スリリングなストーリー展開に読者は魅了されることでしょう!
2016/08/28 10:43
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投稿者:ちこ - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書は、白石氏の比較的最近の作本ですが、これまでの白石文学の特徴をよく出した傑作になっています。予測不能なスリリングな展開に思わず、読者は一気にストーリーに埋没していくことでしょう。心の底から愛した「運命の人」が隣にいない。そんな人生に意味はあるのでしょうか?白石文学が突き付ける大きな人生の問題がそこにあります。
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投稿者:DS-S - この投稿者のレビュー一覧を見る
白石一文氏の文章は、読んでいてとても心地よく、また、今回の作品のテーマ設定も面白そうだったので、読みました。残念ながら、期待外れというか、最後まで主人公の女性の気持ちを理解することができませんでした。私の読解力不足なのか、女性の気持ちを理解できないタイプなのか、いずれにせよ消化不良、期待外れに終わってしまいました。
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二者択一。運命のヒトと共に生きるか、または死か。岳志にとっては「究極の純愛」なのだろう。恋人の友だちを一目見た瞬間にそれが運命のヒトだったのだと気付いたというのなら、そこで恋人と別れて運命のヒトと共に生きる道を選ぶか、もしくはその運命に背を向けて恋人との暮らしに満足するか、それもまた二者択一。どの道を選ぶとしても選ばなかった道のことは忘れなければならないのに、それができなかった岳志の心を純粋と呼ぶか弱さと呼ぶか。
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白石節、炸裂。引き受けて自分を見直す本。
男女に限らずこの人に縁がある!と初見で実際に気づいた(そして、この本からいうに決めた)ことがある人と無い人の反応は極端な違いで面白い。でも、恋愛の、人との事に限らないんじゃないだろうか?
その先。選択はどちらも結局自分が選んだこと、には刺さるものがある。そして、まさに選ぶ状況の自分。毎回省みる。
この本を渡して、ご縁を感じるタイプか、感想で判別できるか?と、ちと知人に試してみてる(笑)
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この人が「運命の人」と直感するのは物語の世界ならではの話。しかも、相手もそう思っているかどうかわかるのも物語の世界だからだ。この物語におけるその感覚がどうにもつかめなくて戸惑ってしまった。岳志が里江子と初めて会った翌日にプロポーズしてきたエピソードや、それを受け入れずに10年以上たって再会する場面も里江子は淡々としている。だからこそのラストの喪失感なのだろうが、すんなりと入って来なかった。岳志の絶望に何ら共感できなかったのも自分の感動が薄い原因。次が気になって一気読みしてきたのに若干肩透かしをくらった気分だ。
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二度読んで初めて勇気の湧いてくる小説だと感じた。
初めて恋をして失敗をした時の事を思い出すような小説だった。純粋過ぎる思いはたくさんの人を傷つけるし、成就しないものである。
それでも、それは間違っていないよと
言われているような気がした。
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「生きること」に意味はあるのか。社会的に成功していながら人間関係に対して冷めた見方をする主人公が小さなつまづきをきっかけに、主人公の親友の夫として幸せな家庭を築いて地位、名誉、金銭に何不自由ない生活をしているように見える男と、偶然の再会を果たす。男はその内面に絶対的な絶望を隠しながら、「あるもの」を求めて生きることこそ人生であるというただ1つの確信を持っていて……。
光文社の元書籍販売部長が立ち上げた「鉄筆文庫」創刊にふさわしい、必読の一冊です。
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白石一文さんの本はいつも心に響く。
私の隣にいる人は運命の人ではないと数年前から気づいている。
なのにすぐ別れられない。
子どもたちが独立するまで。
今から思うと最初から運命の人ではなかったが、そういう歳の頃に付き合ったから。
25年前に別れた彼が忘れられない。
何回かメールしたけど返事なし。
