類例のあまりない閉鎖空間で事件が進行する作風で知られる石持浅海氏の恋愛ミステリー小説です!
2020/06/20 11:25
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投稿者:ちこ - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書は、推理作家の石持浅海氏の恋愛ミステリー小説です。同氏は、座間味くんシリーズ、碓氷優佳シリーズ、テロリストシリーズなど、類例のあまりない閉鎖空間で事件が進行する作風で有名です。同書の内容は、僕が書店で一目惚れした美しい女性・高野秋を中心としたストーリーです。彼女は左手首にいつも二つの時計をはめています。そして彼女にきざす孤独の影、二つの時計に隠された重大な秘密を、僕は気付いてしまったのです。一体、どのような影であり、どのような秘密なのでしょうか?続きは、ぜひ、同書をお読みください。
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投稿者:koji - この投稿者のレビュー一覧を見る
5編からなる連作短編集です。
日常ミステリと恋愛ものを上手く混ぜ合わせており、どっち付かずになることもなく
どちらの要素も楽しめる贅沢な作品だと思います。
この前に読んだ「扉は閉ざされたまま」の探偵役の「碓氷優佳」も本作の探偵役の
「川端直幸」もミステリ作品の探偵役だから仕方ないのかもしれませんが、あまりにも超人的に他人の内面(心の内)が読めてしまい過ぎるような気が若干しています。
片や大学院生、片やサラリーマンとごく普通の人設定なので余計にその能力に小説の登場人物らしい作りもの感を感じてしまうのでした。
京極夏彦氏の「中禅寺秋彦」とか「榎木津礼次郎」ぐらい、ある意味突飛な人物設定なら、却って受け入れ易いと言うのは私の嗜好の問題なのでしょうけれど。
その一点を除けば良く出来た作品だと思いました。
中でも3話目の「いるべき場所」は想像もつかない真相で本当にヤラレタ感があり、
お気に入りの物語になりました。
この物語で主人公の二人は本屋さんで出会うのですが、
私も本屋さんに美しい女(ひと)というのは素晴らしい取り合わせだと思います。
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強引というか不自然というかなんというか。
これみよがしにBaby-Gを2つつけてみたり(もっと目立たない腕時計はほかにもあるのに)、ひとつが黒で、それを恋人に渡してしまう秋の行動に、自分を救ってくれるのは男性だという過剰な自意識と、自分は男性にもてるという依存心と身勝手さがそこかしこに感じられて、私はあまり好きになれなかった。
短編それぞれのなかで語られる謎の推理も飛躍しすぎていて、納得できなかった。
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ん〜正直イマイチ。
恋愛要素ありミステリ要素ありだけど、恋愛小説としてもミステリ小説としても物足りない。
最初に主人公が本屋でキレイな女の人に一目惚れするところから始まってて続きが気になって買ったけど、その後の展開とかちょっとできすぎ…のような。初めに提示された謎解きに関しても、衝撃的な内容であったにも関わらず「ふ〜ん」っていう感想しか持てなかった。なんなら東川篤哉の解説のほうが面白かったかも(笑)
あと個人的には脇役(?)で登場する黒岩達の話も最後までもっと盛り込んで欲しかったなぁ。
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とってもロジカルな展開での謎解きを得意とする石持浅海さんですが
今回はそこに恋愛の要素をたっぷりと。
章ごとの謎あるいは事件を解決する主人公は会社員の直幸。
ある日、彼は偶然訪れた大型書店でかなりの美人を見かける。
そんな彼が、今は別の会社に就職した元同僚にその話をしたところ、
元同僚とその彼女が勤める会社の先輩であることが判明する。
それをきっかけにふたりは知り合い、関係を深めていくのだが、
美人の彼女にはなにか暗い秘密があるようで・・・といったお話。
今回もまたかなり論理的な思考から真相へと辿り着くミステリと
なっています。日常からそれほどまでに考える人はいないだろうと
ツッコミを入れたくなるほどに。
主人公が気づいた真相は救いのないものだったり、逆に救いになったり、
あるいはただの推測でしか無いものだったりと必ずしも読後感は
爽やかではないけれど、それでもこれはハッピーエンドなんだろうな。
直幸が、そして、直幸に関わった人たちが、
これからまっすぐに幸せへ向かって進んでいけてたらいいのにな
って思いながら読後の余韻から覚めたのでした。
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ジャンル分けが難しい.解説の東川篤哉さん曰く「ミステリファンにこそお勧めする恋愛小説」ということらしい.5編からなる連作短編.どの話も好奇心そそられる話ばかり.利き腕に腕時計を2本巻いている美女.居酒屋で互いにワインを1本ずつ飲み,残りを持ち帰るカップル.迷子の少女に脱げないように縫い付けられたリュックサック.亡き父が将来の婿にと託した一本の使い込まれた傘.どの話もとても素敵なミステリでした.おススメします!!
