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子ども時代の孤独、親や大人のいいなりにすることを望まれる環境、影で行われる大人たちからの隠蔽されたいじめ。そういった事柄が、主人公のアンナと不思議な少女マーニーがともに笑いあい、幸せな時を過ごす背景にあります。運命は気まぐれに、そして容赦なく振る舞うものです。でも、アンナとマーニーは非常に不思議なかたちで、そんな暴君のような運命の外側で幸せな時間を創りだす。もうそこが、ファンタジーの真骨頂だと思いました。現実的なお堅い時間感覚や常識とは違うところのものを用いることで、そういった現実世界で窮屈な思いをする読者たちを癒し、励ますことができたりする。アンナは、内側の人間ではなく、外側の人間だ、として、疎外感を感じている。他人の輪の中に入ることができないし、もともとから、そっち側の人間ではないと重く感じている。そういったマイノリティの味方にもなる本でした。最後に、本書のこの一句を。<プレストン夫人と同じく、ペグおばさんもまた、美味しい、しっかりとした食事の力で治せない心の傷など存在しないと信じていた。>この文章にはとても共感しました。僕の場合は主に夕食がそうなのだけれど、おざなりにしないようにしているのは、同じように信じているところがあるからです。というわけですが、この作品は僕にとって百冊に一冊の僥倖といっていいくらい、たいへん好きで大切なものなのでした。映画版で滝涙でしたが、だいぶ落ち着いて読んだ今回の読書でもうるうるきてしまいました。
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一気に読んだ。
物語の舞台が湿地の広がる地で、「湿地の館」に住む謎の少女が現れる。とても幻想的なお話だ。
私には親友と呼べるほどの友はいなかったけれど、少女時代の親友という存在は、生きる力や人生への肯定感を与えてくれるんだなあ…
時々話の展開が速くて、少し不自然だと感じてしまうこともあったけれど、心に残る話だった。
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周囲の人とうまく打ち解けられずにいる主人公のアンナが、不思議な少女マーニーやリンゼイファミリーとの出会いを通じ、成長していく。
静かなイギリスの湿地帯を舞台に物語は展開する。不思議でいて、希望に満ちていて、楽しい物語である。児童文学であるが、大人でももちろん楽しめる作品。
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細かい描写に所どころ不埒な感想が浮かんだが、思っていたよりもずっと真っ当な物語だった。まぁ「児童文学の名作」って紹介されてるしな。
ただ、前半と後半(明確に区別できる)のつなぎ目がいまいち理解できていない。あんなに頑なだった主人公が、なーんであんなに打ち解けられていくんだろうか。
エンディングへの畳みかけ方は良かったのだけれど、タメがもうちょいほしかったかな。あれよあれよという間に…、でこちらの心境が追い付かんかった。
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アニメ映画見てから小説。舞台は日本ではなく海外。
主人公の性格が暗くジメジメした話になりそうなのだが、周りの人がみんな優しくて爽やかな物語だった。主人公にまつわる謎が最後にスルスルと解けていく流れが映画よりもスッキリしていて、個人的にはこっちの方が好き。
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孤児として育ったためか誰も信用できず、生きることに不器用なアンナを中心に物語は進みます。
ロンドンからノーフォークへ、アンナは療養も兼ねて預けられることになりました。
さて、そこでの暮らしに関わる人々とは何かが違う、マーニーという少女に出会います。
マーニーとは不思議と馬が合い、アンナは幸せを感じますが…。
人の優しさが溢れ、心が満たされる素晴らしい小説です。
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アンナ(マリアンナ)とマーニーの関係が、物語の終盤に出てきたので、最後まで楽しんで読むことが出来ると思います。また、一章十ページほどなので、飽きずに少しずつ読むことが出来るので、良かったです。ちなみに読破したのは、人生初です。
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谷川俊太郎『ひとり暮らし』の中で、「河合隼雄氏がこの児童文学を話題にしている最中に涙でしばらく絶句した」というエピソードとともに紹介されていた。そこから芋づる式に購入。
早くに両親と死別し、施設に入れられたりするうちに、まったく無表情で感情を表に出さなくなった少女が主人公の物語。その少女をあずかった夫妻が「まるごと愛して何もしない」ことの出来る人たちだった。心に傷を負った者のために出来ることは「何もしないでそこにいる」ことだけ。。
マーニーとの出会いと別れ…深い深い繋がりの物語。
ノンフィクション好きで物語は苦手な私でも、これは夢中で読めた。
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ストーリーもさることながら、舞台となる湖や湿地、そして森や植物の自然描写が素晴らしく美しくて大好き。作者が実際に長期滞在した場所で多くのメモ書きをしていたという話で納得。
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映画を観ただけでは全然分からなかったのだが、自分を「世界の外側」にいると思ってしまっている少女がマーニーという不思議な存在に出会うことで「内側」に無事に溶け込むことができるようになるまでという物語だった。多感な思春期の少女の刺々しい感情を見事に描いていて、大人が読んで心打たれる児童文学になっている。タイトルの「思い出のマーニー」というのはややミスリードで、「When Marnie Was There」を直訳した方が物語全体にはしっくりくる気がする。後半の謎が次々明らかになるところの畳み掛けは、まあありがちな話でありながらもかなり引きつけられ、上手い印象だった。
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映画版を見た当時アンナに共感して泣いた思い出があり、原作を読むと映画で描かれていなかった部分が分かって良かった。と同時に映画を観た時からだいぶ時が経った今読むと、アンナの年齢特有の「私だけ外側にいる」感覚、マーニーを唯一無二だと思う感覚は、痛々しく恥ずかしい気持ちになる。笑(共感性羞恥...)
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ジブリ映画で結末は知っていたので、風景や二人の少女の描写を楽しんだ
空や海の表現が素敵でこんな素敵な場所でのんびり過ごせるアンナが羨ましい
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映画をみて興味を持ったので、原作も読んでみようと思った。
映画との違いが、そのまま映画への批判点や感心点になっており、原作のできのよさを再確認できた。
映画では、物語の最後の最後に里親がアンナにしめっち屋敷の写真を渡す。それは形見を渡すタイミングとして不適切だと感じていたのだが、原作ではそもそも写真は失われていた。だから、映画では唐突感が際立ったのかと納得した。
マーニーの娘/アンナの母のエピソードは、映画では国や時代の違いをうまく札幌風にアレンジできており、より残酷な現実を強調しているように感じた。
映画で感じた男性性の強調は、小説エドワードの厳格な態度を反映しているのかもしれないと思った。知らんけど。
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この本、読んだことあるのかなぁ。なんでかわからないけれどこの空気感に馴染みがあったし、リンゼイ夫人の最後の話も聞いたことがあるような気がしたし。
解説によると「トムは真夜中の庭で」と似ているらしく、多分こっち本は子供の頃に読んだと思うけど忘れてしまったので、図書館で探してみよう。
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久し振りに映画を見てやっぱり好きだなってなったので原作に立ち返ってみる。
アンナの心の移り変わりがとても丹念に描写されていて、辛さや救いがとても胸を打つ。
原作ならではの繊細な展開に惹き込まれつつ、映画の再構成が絶妙だと再確認できた。
特に真実が明るみになっていくところからはギリーの話に夢中になるリンゼイ家の人々と同じ目線になれたような気さえした。