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前作のヤマト編から引き続き、読了。
プロローグのような第一章に続く、第二章の冒頭は「謎めく備後落合のマムシ弁当」。鉄っちゃんの紀行のような面白さもあり、時折の力の抜き方が好ましい。
古事記、日本書紀は中央のフィクションで風土記が本当の地方の神話という訳ではないという。
蘇我氏は滅ぼされた出雲族の末裔。物部は吉備出身。そして物部は早くにヤマトに侵入し、その他の部族も東海や敦賀からも進出。出雲は九州北部と連合していたため、遅れて進出。纏向の都市国家=原ヤマトの誕生に繋がる。九州勢の侵入は更に遅い。この論考はなかなかの説得力。だが、十年まえに同じ文章を読んだら、僕は幾らかでも納得しただろうか。出鱈目だ、と受け付けないような気もする。
物部=吉備の痕跡消滅のため、古事記、日本書紀での出雲の大クローズアップになったというのは、何とも言えない。出雲大社はヤマトが大国主の怨霊を抑える装置として建設されたものと思えるが、吉備にはそれほどの痕跡は無いと思う。ヤマトが出雲を騙し討ちにしたことは、武内宿禰の神話や出雲の秘儀神事でも暗示されている。
天の日槍に関する論考は面白い。神功皇后との共通点に話がなり、更に神功皇后はトヨに関連が強く、蘇我氏もトヨに関連が強いとのこと。しかし、神功皇后のモデルが北九州にいた卑弥呼を滅ぼしたとなると、ちょっと無理かなと思う。そうだったら魏志倭人伝の記述も違ったものだろうし、伊勢の外宮にトヨ=豊受、内宮に卑弥呼=天照が奉られるのは変。
僕自身も、纏向は邪馬台国ではなく、箸墓は卑弥呼の墓ではないと思っている。九州の環濠集落の方が倭人伝の記述に合っているし、如何にも旧来の箸墓の蛇体の神伝説や滅ぼされた賀茂族のエピソードは、当時半島から伝わった新興宗教「鬼道」の祭司、卑弥呼に似つかわしくない。
しかし、ヤマトに各地の有力部族が集結し始めていた状況を中国から来た調査員が把握していないというのも解せない話。まあ、よく判らないということ。
続く、九州編では邪馬台国の秘密を明かすということで、また色々無駄な素人考えに耽ろうかと思う。
それから暫く読んでなかった森浩一先生の本も探してみようかな。
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神々の名は長くて同人物で別名もありとっつきにくい。というか古代史では結構推測に頼らなければいけないところもあって、それが魅力ともなっているのだろう。2019.8.31
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言わずもがなの出雲大社があることで有名な地。古代出雲の神々の謎や、ヤマト建国に関する推測、鉄が握る鍵等、日本書紀や古事記を基に著者の視点で紐解いていく。出雲には訪れたこともなく、詳しくもないが、とても興味深かった。いずれ訪れてみたい。