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<目次>
はじめに 二つの「まつりごと」
第1章 だれが日本の時間を支配しているのかー時間と政 治
第2章 なぜ日本では「広場の政治」が根付かないのかー 広場と政治
第3章 日本ではもっとも政治的な神社ー神社と政治
第4章 なぜ「神道は宗教に非ず」とされたのかー宗教と 政治1
第5章 二つの神<伊勢神宮vs出雲大社>-宗教と政治2
第6章 なぜ東京には政治の"中核"がないのかー都市と政 治1<東京編>
第7章 いかに民都・大阪は生まれたのかー都市と政治2 <大阪編>
第8章 アメリカ化する地方と親心の政治ー地方と政治
第9章 元始、日本の女性は政治的存在だったー女性と政 治
<内容>
著者の明治学院大学での講義録。ここから今の大学生が何を読み取れたかは疑問だが、「政治学」の講義として面白い「地の訓練」になっていると思う。また、講義録なので話し言葉での文章で読みやすく、すぐに読了できた。
時間や空間(広場)などを政治と結びつける考えは、自分にはなかったので(多分政治学では常識?)、興味深かった。鉄道好きな著者らしく、都市と政治では、盛んに鉄道の話が出てくる(うんちくを語っている部分も微笑ましい)。政治と鉄道のかかわりは常識なので(関連する本を買ってしまった『鉄道王たちの近現代史』)、そうした部分も面白かった。
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原武史先生の最新本。以前やっていた大学講義の書き起こしで、原先生の思想、考え方を学ぶ入門書といった印象。
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明治学院大学での講義録。日本の政治に関する9つのテーマについて分かり易く解説。筆者の歴史認識が鋭い。
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結構期待してたんだけど、講義録で、しかも新書というサイズの制約もあり、一つ一つのテーマの掘り下げが浅い気がした。ただ、東京と大阪の空間論的比較は、かなり面白かった。
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明治学院大学での講義録。なかなか面白い本でした。江戸以降、政府の方針でいかに日本の宗教が歪曲されてきたのかが、よくわかります。日本の政治というのは、西欧の考え方とはちょっと違うので、グローバルな政治駆け引きは苦手なんでしょうね。地方行政についての内容は勉強になります。
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時間や広場など一見政治とは関わりがないように見えるものが実は関係している、ということが書かれている。政治を理解するためには目に見える表面だけでなく、背後の歴史を知ることが必要である。この本でこれまで事実として知っていたこともより深く理解出来た。授業形式の本なので、ややまとまっていない印象も受けた。
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副題は「日本にとって政治とは何か」。
ポリティクスという意味の政治と、まつりごとという意味の政事の二本立てで、この国は形作られているという内容です。
この方の本は、特に鉄道関係がとても面白いんですが、この本も興味深く読めます。
大学の講義録をもとにしているとのことで、この手の本の常套句、こういう授業を受けたかった! とつい言いたくなります。
時間、広場、都市など政治とのかかわりのテーマ設定が、この方の持ち味。
講義の後半も刊行予定だそうで、楽しみです。
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政治と宗教に関する「比較政治学」の講義録だが、特に靖国神社の話はよくまとまっている.若い学生に親切に教えている姿勢が良い.団塊世代としては当たり前に知っていることも、若い世代にはピンと来ないものが多い.このような講義でそのギャップが埋まると良い.
