紙の本
ゴリラの魅力
2016/10/28 11:33
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投稿者:390 - この投稿者のレビュー一覧を見る
ゴリラ研究の第一人者・山際さんによる入門書。ゴリラの魅力のキホンを知るには最適とも言える1冊。ゴリラ社会に勝ち負けはない、優劣もない、家族があり、協力があり、平和的なコミュニケーションがある。
そしてゴリラの魅力はface to faceのコミュニケーション。動物園のゴリラ舎で、ゴリラと目が合った瞬間のドキドキを思い出した。
紙の本
ゴリラの研究
2020/03/06 22:55
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投稿者:6EQUJ5 - この投稿者のレビュー一覧を見る
タイトルから、人間社会の変容についてまとめた本を想像しましたが、大半はゴリラの研究についての、一冊です。
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ヒト社会は、闘争と階級のサル型か、それとも雄も養育に参加する争いなきゴリラ型か。
ゴリラの生活にヒト社会の原点を見る!(となれば良いのだが、著者はサル化していると憂いている)。
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久々に自分の認識がどこかズレているのではと思った。題名からすると、現代社会はろくでもないといった内容を想像するが、中身の大半はそうではない。ゴリラやサルチンパンジーなどと、人間を比較対象しながら、人間の行動、コミュニティなどに迫っている。家族と地域社会を共存させている人間がいかに複雑なことをやっているかなど、全く知らないこと意外なことが多くあった。この世のことはだいたい知ってるつもりになってる自分が改めて見直される作品だと思った。
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ゴリラ研究の第一人者がゴリラの家族社会から人間の本来の姿を示唆しようとする。
ゴリラは多くて10頭程度の雄を中心とする集団を作るがサルと異なり、集団内の序列はない。お互いに食べ物を分け合い、遊び、状況によっては同性愛などもある。コミュニケーションもサルのような上下関係の確認ではなく、お互いの目を見て、歌を歌うことでとっている。ここに著者は人間の言葉を獲得する以前の家族生活の原型を見ており、現在の人類の個人志向はおかしいとしている(これは、こじつけに思えてゴリラの話だけにすれば良かった)。
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睾丸の大きさは身体の大きさと比べてチンパンジーが大きく、ゴリラは小さい。ヒトはその間に入る。理由はチンパンジーの群れはオスメス入り乱れている。ゴリラはオス1匹に対しメスが多数。自分の遺伝子を残すために必要な精子の数が違うからのようだ。ヒトは普通一夫一妻で両者の間に入る。ゴリラの社会は上下の差が厳しくない。ボスと呼ばれるオス(シルバーバック)はいるが、絶対的な権力を持っているわけではない。たとえば、ボスが持っているエサを子どもがねだると、しぶしぶではあっても与えることがある。チンパンジーやその他のサルではありえないそうだ。サルの仲間は普通目と目を合わせるとけんかになる。だからなるべく目を合わさないようにする。ところが、ゴリラは相手の目をじっとのぞきこむ。そして、相手の真意をつかもうとする。著者も調査していたゴリラにじっと見つめられた経験があるそうだ。また、著者は洞穴で野生のゴリラの子どもと一緒に寝た経験もあるそうだ。現在京大総長をされている著者ですが、ゴリラの研究で長くアフリカにも滞在されています。その経験から、人間も争いをやめてゴリラのような平和な社会になればいいと考えていらっしゃるようです。ゴリラは力が強くてこわい印象があるのだけれど、そうでもないのかもしれない。
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タイトルからもっと社会学的な本をイメージしていたのだが、良い意味で裏切られた。著者はアフリカでのゴリラ研究のフィールドワーク経験が豊富で(あのダイアン・フォッシーとも関わりがあったらしい)、それを元にした比較行動学的内容が9割を占め、より一層私好みの本であった。