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作者にしては珍しい日常ミステリー。その人の行動・言動にどのような意味があったのかを論理だけで推察するという短編集。明確な答えは出せないが、おそらくこうなんじゃないかという結論で終わりがち。仕方がないことだが、ややもやもや感が残る。
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石持流恋愛ミステリー。日常の謎。
雰囲気は『Rのつく月には気をつけよう』が近いか。
軽めの話から重い話まであり。
タイトルが素晴らしい。
東川篤哉さんの解説、ファンには嬉しい。
個人的には石持さんは、『アイルランドの薔薇』や『BG、あるいは死せるカイニス』のような、特殊な設定のミステリーが好み。
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まっすぐ進むのは難しい。主人公の名前は「直幸」。幸せに向かって真っ直ぐ進む……という名前だけれど、本人は「行き先は分からない」と嘯く。
彼は一人の「美しい人」――高野秋を見かけて、彼女の腕にはめられた二本の腕時計を気にするようになる。二人は知人を介して知り合い、そして腕時計の「謎」を解いた直幸は秋と付き合い始める。けれど、直幸が本当に腕時計に秘められた事実を知るのは、この本の最後の話だ。
果たして直幸が秋に話した説が、正解なのかは分からない。今となっては知ることもできない。
それでも彼の説は過去に残って迷い続けていた秋を、まっすぐ導いてくれることだろう。
石持浅海さんの作品は、常識や、ときには倫理観までぶち壊して結末へと私を導いてくれる。
全部が全部好きな作品というわけではないが、迷ったとき、立ち止まって考えたくなったときに読むと、頭をリセットしてくれるような気がする。
また、じんわり好きな作品が増えた。
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人の言動を表面的に受け取るのではなく、観察力と考察力によって本質を推理する主人公が、座間味君に近くて非常に石持作品らしい。
氏にしては珍しく恋愛が絡む内容ですが、かといって甘いだけのものではない。時には論理の展開を抑えきれずに非情な面も見せる主人公・直幸ながら、その根底にある優しさか周囲の人に伝わっているおかげでとてもスマートな存在として描かれている。
なかなか他に類を見ないタイプのロジカルな作風が好みです。
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「主人公が一目惚れした美人の秘密」にちょこちょこと伏線をはるので期待が高まりつつ、いくつかの短いミステリーをちょうど良い塩梅で間に盛り込んでいるので、するすると読めました。
推理過程を描くのに重きを置いているのが「事実」より「感情」なので、心が引き込まれます。
「犯人特定」など、解決が目的ではないときの推理。主人公が、今生きる人の希望になるような解釈を本当の答えにしているように見え、「思慮深くて、洒落っ気がある」との本文中の形容に納得です。
あとは、余談ですが、「自分の本棚を見せるのは、自分の内面をさらけ出すことだ。」という文に共感。
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偶然見かけた絵画の様に美しい女性に釘付けになる。しかも彼女は左腕に時計を"ふたつ"つけていた。
彼女が親友カップルと同じ会社だった為にお近づきになることが出来る主人公は、様々な日常の謎を解いて行く。
面白かった。でもこの主人公が実在したら、ちょっと面倒くさいかも(笑)
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川端直幸が目を奪われた長身の女性の立ち姿,なぜ彼女は左手首に2つの腕時計をしているのか。という謎に始まる連作短篇集。日常ミステリだが,恋愛にまつわる人の気持ちをもロジカルに読みとこうとする試み。東川篤哉氏の解説(鵜飼探偵と朱美の2人が語る形式)も秀逸。(文庫で再読)
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日常の謎を解いていく連作短編で、こういうお話は大好きです。でも謎が日常のものにしては少し重いですね。この物語は実は綺麗なラブストーリーでもあります。彼女が隠していることが気になって、一気に読んでしまいました。二人が幸せにまっすぐ進んでいくために、それがたとえ正しい答えでなかったとしても、彼は必要な答えを出してくれるにちがいありません。解説が東川篤哉さんなのですが、鵜飼探偵と朱美の会話で進むショートストーリー仕立てになっていてとても楽しく、得をしたような気持ちになりました。
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最後の章の「まっすぐ進め」は良かったのですが、それまでのお話しの謎解き部分がチト私には合いませんでした
謎解き部分なんですが、おー!なるほどなぁー!こりゃやられた!。な感じではなくて、えー!?そんなこと思いつくなんて不可能でしょ??な感じでした
推理が飛躍しまくりな感じでしょうか…
川端くんは「はらたいら」並の宇宙人ですな(^_^;)
あぁ…昭和人間なのがバレてしまった…