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『二都物語』
18世紀(書かれたのは19世紀)、フランス革命のころの『カサブランカ』だと思う。
読みおわった。最後は電車のなかで泣きそうになった。ほんとにちょっとしかでない貧乏な「お針子」のセリフのところだけど、ディケンズ、ずるいよと思った。
考えさせられたのは、ある男が処刑されることになって、その前日の心理が細かく書いてあるところです。諦めと未練を行ったり来たりし、刑具のどうでもいい細部を想像したりと、いろいろあるんだけど、つぎのような心情にいたるんである。
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愛しい家族の今後の心の平和は、自分が静かで動じない態度を保てるかどうかに多分かかっている。
Next followed the thought that much of the future peace of mind enjoyable by the dear ones, depended on his quiet fortitude.
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定型句で「泰然と死に赴く」などというけど、それはその人がただ強いのではなく、自分が亡き後、最期の自分のことで家族ができるだけ苦しまずにすむように、がんばってそうしているのかもしれないな。そういう意味で強いということなんだろう。つまり、「泰然」の底には、最後のものすごいやさしさがあるんじゃないかなと思った。
あと、78歳の独身のジイサンがでてくるけど、なんともいい人で友人とその娘を救うためにがんばっています。
「君子もとより窮す。小人窮すれば、ここに濫(みだ)る」(『論語』衞霊公)というのも、「君子」は「仁」(やさしさ)のゆえに、他のひとに心配をかけぬよう苦難のなかでも、泰然としているのかもしれないと思った。こういう注釈ってあるのかな。君子が立派というだけなら、なんとも薄っぺらじゃないかなと思う。その根底に「仁」があるというところにまで、届かないといかんと思います。
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フランス革命下のロンドンとパリを舞台にしたお話
ヒロイン描写がかなりすごいが
冗舌なようでもわきまえた表現がさすが
娯楽小説な筋書きでありながら
時代絵巻の拡がりは
文章で表現する小説ならではの小説らしい小説
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教科書にも出てくる作品
二都がロンドンとパリを表すとは知らなかった
革命期の社会動乱が背景になっていて壮大な物語
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まず掴みの馬車シーンからしてダイナミックで面白く、音や映像的なイメージの使い方もうまい。映画的なシーンが多々。クライマックスへ向かう高め方、回収の仕方も素晴らしい。手練だわ、ディケンズすごいわーと改めて思わされる。
私は女の対決シーンが特に面白かった。
いやー、「人間を描く」とはこういうことだよね。
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http://dokushokai.shimohara.net/meddost/dickens.html
ディケンズ-ドストエフスキー-フラナリーオコナー
キリスト教を信じる人々と、神の沈黙。
読み終えました…すごくおもしろかった。ディケンズが今までどれだけの小説家に影響を与えてきたのか、どれだけの人々におもしろく読まれてきたのか、もう一文目からそんなことがわかってしまうくらい貫禄がある。
シェイクスピアさえ原文で読んだことがないし、ディケンズももちろん原文では読んでいません。でも、これは英語だとすごくリズムがいいのだろうなと思ってYouTubeで朗読を聞いてみたらすごく耳に心地良かったです。アーヴィングはよく車の中でディケンズをリスニングするそうです。英語独特の、それもイギリス英語ならではの語彙の多さと表現力の巧みさがあります。アメリカ英語では語彙力はあまり問われず、むしろ簡単な語彙で複雑なことを説明するイメージですが、イギリスだと単語がとっても丁寧に行き渡っている感じがある。ボンヤリしておらず、はまるところにしっかりはまる。だからこそ、直接的には批判せずとも皮肉な言葉で当時の悪政だったり暴力的な人々を、批判していることがわかる。紳士的な言葉でいかに悪口をいうか大会があったら当然イギリス人の勝利でしょう。笑
JKローリングは、フランス留学中に休日はずっとこの『二都物語』を読んでいたらしいです。実はその話をきいて私はこれを読もうと決めました!ハリーポッターシリーズは、かなり二都物語から影響を受けていることがわかりました。シドニー・カートンのルーシーへの身をも捧げる献身的な愛は、スネイプがリリーに対して抱いていたものに似ているなと思いました。このスネイプやカートンしかり、ローリー氏やミスプロスなど、イギリスの小説には執事や家政婦さんたちなどの、仕事や主人に対する誇りを持った仕え方がよく描かれていると思います。カズオイシグロの『日の名残り』もそうだった。これは現代のイギリスでも残っているのかはよくわからない(多分ないと思う)ですが、たぶん階級制度ありきのものだったのかもしれません。いまだにイギリスには女王がいてロイヤルファミリーが残っている、そして人々の中にはそんなイギリス王室を心から誇りをもって尊敬して崇めていたりすることもあるのでしょう。そういう、なんというか、利益を求めないキリスト教的な献身の態度が物語に深みをあたえるなぁと思います。昨今超資本主義的な社会のなかでは、とにかく自分が成功すればいい、お金もちになることが大事だ、という風潮があるけど、お金じゃなくて自分が誇りに思えるような生き方をすることが大切だな…としみじみ思ったりした。
あとはフランス革命!今までフランス側からの描かれ方しか知らなかったし、歴史の教科書で文章でこんなことがあった、王政がなくなったとかしか知らなかったけど、この小説の中での革命の描かれ方は社会が崩壊していてとても怖かった。王政にあずかった人々も汚いひどい人たちばかりだし、革命を起こした過激な人たちも殺しを無差別にしていて恐ろしかった。革命、というのは聞こえがよくかっこいいものだと思っていたけど、想像以上に血みどろで、誰もが幸せではな���った。この後にはフランスはだんだんと落ち着いて今のような民主主義が獲得されるけど、その前には本当に本当に大混乱の時代があったんだな…。今コロナで日々怖いけど、フランス革命時に比べたらまだ生きていけてる感じがある。『レミゼラブル』も読んでみたくなった。ハリウッド映画のほうはもしかして美化されすぎているんじゃないか?と思った、あれをみただけじゃ実は何もわかっていないのかも。
こういうの子どものときに読んでいたかったなぁと思うんだけど、大人になって少しだけでも歴史を勉強したりフランス語や英語をわかるようになってから読んだからこそ楽しめたところも多かったです!
