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「ジャンルはウソくさい予言書」だろうなと思いながら古本で購読。
国際関係に始まり、人口増減や地政学的観点からの大胆な予想があり、一読する価値はある本。
日本とトルコVSアメリカの宇宙戦争となった時点で、SFか?と困惑させる。
多いに納得させる点や、新しい視点を持つ材料になる点もあるが、しかし、経済学的観点が足りない気がする。
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地政学。
こういう大きい視点で見ると小さい争いにあくせくするのがバカバカしくなる。カウフマンが言っていたような歴史上の出来事に関する法則を探す学問、プリゴジンの言っていた意思決定の理論化の話、コンフリクトの原因が時間の感覚の違いであることなどを思い出す..
アメリカが地政学的有利にも関わらず憂鬱な心理状況である理由。
1 この乖離がアメリカの力がまだ発達しきっていないことを示している。
2 これがアメリカの途轍もない強さを露わにする。アメリカは不安を感じていたからこそ冷戦に途轍もない労力とエネルギーを傾けた。
政治指導者から技術者、軍人、インテリジェンスの幹部に至るまでアメリカ人の冷戦との戦い方は決して気軽でもなければ自信にも満ちていない。だからこそ冷戦に勝って驚いた。(恐るべき謙虚w)
アメリカは心理的に自信過剰と不安が奇妙に入り混じった状態、青年期の虚勢と絶望。アメリカはまだ16世紀ヨーロッパのような未開状態にある。文化はまだ形を形成しておらず意志力は強い。そして感情によって相矛盾する方向に突き動かされがち。
文化の三つの状態
未開:未開人は自分の村の慣行が自然法であり、異なる生活習慣を持つ人たちは取るに足らない状態で、救済するか破壊するかしかないと思っている。
退廃:この世に絶対的なものはないと皮肉っぽく考える。彼らが蔑むのは何かを信じる人。彼らには戦う価値のあるものなどない。
文明は文化の最も稀な状態。
文明人は頭の中で矛盾する二つの思想のバランスをとることができる。真実は確かに存在し、自分たちの文化がその真実に近いと信じている。だが同時に自分たちが誤っている可能性を留保している。確信と懐疑の組み合わせは本質的に不安定である。
文化は未開状態から文明状態を経たのち懐疑によって自己革新が揺らぐと退廃状態に陥る。文明人は相手を選ぶが効果的に戦う。
ヨーロッパはすでに退廃に入っておりアメリカは未だ未開。あらゆる未開文化がそうであるようにアメリカ人は自分たちだけに通用する道理のために戦う。
(発展経路は果たして一つだろうか)
アメリカの戦略目標および基本戦略は恐怖心。ローマ帝国も世界制覇を目指していたわけではなく、国の防衛を目指してその目標に取り組むうちに帝国になった。
恐怖心は和らぐたびに別の弱さと別の恐怖を生み出す。国家は持っているものを失う恐怖によって突き動かされる。恐怖という観点。
現在の国際システムはひどくバランスを崩した状態...アメリカが元来強力になりすぎたため、それ以外の諸国がアメリカの行動を制することができなくなった。国際システムは自ずと均衡に向かう傾向にある。バランスが失われた世界では絶対的な力を持つ大国の脅威にさらされた弱小国が、大国の力に対抗するため同盟を形成することが多い。アメリカがベトナムで敗北後に中国と手を組んだのも当時強力になりすぎていたソ連を制御するため。
だが現在は強力になりすぎたアメリカに対して反米同盟を組織することは難しい。アメリカと折り合いをつける方がずっと楽���。(巨大アトラクタ的だ!)反米同盟は失敗すればアメリカの容赦ない行動にさらされるだろう。
矛盾:アメリカは一方で深い恨みを買い、恐れられてもいる。しかしその一方でここの国はアメリカとうまく付き合っていく方法を模索している。
この不均衡とアメリカを封じ込めようとする取り組みとが21世紀の世界のトレンド。アメリカ以外の国にとって危険な世紀。
地政学、誤りの許容範囲と呼ばれる重要指標。それぞれの国に誤りを犯す余地がどれほどあるか占う指標。国が直面する危機の種類、国がもつ近いの大きさ。