著者の研究に基づいたゴリラの生態について詳しく述べ、また超序列社会のサルを引き合いに出しながら両者の違いを比較、そこから、最終章では、人間社会を優劣のない平和主義のゴリラとサル社会との中間くらいと位置づけ、サル化している、と警鐘を鳴らして締めくくられている。
ははあ、だからこのタイトルなのかと納得できたものの、個人的には、著者の研究によるゴリラ考察が単純に面白く、最終章はなくてもよかったのでは、と思ってしまった。
霊長類の生態に興味があればとても楽しめる一冊。
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岩本さん推薦の本
ゴリラの勝ち負けを作らない、という社会の紹介が大半。
支配関係を明確にするサルと対比しつつ、人間社会がゴリラ型ではなくサル型の社会に、という指摘をしている。
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食べ物の分配行動を生み出した「家族」は人間を人間たらしめる機能を持つ。ここでいう人間性とは向社会性。見返りの無い奉仕、もらったものは返す互酬性、帰属意識。こうしたものが家族と食卓を囲むことによって培われてきた。
「共食」から「個食」へと、現代社会は個人主義への道を歩み続ける。「サル的」な競争社会へと人間が変化することに警鐘を鳴らす。ゴリラ研究の第一人者がゴリラの家族社会から人間の本来の姿を示唆しようとする本。
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ゴリラやサル等の生態を通して、人間社会への考察を示した本。
タイトルからして、現代の人間社会にたいする、皮肉や揶揄を含めたことが書いてあるのかと思ったら、
かなり、生物学的な(人類学、霊長類学)研究について書かれていて、楽しかった。
先進国の中で、人間以外の霊長類が生息するのは日本だけ。日本で霊長類学が生まれ発達。
→日本人って猿のこと、どこかの国みたく馬鹿にしたりの対象とはしてないものね。
世界中の動物園で見られるゴリラは99.9%ニシゴリラ。早い時期から発見され、保護が進んだヒガシゴリラは動物園に行かずにすんだ。
→そういえば動物園は動物の保護が目的なんだった。かわいい、楽しいだけの場所じゃないんだよね。
ゴリラの密猟。
→えっ?ゴリラ密猟してどうするの?
ゴリラの集団を、追うとき、自分もゴリラになったつもりで行動します。・・ゴリラがゴリラ社会のルールを教えてくれる。
→すごい!楽しそう!
ゴリラは仲直りをするとき、対面してじっと顔を突き合わせる。
→夫婦げんかのときも、顔突き合わせて、反らしたら余計喧嘩がヒートアップするよね。「なんで、聞いてないのよ!!!」みたいな。
顔を突き合わせたまま、チュウでもしたら、さっさと仲直りできるのにね(笑)
サル社会では自分の利益のために集団を作るということ。効率的で自由になる。しかし他人と気持ちを通じ合わせることはできなくなる。
個人になった途端、人間は上下関係をルールとする社会システムに組み込まれやすくなる。生殖活動も競い合わなくてはならなくなり、安定感がなくなる。
サル的勝ち好み社会につき進む。弱いものはつねに強者を優先することで、争いは起こらず、支配者にとって効率よい。弱いものは弱いまま、強いものは強いまま。
ゴリラ的平和で平等社会をもともと持っていたであろう人間が、サル社会化していることへの懸念を示す。
でも最近は家族の中でさえ荒んだ嵐が吹き荒れてるから、それこそどうかと思うよね。。。
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共通の祖先であるヒト科の仲間であるゴリラの生態を知り、非ヒト科のサル等と比較することにより、ゴリラとサルとヒトの違い、特に家族・集団・上下関係さらにコミュニケーション行動に関してその違いを明らかにしてくれる本です。▼▼▼言語が人間の食料革命(運搬→肉食→火による調理→農耕牧畜)に伴って生まれたという説も面白い。▼ゴリラは群れの中で序列をつくらない。反対にヒト科ではない多くのサルは勝ち負けの世界をつくり、ヒエラルキーを構築。▼人間社会は、両方の部分を備えている。そして、ゴリラ的な性格から、加速的にサル社会化している。▼人間が人間らしさを保つために必要な家族をないがしろにして、個人主義が突き進んでいけば、社会は平等性を失っていくと想像できます。それは、優劣を行動原理とするサルの社会に似ています。▼人間は家族を重要視する生き物です。家族無しには生きられません。