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激動のパリとロンドン。海峡を挟む二つの国を仕事場とし住処とする人々。
幸せなチャールズとルーシー以上に心に残るのはシドニー・カートン、彼が選んだ道は彼自身が一番幸せな道だったと信じる。
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「嘘だといってよシドニィ!」
“ガンダム1785ポケットの中のフランス革命”より
彼も“人生に甦った”のだろうか、嗚呼…。
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【ネット要約読み】
物語の時代背景:1775年〜
(1789年〜 フランス革命)
ロンドンとパリの2都市を舞台とした、
フランス革命前後を描く物語。
有名どころを読んだことがなかったので。
当時のフランスの格差社会などが分かる本。
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さすがに時代を感じさせる内容と文章ではあるものの、そのメッセージや骨格はやはり圧倒的だと思った。
ストーリーテラーと言われるディケンズ、この作品に関しては自分にはどちらかというとストーリーよりもメッセージ性を強く感じた。
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ミュージカルや演劇を何度も観るよりこの本一冊でその何倍もの感動を体験できると思う。
こぼれたワインを舐めとる様子や、ゴルゴンの首に出てくる侯爵の館など、惹きつけられる描写が多く、形や色彩や音を伴って感覚に訴えてくる作品だった。
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タイトルの地味さとは裏腹に、物凄くスケールの大きな大河ドラマ。一大エンターテイメント。
勧善懲悪なんだけど、根底に民衆の本物の苦しみがあるからこそ、その中での愛や助け合いや勇気が輝くのだと感じる。
割とかっちりした辻褄合わせとか、現代的な感じ。漫画化したりして今の若者にも読んでほしい。
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18世紀、フランス革命を背景にフランスとイギリス二つの街で時代に翻弄された人々の話。読んだきっかけはダークナイトトリロジー3作目の「ダークナイトライジング」が二都物語をモチーフにしている、とノーラン監督が言ってたので気になったから。市民たちが暴走し、貴族や市民を裁判にかけるシーンがあるんだけどライジングで「そういえばスケアクロウが裁判してたなあ!あれここから来てたんか!」とか思い出して、ライジングも一緒に甦ってきて楽しかった。フランス革命といえばベルばら、レ・ミゼラブル(トム・フーパー版)のイメージだったので漫画と歌で少々ぼかされていた市民たちのとんでもなく貧しい暮らしや、それにぶちギレた市民たちによる血で血を洗う大殺戮なんかがしっかりと、でも詩的な言い回しで進んでいくので気分はめちゃめちゃ最悪なんだけどそこまで凹まずに知ることができた。時代が時代なので、女性への当たりがキツかったりするのであんまり声を張っておすすめはできないけど、カートンの告白シーンを初めとするルーシー、ダーニー、カートンの三角関係や、ルーシー父の錯乱シーン、ダーニーの裁判、ミス・プロスとドファルジュ夫人の一騎討ち(これ、死の秘宝のベラトリックスとモリーの対決くらい好きになった。つかオマージュしてる???)など、基本みんなの立ち位置が辛いしキツいししんどいけどそれぞれ見せ場がとてもおもしろいし手に汗握る。
カートンの、究極に身も心も美しい者(ルーシー)の前で勝手に己を悔い改めてしまう描写がすごくツボというか性癖だった。美しい存在に、純粋な光に、自分の醜い部分も含めた何もかもを露にされてしまうとき、それを受け入れたり、また逃げてしまったりする所に、私は人間って生物の良さを感じる。
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初ディケンズ。もっと古くて歴史の匂いを感じる本かと思ったら、二つの都市を舞台に、銀行のカビ臭いいかめしさ、街の喧騒、登場人物の描写と会話が生き生きとしてて温かさと愛にあふれており、あっという間に読めてしまった。フランス革命は実際に圧倒的な民衆の怒りとうねりであの空気感だったのだろうけど、理不尽な裁判、ギロチンの非情さが際立っていて、特に革命の時の勇ましいドファルジュ夫人がダーネイに対しては冷たく残酷で、そういう場面と雰囲気に読んでて一喜一憂する。
ダーネイとルーシーの愛よりは、お針子とシドニーの無垢で気高い魂が印象的だった。
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亡命貴族のチャールズ・ダーネイと、放蕩無頼の弁護士シドニー・カートンは、長年バスティーユに投獄されていたマネット医師の娘ルーシーに思いを寄せます。
パリで革命の炎が燃え上がろうとしているとき、イギリスとパリ、二都で繰り広げられる物語。
翻弄される三人の運命は?
壮大な歴史ロマン。
最後の部分で伏線が回収されていき、見事なストーリーです。
流石イギリスの大文豪の作品。
全世界で2億部突破の大ロングセラーが、わかります。
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フランス革命下のパリとロンドンを舞台にした小説。
前半は少々かったるいが、後半の息もつかせぬ目まぐるしい展開は素晴らしい。何と言ってもパリの街全体の狂気に満ち溢れた描写の物凄いこと。ブラックなジョークには思わずニヤリとしてしまう。
全編において重く苦しい展開が続くので少々読み通すのがきついが、一冊読み通した上でのあの素晴らしいラストは胸を打つ。