誤りの許容範囲が非常に小さい国-些細な失策が命取りになるという認識から外交政策の事細かな点までこだわる傾向にある。(イスラエル、パレスチナ)これに対して小国だが周りを敵に囲まれていないアイスランドには誤りを犯す余地がかなりある。アメリカも。
アメリカは世界に対して不用意に力を行使することが多い。愚かだからではなく、注意を払う必要がないから。注意を払っていると効率を落とす。無謀が許されるアメリカはときに他国に苦痛や破壊的被害をもたらす。それでも前進し、繁栄を続ける。
アメリカは常に過剰反応する。ある瞬間とてつもなく壊滅的に思われたことをバネに、果敢に問題を解決する。一般に新興国は過剰反応する。成熟した大国はうまくバランスをとることができる。衰退に向かう大国は一度失ったバランスを回復できない。
アメリカにとってはどの一つの関与も決定的に重要ではないが過剰反応する。だが相手国にとっては国を一変させるほどの力をもつ一大事。相手国はアメリカの行動の前に無気力を感じ、その無気力はどんな状況にあっても怒りをもたらす。怒りの矛先が向かう国、つまりアメリカが無敵でありしかも無関心であることがなおさら怒りを駆り立てる。
21世紀は自らの行動が招く結果に無頓着なアメリカと、そのアメリカに抵抗して怒りを向けるその諸国という構図。
アメリカの対テロ対策が終局に向かうにつれて、イスラム国家そのものがイスラム過激派に対する防御の最前線に。イスラム国家はアルカイダの究極のターゲット。アルカイダがイスラム教や西洋に対してどのような考え方を持っていようともイスラム国家はアルカイダに政治権力を引き渡すつもりは毛頭ない。むしろ国をあげて、つまり諜報、安全保障、軍事面での能力を結集して、アルカイダを潰しにかかるだろう。
アルカイダが破れさえすればアメリカは勝つ。イスラム世界が混迷して結束できなくなればアメリカは戦略目標を達成したことになる。
イスラム世界はかつてないほど分裂しておりそのことがこの時代に終止符をうつ。
トルコはイスラム世界における大国、再び対等しつつある。トルコの台頭はソ連崩壊による混乱ではなく、新しい力学の所産。怒りは歴史をつくらない。歴史を作るのは力。力は怒りによって強められることはあるが、地理、人口動態、科学技術、文化といったより根本に関わる現実的条件を拠り所とする。こうした条件の一つがアメリカの力を規定すると同時にアメリカの力が21世紀を規定する。
まとめ:20年前のソ連崩壊で冷戦時代は動きを抑えられていたイスラム地域が急��に不安定になった。アメリカの基本戦略(イスラム世界を混乱に陥れ、アメリカへの敵意を生み出す)
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「影のCIA」と言われる情報機関の創始者が、今後100年の世界情勢の変化を地政学的見地から予測したものである。2009年に単行本で発刊され、今般文庫化された。
単行本発刊後まもなく本書を読んだときに最も印象に残ったのは、2020年代以降トルコとポーランドが存在感を大きく高め、2060年代にはメキシコが世界有数の大国になるということであった。因みに、米国は今後100年間覇権国であり続けるが、中国とロシアの影響力は大きく低下するという。いずれも、地政学的見地から論理的に予測した結論である。
単行本発刊後5年が経っており、本書の内容と現在の世界情勢を比較してみると、ロシアのウクライナへの介入は予測された通りであるが、nation stateの枠組みを超えるIslamic Stateの出現などのイスラム世界の混乱は予測の範囲を超えている。
しかし、本書の重要性は、予測が実際に的中するか否かというより、欧米の最先端の専門家が国際情勢を分析・予測するにあたり、どのようなアプローチをとり、どのような思考プロセスを辿るかを知ることである。
国際社会において主要プレーヤーとして戦うためには、相手の思考・作戦を読むことは不可欠であり、そのためにこそ価値ある書と思う。
(2010年1月単行本了)
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このような本があることを知ってはいたのですが、ある本を読んでいて初めて題名を知りました。あの有名なフリードマン氏が書かれた本の訳本が、2009年に単行本で発行されたものが文庫化されたものです。
