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高校の世界史の教科書では数ページしか記載されていない、ローマ帝国滅亡後の地中海がテーマ。
世界史でいう、いわゆる「暗黒時代」である。
この時代はイスラムがシチリア島含めイタリアまで勢力を拡大していく時代である。
キリスト側からみると正に暗黒時代ではあるが、イスラム側からみるとジハードの名のもとにキリスト世界を駆逐していく史上最も勢いがあった時代だったのではないかと思う。
冒頭にも書いた通り、通常の世界史の教科書ではこの部分は暗黒時代で整理され、深くは学ばない。
非常に簡潔にまとめられ、対象はヨーロッパ特に地中海であるのでわかりやすい。
が、この手の本を読むと、歴史からどんな教訓が得られるのか、が重要になるが、本書は教訓というよりも教養として知っておくべき事項を簡潔にわかりやすく記載されている本という方が近いと思われる。
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476年、西ローマ帝国が滅亡し、地中海は群雄割拠の時代へと入った。台頭したのは「右手に剣、左手にコーラン」を掲げ、拉致と略奪を繰り返すサラセン人の海賊たち。その蛮行にキリスト教国は震え上がる。イタリア半島の都市国家はどのように対応したのか、地中海に浮かぶ最大の島シチリアは?
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西ローマ帝国が滅亡し,地中海が境界の中に含まれて,人的にそして物的に流通を促進する役割を果たしていた時代から,境界そのものになった中世に変わった時代の話です。地中海の位置付けが,「道」から「壁」に変わった時代の物語でもあります。キーワードはサブタイトルの「海賊,そして海軍」です。
第1巻では,北アフリカを含む地中海の南側がイスラム化され,イタリアとの間にあるシチリア島がイスラム化されるまでの時代を取り扱っています。地中海を間に挟んでの文明や価値観の違い,そしてその違いがもたらした衝突は何であったのか? また,その衝突に海が果たした役割は何であったのかを読む進めることでいろいろと考えました。
海は「壁」というよりも「道」ととらえる考え方が有効な場面も多いのかなと思います。
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仕事で水戸に行ったとき、
本を持ってくるのを忘れ、
駅構内でこの本を買った。
4冊読むのに時間がかかったが、
まことに興味深い本だった。
キリストとイスラムの因縁を感じる。
塩野七生は、「イスラムにルネッサンスはあるのか」と書いていた。
ルネッサンスというのは、実感としてよくわからないが、
これでいいのか、と我を見直すことだ、というような意味のことが書かれていた。
イスラムにルネッサンスがくることを祈りたい。
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読了。
ローマ亡き後の地中海世界 1 / 塩野七生
海賊、そして海軍。
西のローマ帝国が崩壊した後の中世から、イスラムが勃興し北アフリカがイスラム化してからが元ローマ帝国の新たな受難の始まり、いわゆる暗黒時代ですねぇ。
北アフリカのイスラムが海賊業を生業としはじめる。
まっさきに狙われた先がシチリア。
シチリアはビザンチン領だったが、周りと戦い中のザンチン帝国は救援せず。
シチリアが危ない!
ってな感じです。
パレルモ陥落!
でもって、シラクサ陥落でシチリアがイスラム化しますが、惨劇きわまりなかったがイスラムとキリストの融合でその後の統治がいがいとうまくいって、文化に花が咲いていくことになる。
ノルマン人が来襲するまで200年続いた統治だそうです。
ってことらしいです。
シチリアに特化した1巻目です。
あーシチリア行きたいねーと思いました。
イタリア語の海賊はピラータ(私的な海賊)とコルサロ(公的な海賊)
ピラータ、名前はかわいい。
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476年、西ローマ帝国が滅亡し、地中海は群雄割拠の時代へと入った。台頭したのは「右手に剣、左手にコーラン」を掲げ、拉致と略奪を繰り返すサラセン人の海賊たち。
その蛮行にキリスト教国は震え上がる。イタリア半島の都市国家はどのように対応したのか。地中海に浮かぶ最大の島シチリアは?