個人一人きりの存在には決してなりきれないのです。▼霊長学研究の創始者は今西錦司。1941年『生物の世界』;人間とは特別な存在ではなく、生物の中の一つの種に過ぎない。▼誰にも負けず、誰にも勝たないゴリラ社会。ゴリラは仲直りをするとき、対面してじっと顔を突き合わせるという解決方法をとります。「覗き込み行動」といいます。食べ物を共有し、共存と許容を仲間に示し合う。▼ゴリラのオスの同性愛行動は、人間に似ている。サル社会では起きない。▼ゴリラは父系社会、娘はひとりで群れを離れて一人オスか別の群れに移動する。人間社会に似ているが、人間社会は家族があって、複数の家族が共同体を作る。ゴリラの集団同士は非常に敵対的である点が異なる。▼人間は、家族と共同体の二つの集団に所属して暮らしています。しかし、現在、家族の崩壊ということがよく言われます。食事を共にする人たちである家族が変わろうとしています。個人が好きなときに好きなものを食べる時代に変わっています。サルは所属する集団に愛着は持ちません。▼「霊長類の共感力と人間特有の同情心」同情心とは相手の気持ちになり、痛みを分かち合う心です。共感以上の同情という感情を手に入れた人間は、次第に「向社会的行動」を起こすようになります。「相手のために何かをしてあげたい」という思いに基づく行動です。▼人間の社会性とはなにか。1)見返りのない奉仕をする。2)互酬性(お返しをする)3)帰属意識(家、職場)▼個人の利益と効率を優先するのは、サル的な序列社会。「人間が一人で生きることは、平等に生きることに結びつかない」は、危険な事実です。▼SNS等の通信革命の流れの中で、人間はどんどん自由になるでしょうが、同時にますます孤独になるでしょう。インターネットなどをきっかけに緩やかにつながることを目的とする集団は、サル的な序列社会となじみやすいものです。▼勝ち負けや上下関係のないゴリラの社会のルールがもともと人間にはあったはずです。フェイス・トゥ・フェイスの相手の顔を見ながらのコミュニケーションを大切にしてきました。人間の脳が許容できる集団の最大の人数は150人。
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タイトルに異議ありw
主にゴリラの社会について書かれている本である。
人類の起源から分化しているサルやゴリラの社会を見れば、人の社会の起源も見られるのではないかという観点である。
驚いたのは、酷く社会的な生き物であるゴリラのことだった。
ゴリラには争いは無い。
優劣をつけないのだ。
喧嘩が発生した場合、第三者のゴリラが登場し、互いに冷静になりなさいというように仲裁する。(サルの場合は強い方のサルに加勢し、強いサルの権力を保とうとするようだ)
生殖行為は雌からの誘いからのみ発生する。
女子からの誘いはセクシーであり、もう、男子は断れないらしい。
そして男子だけの群れを作り、男色にふける事もある。
まさか、生きている中で、ゴリラってセクシーなんだと思うことがあるとは思わなかった。
ヒトは、サルとゴリラの中間地点くらいの位置にいるそうだ。
ゴリラのような成熟した社会性を持つか、勝ち負けの判断で生きるサルのように生きるか、さて、となるんだけど、これはサル不利なんじゃ。この本にはサルについてほとんど書かれていないんだもの。
けれども、進化の道から分かれた先輩のゴリラについていろいろ書かれている本を読むことは興味深く面白かった。
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タイトルがインパクトあったので、パンチのきいた本なのかなーと思ってたのですが、霊長類の生態から紐解くそれぞれの社会性って感じの内容でした。
内容はほとんどゴリラが中心でしたが、ゴリラって愛情深い生き物なんだなあ。
なかなか面白かったです。
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ゴリラの権威、山極先生の著作。ゴリラに対する愛があり、非常に興味深く面白い。
軽い文体でヒトとゴリラ、サルの違いを示している。ゴリラの同性愛についてはゴリラの事なのだが、苦笑してしまうエピソードもあり、ヒトの同性愛についての示唆を含んでおり、今後の研究の結果が気になる。
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猿は勝敗をつける。上下関係組織をもつそうです。それに対してゴリラは、勝敗を付けずに喧嘩してもお互いを理解して和解するそうです。組織も対等だそうです。