私が興味を持っている「地政学」を駆使して、全世界の今後100年間にわたる予測を行っています。気になった所に付箋を貼りながら読むのですが、本が付箋で一杯になりました。凄い本でした。
21世紀もアメリカが世界一であり続けるのが結論ですが、それに挑戦する国として、日本がトルコと同盟を組んで挑み敗北するというストーリーが印象的でした。
つい数年前までは大国化すると騒がれていた、中国、インド、ブラジル、ロシアは難しいようですね。ロシアの衰退に代わって欧州で成長するのは、現時点で一人勝ちしているドイツではなく、ポーランドというのが驚きでした。
また、メキシコが経済大国化して、アメリカとの事実上の国境が北上して、かつてのメキシコ領土に迫る、という考え方も面白かったです。この本は、すでに続編が二冊も出されているようです。これからそれらを読むのが楽しみです。
以下は気になったポイントです。
・アメリカへの次なる挑戦者は中国とは言い難い、理由として、1)孤立した国であり領土を拡大できない、2)海軍国ではない、3)本質的に不安定、内陸部の国民は貧困のまま(p21)
・世紀半ばに他の強国が台頭する、日本、トルコ、ポーランドである(p22)
・宇宙で発電した電力をマイクロ波に変換して地上に送信するという、戦争前に開発された構想が、来たる世界大戦中に試作から実用化へ移行する(p23)
・統一ヨーロッパが実現しなかった理由は、英仏海峡である。最初はスペイン、続いてフランス、最後にドイツが大陸の支配に成功したが、統一できなかった。(p43)
・イスラム教徒が多数派を占める旧ソ連共和国(アゼルバイジャン、ウズベキスタン、トルクメニスタン、キルギスタン、カザフスタン)は、ソ連が崩壊するといきなり独立した。(p63)
・出生率の低下と平均余命の延びの鈍化により、人口増加は終わらざるとえない(p93)
・ロシアにとって冷戦後の世界が本当の意味で終焉を迎えたのは、2004年12-1月にかけて、ウクライナでオレンジ革命が起きた時)p115)
・インドネシアとパキスタン以外に、主要イスラム系国民国家は3つある、人口8000万人のエジプト、7100万のトルコ、6500万人のエジプト(p126)
・過去50年で約4倍に増えたメキシコの人口は、今後50年間で安定する、人口減少に悩まされることなく労働力が確保できるのが強味(p132)
・中国を地政学的に見た場合、島国である、他の地域から事実上隔離されている(p141)
・中国政府が拠り所にしているのは、1)国家を運営する巨大な官僚機構、2)共産党の意思を執行する軍事安全保障機構(p152)
・ロシアは2000年ころに戦略を転換した、1世紀に渡って取り組んできた工業開��に見切りをつけて、エネルギー資源を中心とする資源輸出国となった(p163)
・アメリカで220周年前から続いている周期の信頼性が高いとすると、現在は1980年のレーガン選出に始まった第五期の真っただ中、このパターンは2030年頃まで存続する、2032年の選挙で決定的な転換がなされるだろう(p195)
・社会保障制度が退職年齢を65歳と設定したとき、平均余命は61歳だった。その平均年齢の延長が年金制度の収支計算を変えてしまった(p201)
・2040年代までに、アメリカは、日本・トルコ・ポーランドと同盟を組んでいるが、日米間には著しい利害の不一致が生じている、アメリカは韓国(統一朝鮮)および中国の政府と手を組んでいる(p220)
・アメリカは金のかかる非効率的な従来の戦略を放棄して、その代りに、極超音速無人機のシステムを構築する(p253)
・20世紀に戦争を戦うには、何千人もの爆撃手と何百万丁ものライフル銃が必要だった、21世紀には、この数分の1で戦えるようになり、総力戦の終わりを告げる(p268)
・21世紀の制海権は、外航艦隊よりも敵艦を識別し、狙う事のできる宇宙システムに依存するようになる(p275)
・21世紀の戦争にとっての電力は、20世紀の戦争にとっての石油に相当する(p303)
・2050年代の戦争中に、新しいシステムの本格利用が始まるだろう、2060年代の宇宙発電計画を通じて、宇宙発電は日常生活の一部分となる(p327)
・貧しい国から富める方への人口移動は起こるが逆は無い。メキシコとの政治的境界は変化していないが、文化的境界は北方に移動している(p336)