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大学の教授が講義を記した一冊。
日本人にとって政治というのはどういう位置づけで、天皇制がどういう位置づけであったかというのを、著者の視点を通じて知ることができた。
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著者が明治学院大学でおこなった講義をまとめた本で、日本の近代以降の政治史を政治と祭祀の両面をもつ「まつりごと」の歴史としてとらえ、そのなかで皇室がどのような意義をもっていたのかということが具体的な事例にそくしてわかりやすく語られています。
日本の近代史を専門としない学生に向けての講義がもとになっていると思われるのですが、著者がこれまで取り組んできたテーマのいくつかについて、平明な紹介がなされています。ただそのぶん、一つひとつのテーマにかんして掘り下げるということはなされていません。
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【由来】
・新潮新書メルマガ
【期待したもの】
・「知の訓練」というタイトルに加えて「政治とは何か」というサブタイトル。政治についての視点を強化してくれる本かと期待した。
【要約】
・
【ノート】
・残念ながら期待はずれ。講義録の形態なので読みやすかったが。
・「いったん作られてしまうと、その誰かの手を離れて、時間そのものが支配者となる。したがって、たとえ天皇の意思がどうであろうと、時間という支配者に背いた場合には、死をもって償うしかなくなるほどの重大問題になるわけです。」(P37) 思わず「規範」の話かと期待したが、あまりそれ以上はふくらまなかった。
【目次】
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日本政治思想史を専門とし、政治の発生を「神社」「広場」「鉄道」などの具体的な場所に着目する「空間政治学」を提唱する学者が解き明かす「この国のかたち」。日本の政治を多角的な視点で捉えた内容で、明治学院大学の国際学部(横浜市)で著者が2011年9月から2013年1月にかけて行った講義「比較政治学」の講義を新書にまとめたもの。今の大学生に是非おススメしたい一冊。
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明学の講義録。政治と祭祀を合わせた日本の「まつりごと」について歴史的に考える事で、より深い思考を身につける事が目的との事。
講義名は「比較政治学」らしいが何かと比較しているわけではなく、内容的には政治文化論というか政治社会学的という印象。著者の得意とする時間・空間だけでなく、宗教や女性といった観点からもアプローチ。このような独特のアプローチは日本政治思想史業界では色々と意見もあるようだが、思想家やテクスト主体のコテコテの政治思想史よりはこういう学際的な方が学生ウケはよいのではないかと思われる。そもそも日本政治思想史は好き嫌いに関わらず「天皇」抜きでは語る事はデキナイし。
概して「天皇」がテーマになると左右からイデオロギー的な偏向が見られる事が多いのだが、著者の場合はその辺は中立的で淡々と語っている点は評価できる。
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日本にとって政治とは何か、このサブタイトルに従って大学の講義形式で政治と天皇家の政事(まつりごと)を比べその本質を綴っていく。その観点は「時間と政治」においては現代社会で当たり前となっている西洋の太陽暦によって時間に支配される国になったこと、政治と宗教の関連性など身近にあるものが如何にして制度化されていったか、そこに政治がどの様に関わってきたか、更には天皇の関わり合い方についても同時並行的に流れるように説明されており、内容が非常に濃くなっている。この様な授業なら学生も飽きずに講義を聞くことができるだろう。
前述の時間と政治の関わり合い以外に、特に政治に影響を及ぼしやすい神社や宗教について多くのページを費やして説明されている。ここで言う政治とは身近なルールなど政治的に作られるものも対象となる(学校の日直なども、みんなで話し合って決める=政治)。
政治と神社の関連で言えば、総理大臣の靖国参拝などが騒がれるが、国内にある多くの神社の成り立ちや祭神などにも触れている。特に天皇と伊勢神宮、出雲大社の関係性の背景にある壮大な神話は面白い。日本書紀や古事記を読む学生などはそう多くないだろうから、判りやすい政治の話と絡める事で理解を深めたり興味を持たせる事ができるだろう(自分の学生時代にこの様な授業あったかな)。
後半では政治と都市、地方の関係に触れる。何気なく過ごしている自分の街がどういった思想で作られてきたか、特に東京や大阪に住む人なら二つの都市の違いを思い浮かべながら覚えていく事ができるだろう。地方出身者も街のために尽くす政治家の背景に興味が湧くだろう。講義後半の女性と政治の関係も、女性の社会進出が大きな課題となっているリアルな今の課題解決に役立つはずだ。
学生時代は遊びやバイトばかりで学校の授業は卒業後するための面倒な時間とばかり感じていた。それでも大講堂で一番前の席に座るぐらいの姿勢だけは見せ続けたが。進んで学びたいと考える学生ばかりではないから、こういった興味を唆る授業と講義を準備する事が、将来の日本の政治を変えて行く事だろう。