彼にとって私は運命の人ではないのか、それとも運命の人だからこそ、気軽に返事できないのか、どちらかわからない。
感情こそが全てということに納得する。
好き嫌いは理屈ではなく感情だから、どうしようもない。
嫌いのものを好きになることはたまにはあるけど確率は低い。
残りの人生は好きなことだけして生きたい。
好きな人と好きな時に会い好きなものを食べる。
一緒にカラオケに行って、ロイホで焼肉食べて、彼の解説付きで映画を観る。
何でもよく知っている彼の蘊蓄を聞き、カップラーメンを食べて絵を描いてもらい、彼のモノマネに大笑いする。
言いたいことを言って喧嘩する。
テレビ見ながらずっと足のマッサージをしてもらう。
そういう関係がものすごく心地良かったことを今気づいている。
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寂しい物語。そしてわがままな物語。
男はアホで子供だと思える。
でも面白かった。
白石さんは、人生がハッピーエンドばっかりじゃないのが普通なんだとわかっているように感じる。
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愛と死について箴言めいた哲学的な台詞が多いなと思いながら読み進むにつれ思い至った、この本は恋愛小説ではなく純粋な哲学書ではないのかと。自分にとって最良の選択とは何だったのか、正解を求め得ない問いに煩悶する男女の様子は切実ではあるがどこか滑稽で空疎だ。
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久しぶりに読み終わってから、数日後には物語を忘れることができた本。
小説とは思えない程、終始現実描写に乗っ取ったままで、いわゆる想像的な作風はあまり見受けられない。
もちろん愛という経験が、人間を精神的に豊かにする1つの事柄というのは、身を持って承知しているが、それからせっかくのフィクションなんだから、何かしら読み手を物語に引き込むような仕掛けが仕組まれていてほしかった。
著者は、最近初めてに近い深い愛を経験したのだろうか。それは喜ばしいことだが、物語はパンチがなく普通であった。
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新幹線車中で、あっという間に読了。
バリバリ仕事する女性・運命の人・相手の死、『私という運命について』を短くしたような話でもある。
岳志にような男性って現実的に居る?と納得いかないけど、全体的に好きなお話でした。
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感動作とあったので期待しましたが、白石氏の作品は似たものが多いというか、作者の主張が強いのだと思います。
良く出てくるワードは「運命」ですね。
そして運命の人はだいたい死にます。
私自身は、そんな「運命」と感じたことがあるかどうか、と言ったところですが、運命はあるのかもしれません。
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私はこの作家が好きだ。時々思い出したように読んでしまう。
本当は小説の中で描かれる恋愛などあまり興味はない。ただこの人の小説を読むと、なぜか孤独を思い出すことができるのだ。そして今は、孤独を日常では忘れていられる有り難さを噛みしめることができる。
でも、いつか孤独は、きっと再び訪れるだろう。その時の予行演習のように息を潜めて最後まで読んだ。
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文庫化記念。何度目かも分からないくらいの再読。
白石作品の中で一番、そしてあらゆる小説の中でもかなり好きな作品。
何度読んでも圧倒されてしまうのだけれど、
そこには小説が持つ圧倒的な力があるのだと思う。
たとえば、直木賞・山周賞の二冠を持つベテラン作家だからこそできる、圧倒的な筆力と構成力。
だからこそ、物語はこうして、有無を言わさずに、ぐいぐいと圧倒的に読者を引っ張って行ってしまう。
なぜ岳志はこんなに強く、自分の運命を信じることができたのだろう。
上手く言葉にできないのだけれど、そこにも、読者を強く物語に引き込んでしまう圧倒的な力を感じる。
自分の生き方を「恥じたり、嘆いたりしてみたことは一度だってない」と言い切るほどに強い心を持っていた里江子が、
翻弄され、突き動かされ、
思わず「ちょっと、どうしよう」と声を漏らしてしまうくらいに根底を揺すぶられてしまう、圧倒的な力。
おそらく、「運命」というやつの。
信じ続けることで、彼は幸せになれたのだろうか。
幸せになれると信じていたのだろうか。
信じるしかなかったのだろうか。
見ないで信じる者は幸いである。