・社会的、政治的危機が起きる2030年ころまでにロボット技術の実用化に向けた試験が行われて商業化の準備が整うだろう、2030年のロボットは、1975年ころのコンピュータだろう(p338)
2016年2月20日作成
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[大流の解明]ただでさえ予測が難しくなっている国際情勢の「100年先」を見透そうと試みた意欲作。分析と予言の狭間に位置するかのような予測が、想像力をかきたててくれること間違いなしの作品です。著者は、アメリカの軍や政府機関に向けた講義や情報提供を行っているジョージ・フリードマン。訳者は、『選択の科学』等の翻訳もされている櫻井祐子。原題は、『The Next 100 Years: A Forecast for the 21st Century』。
まずは予測の内容が読み物として純粋に面白い。21世紀においては日本・トルコ・ポーランド・メキシコが大国として浮上することなど、「マジか」とツッコミを半ば入れつつもついつい読み進めてしまいました。議論を促し、想像力をたくましくするために適した一冊ではないでしょうか。
著者が100年の予測を立てるに際して、地政学・人口動態・歴史・リアリズム的国際政治観・情報の不完全性などを基にしている点が印象的でした。国際情勢を考えるにあたり、こういった大きな枠組みがどのように影響を与えているか(もしくは与えていると考えられているか)を理解することができるかと。
〜従来の政治分析には、想像力が著しく欠落している。流れる雲が、いつまでもそこにあると考え、誰の目にも明らかな、強力な長期的変化に目を向けようとしないのだ。〜
本書を紹介してくれたMさん(ありがとう!!)には、何か100年後にも残りそうなものをお贈りします☆5つ
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予測の前提としてアメリカの超大国としての地位が続く、更に強くなるというところから始まっている。太平洋、大西洋二つの大洋に面し、双方を支配しているというのはわかるが、その支配が今後100年続くかというと疑問もある。
100年の予測は唯一の超大国アメリカに挑む、時代により移り変わる地域覇権国の興亡を通して描かれる。
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「影のCIA」なる呼び名も取るという敏腕アナリストによる,今世紀の世界情勢の展望予測.基本的には,地球上の二大洋に十分睨みを利かせる能力を持つ唯一の国家として,米国が引き続き世界秩序の中心を占めるという見通しであり,この優位性を利用して,宇宙開発・開拓においても先手を指すことにより,海洋だけでなく宇宙空間における独占的支配も確立していくだろう,としている.他方,今世紀前半に主要先進国で問題となる少子高齢化を解決するべく,各国間の移民誘致競争が起きるとの見通しを示している.これに加えラテンアメリカの諸国家,とりわけ米国の隣国であるメキシコが,今般の先進国に比肩する水準まで発展を遂げて台頭してくることから,米国は最近100年以上にわたってあまり悩まされることの無かった,米大陸内での地政学的問題について,今世紀末には再び対処する必要がでてくるとも予想している.
明言はされていないものの,20・21世紀の間安定を保っていた北米大陸が,22世紀には混乱の舞台となりうることを示唆しているようにも見えるが,個人的には著者の言うような,メキシコによるアメリカへの浸透はむしろ,アメリカの国政にメキシコ人の関与する部分が増えることにより,最終的には「メキシコ化したアメリカ」によってメキシコが吸収される,という結果をもたらすようにも思える.
米国が自国の地位と利益を維持する上で,戦略としてユーラシアの分断統治を試みるというのは頷けるところであるし,この視点に立つと,現状米国と対峙する中国・ロシアが仮に勢力を失い,またイスラム圏の動揺が収束に向かった場合,本書で描かれているように,それまで米国と同盟関係にあって積極的に支援していた相手との間で対立を生じていく,という見立ても,かなり現実味を帯びてくると思われる.