(当書裏表紙あらすじより)
「ローマ人の物語」のその後の世界を描いている作品です。
よく暗黒時代と聞きますが、実はその時代こそ「古代ローマ帝国」が滅亡した後の地中海を中心としてヨーロッパ世界のことを指していたんですね。
何となく判ったつもりになっていたけど、実はよく知らなかったこと、ってあります。
今回、ヨーロッパの中世が暗黒時代で、文化的には古代よりも退化していたんだ、ということを知りました。
それだけでも読んだ価値があったと思います。
文化的に退化した、と書きましたが、本著の中では「人と人の結びつきが遠くなった」と評していました。
逆に古代ローマの時代がどれだけ凄かったか、ということを改めて感じました。
どうしても現代の中東を荒らしまわっている「IS」と比較してしまいます。
イスラムが悪いとは思わないけど、原理主義というものの危険性というのは感じました。
「右手に剣、左手にコーラン」なんて大昔の歴史の教科書で見たものだったけど、よくよく考えると今の「IS」はこれを実践してしまっているんですね。
偶像破壊がその最たるものでしょう。
それでも本著の最後にイスラムに占領されたシチリアだったけど、実はキリスト教と併存し、奇蹟的に栄えたという記述には驚きました。
拉致・略奪をするのも歩み寄るのも人の為すこと、ってことですかねぇ・・・。
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「ローマ人の物語」と「海の都の物語」のミッシングリンクがここに!(文庫化まってました!)崩壊した秩序ってのは簡単には戻らないものなんだなあと(まだまだ序の口だけど)そして、シチリア化したアラブ人が生み出した(比較的)穏健なシチリアの独自性とか豊かさとか、海賊が産業化したためにローマ帝国時代の農耕による豊かさを完全に失ってしまったカルタゴとか。知らないことが多くて読んでて楽しい。(塩野七生の文体は好きなんだな)
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四世紀から十世紀の「暗黒中世」前半における
シチリアを巡るイスラムサラセンと「われらが」イタリアの戦いを描いた1巻
1982年に書かれたヴェネチア主人公『海の都の物語』の別視点
歴史記述を並べていくだけでありながら
『ローマ人の物語』同様不思議に面白い
作者の語り口上手さの勝利
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ローマ人の物語の続編。なんというか、書いてくれて有り難い。
イスラム勢力であるサラセン人海賊が地中海を荒らす。
シチリアの占領まで。
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文庫1-4巻全4冊を通してのレビュー
476年、西ローマ帝国が滅亡し、地中海は群雄割拠の時代へと入った。台頭したのは「右手に剣、左手にコーラン」を掲げ、拉致と略奪を繰り返すサラセン人の海賊たち。その蛮行にキリスト教国は震え上がる。イタリア半島の都市国家はどのように対応したのか、地中海に浮かぶ最大の島シチリアは? 『ローマ人の物語』の続編というべき歴史巨編
巻末の附録にあるように、
本書は地中海の中央にいて東西南北に視線をめぐらせているスタンスの作品である。
イスラム世界のトルコ、キリスト教世界のスペイン、フランス、ヴェネツィア、法王庁の5者+イスラム世界の海賊たちが跋扈する地中海世界で、まだ誰一人として絶対的な力を持ち得ないために混沌とした状態が続いている。
この時代のこの世界のことを、
大まかに理解するためには本書は最適と思われる。
細部まで理解したいという方々のためには、
著者は下記の作品を用意してくれているので、
合わせて読み進めていけばなお一層の理解が深まるだろう。
「十字軍物語」
「海の都の物語」
「コンスタンティノープルの陥落」
「ロードス島攻防記」
「レパントの海戦」
さらに付け加えるなら
「ルネサンスの女たち」
「チェーザレ・ボルジアあるいは優雅なる冷酷」
「神の代理人」
「ルネサンスとは何であったのか」
「わが友マキアヴェッリ」
「愛の年代記」
上記の作品はすでに読破済であるが、本作を読むにあたり、再読をし始めているところである。
いずれにせよ、ジグザグ読みが楽しいと思える作品である。
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相変わらずこの人は歴史を書くのが上手でグイグイ読ませてくる。北アフリカを席巻したイスラム勢力が海賊として地中海に跋扈した。オリジナルイスラムとしてのアラブ人と新イスラムとしての北アフリカ人をまとめてサラセン人と呼んでいた。紀元800年代のキリスト教勢力とイスラム勢力の争い。シチリア島がイスラム勢力に支配されたのは初めて知ったのと、そこで実現したイスラムの寛容。
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ちょっと前に、NHKでヨーロッパ各地の崖上の街を空撮で巡るっていう番組を観てて、どうしてこんな場所に街作ったのかとびっくりしたんですが、その背景の一端が本書で分かりました。
イスラム勢力に押されて、安住の地を求めた結果という説明はかなり説得力がある。どう見ても教会というより要塞な建物群も納得がいきます。
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「ローマ人の物語」が読み終わって、残念に感じていたら、その続きを塩野七生は書いていた。
残念な中世キリスト世界を残虐なイスラム世界が駆逐していく。シチリアを巡る攻防は読みごたえがあったが、狭量なキリスト世界と違い、イスラムの寛容は新たな世界を創っていた。中世のイタリアは目まぐるしく統治者が変わる。明るい陽光ふりそぞぐ地中海世界の血まな臭い歴史は続く。