程よいユーモアが心地よく感じました。
結末も、手放しで「よかったね」とはいきませんが、程よく救いがあって読後感は良かったです。森本のその後も気になりますね。
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自分が大学受験した年の前年のセンター試験で彼岸過迄が出題されていたのです、たしか。
それで興味を持ったのがきっかけとなり読み始めたのだけど、序盤がしばらく敬太郎の話で、こんな話だったっけ?となった。(センターの出題は須永の話の部分だったと思う。)
わりと何事も起こらない話なので「ページを捲る手が止まらない」ような状態にはならないのと、情景や心情の描写が美しすぎて、いちいち立ち止まって味わうように繰り返し読んでしまうので、全て読み終えるまでにかなり時間がかかった。