また,米国における技術開発と軍事・社会・政治との関係にまつわる洞察も興味深い.宇宙太陽光発電の実用化で,電力の量や使う場所の制約が大幅に緩和されると何が起こるのかというテーマは,想像力を掻き立てられる.
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こういう国際情勢分析・予測の類は好きなので、面白く読みました。
分析は鋭く、中国・ロシアにおいては見事に的中しているケースを実際に目の当たりにしています。
これらから先 20、30年の予測については完全に将来予測ですが、一見して信じがたい分析が行われています。曰く、トルコと日本がユーラシアの支配権を強め、アメリカと対立し、最終的には米日、米土戦争が起こるというもの。この分析についてはいろいろと抜け落ちている要素を感じて突っ込みたくなりますが、分析自体は論理的で非常に面白い。
それ以降は戦争計画から実際の戦争に至る予測が続きますが、かなりSF小説的内容になっており、私は興味を失いました。(国際情勢分析を知りたいのであってSF小説が読みたいわけではないので)
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・今後、数十年間で益々力を蓄え、自己主張を強めると思われる国:
日本、トルコ、ポーランド。
・21世紀における唯一にして最も重要な事実:人口爆発の終焉
・21世紀について一つだけ確かにいえることは、いまやヨーロッパの
時代が終わり、北米の時代が始まっているということ。
・アメリカ経済が強力なのは、軍事力のお陰。
アメリカ海軍が、世界中のすべての海岸を支配している。
・統一ヨーロッパが実現しなかった理由は、英仏海峡。
・アメリカは心理的に自信過剰と不安が奇妙に入り混じった状態。
青年の心理状態を表す特徴。
・世界的に出生率が大幅に落ち込んでいる。
・アメリカ文化は、聖書とコンピュータ、伝統的価値観と過激な革新が
ぎこちなく融合したもの。
・アメリカ文化は実用性にこだわり、形而上学を軽視。
真実や美を扱うのは得意ではない。
・中国は島国。
・アメリカは、ほぼ50年ごとに経済的、社会的危機に見舞われてきた。
・世の常として、一つの解決策は、次の問題を生み出す。
・アメリカは、1980年のレーガン選出に始まった第5期の真っただ中。
現在のアメリカ社会の構造が、2030年頃まで存続する。
・2020年代に表面化する問題は、利用可能な労働力を増やすには
どうすればよいかという問題。
・ユーラシアは、密猟者の楽園になる。
・日本は原材料の確保が脅かされれば、必ず行動を起こす。
・日本では、いずれ必ず軍国主義が復活する。
・アメリカの力を抑止することで利害が一致するトルコと日本は、
おのずと同盟を形成するだろう。
・母国に近い移民
・未来を思い描く最も現実的な方法は、当然と思われていることを
疑ってかかること。
・アメリカの力の源泉は、その地理的特徴にある。
・アメリカの基本戦略は「アメリカに挑戦し得る地域覇権国の台頭を
防ぐ」ことにある。
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日本で軍国主義を復活するとは考えにくいけれど、そうさせようと戦争屋さんとその手先が頑張ってますね。それに反して国民の呑気なこと。
トルコとの関係がキーになると言うのは面白い。今後注目しよう。
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地政学的に21世紀を予測した ノンフィクション文庫だが、ノンフィクション性を感じるのは
2020年代の アメリカ経済危機、ロシア崩壊、中国分裂2030年代の 日本、トルコ、ポーランドの台頭 まで。
宇宙戦争のくだりは 完全SF。そして 最後は 必ず アメリカが勝つ。著者のアメリカファーストな文章は鼻につく。日本は 軍事力を強化して アメリカを追いつめるらしい。真珠湾攻撃のトラウマを随所に感じる
最後の奥山真司氏の解説の方が 地政学の面白さを感じた
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予測部分は一つのSF作品として読んでいた。それにしてもアメリカ礼賛が多かった。また、過去の事例等については不足している知識を補うのに役立った。
私個人としては、現在の延長線上に未来があると思っていないので、あまり好きなアプローチではない。
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地政学的に予測した21世紀。
地理的な条件が国際関係や経済、軍事に影響を与えるという発想は納得できるが、「歴史は繰り返す」だけなのだろうか?
アメリカが大戦の主戦場から離れた位置にいることから、第三次世界大戦後も、第二次世界大戦後と同じような経済の黄金期を迎える―。
う~ん。
半分はそうかも、と思うけれど。
そうしてやってくる戦後の世界がいいものとはとても思えないのだ。
第三次世界大戦は、日本・トルコ連合国と、ポーランド・アメリカ(中国、韓国なども)の図式だそうだ。
まず前提として、中国やロシアが二〇年代には崩壊するらしいんだけれど、中国やロシアはそんなに簡単に崩壊するだろうか?
その隙をついて資源を求めてアジアに進出した日本とアメリカがぶつかる、ということらしい。
それより少子高齢化に苦しむ日本が、戦争をするような経済力が保てているのか?
主戦場が宇宙になっているというのは、ありうべきことだが、現在の日本の状況から考えても、とても太刀打ちできるとも思えない。
本自体はとても読みやすいのだが、一度本を置くとしばらく手に取る気がしなくて、ズルズル一か月もかかってしまった。
何か、読むと暗澹たる気持ちにさせられるから。
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全体に非常に示唆に富む。
想像的であり、かつリアルである。
時間、空間の軸に対する理解が多層的。
P107
次の地政学的大地震が起こる場所はどこか?
①環太平洋地域
②ソ連崩壊後のユーラシア
③ヨーロッパの枠組み
④イスラム世界
⑤アメリカとメキシコ
2020年
中国、ロシアの分裂
↓
アメリカの一国強国体制は続く
→アメリカに脅威を与える国は限られている。
日本、トルコ、メキシコである。P232まとめ
日本はシーレーンの確保のため、海軍力(宇宙含む)を強化する。
トルコは経済成長に伴い、拡張的になる。
もともと地理的要衝に位置し、ロシアの弱体化、イスラムの混乱に乗じて、指導的イスラム強国として勢力拡大。
それに対するプレーヤーとしてポーランドがある。
ポーランドはロシアの弱体化に伴い東方に緩衝地帯を求め進出する。(ドイツ、ロシアの双方から攻められるという積年の懸念を解消するため)
しかし、南からは不安定なバルカン地域に影響力を拡大したトルコが迫る。
アメリカはトルコの勢力拡大を好ましく思わず、対抗馬としてのポーランドを支援。
また、お決まりの自決主義と民主主義的価値観の原則を持ち出して、日本とトルコを国家主権を脅かし人権を侵害する存在に仕立てあげるだろう。P251
その他気になる考察
①20世紀の世界大戦は大量の銃器、自動車、戦車、戦艦、戦闘機を使用し、生産能力勝負の総力戦だった。
しかし、21世紀は核兵器の登場と、精度の向上で、一撃で強烈なダメージを与えられるようになった。
これは、アメリカが進める衛星と超音速ミサイルを活用した攻撃体制でさらに高まる。
その点で、軍事攻撃に必要な労働力は少なくなり、むしろ科学者、技術者が重要になる。
しかし、領土の占領はいまだに多大な労働力を必要とする。これは軍ではなく警察の仕事に近い。敵と良民を区別する文化的理解が必要とされる。この仕事は今より簡単になることはなく、今後も大国の弱点となるだろう。P270
②技術が雇用を奪うという予測は、これまでも繰り返し立てられてきた。だが、そのたびに正反対のことが起こっている。
2060年頃からは失業率の上昇が見られる。
気になるキーワード
P275 ラグランジュ点
2つの天体からの重力が安定する場所。地球と月のラグランジュ点は宇宙ステーションの候補地とされ、宇宙の地政学的に重要。
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原書は2009年の著作。2014年に文庫化。2018年の本日読了。
2009年において向こう100年の世界地図を予測する内容。あくまで推測であるも、前半はそれなりに現実味を帯びており興味深いものがあるも、後半から終盤にかけては宇宙戦争へ突入していく。あまりに先過ぎてピンと来なかった。
著者の予測では今後もアメリカ一強が続き、ロシア、中国が破綻。ヨーロッパも衰退し、日本とトルコが強大なアメリカに対抗しようとするとの予測。参考まで。
せめてもう少し予測範囲を絞った方が良いような気がした一冊。