紙の本
現代への警鐘
2016/03/28 17:01
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投稿者:den - この投稿者のレビュー一覧を見る
最近はテレビでの活躍が多い著者が15年以上前に書いた文章だが、思考の根底にあるものは変わらずに強い説得力を持っている。
パリ、ロンドンに始まり欧州各地を旅しながら歴史を振り返る記述は臨場感にあふれて読みやすく、特に先ごろ亡くなったウンベルト・エーコを引用するマドリッドの章は、現代への警鐘としても出色。
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本書はもともと2000年に単行本として出版されたものを2007年に選書化し、文庫化するにあたって2006~7年に書かれたエッセイ2編を付している。だから、基本的にはミレニアムを迎えるにあたって100年前を振り返るというスタンスで書かれている。また、その基本には昨今の日本が米国を通して世界を見る状況にあるのに対して、欧州が過去の存在になっていることへの批判がある。
1900年は18世紀最後の年であり、市民革命などを経て、さらには社会主義の理念とその実態とのはざまに揺れる社会風潮があったようだ。結果的に2度の世界大戦を引き出すきっかけもすでに生まれていた。
こうした欧州の中に飛び込んでいき、それぞれの個性で欧州を血肉化していた日本人たちの姿が点描されている。今日のように情報化がなされていない時代において、日本と国際社会を繋ぐものは個人の資質であり、その細い糸を通して必死で吸収していたようである。日本が欧州化をめざした結果、生じた今後の歴史的展開を考えると、そのすべてが評価できるわけではない。ただ、その時代をかなりの背伸びややせ我慢をしながら生きていた100年まえの日本のエリートたちの姿を垣間見ることができる。
紹介されている漱石の日清・日露戦争時代の日本の浮かれた国民感情に対する冷静で批判的な発言などは、今日再評価されてもいいのではないかと思った。
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1900年に海外に行った日本人を通して日本を見る一冊。
その当時の時代の空気感がよくわかった。
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積読。
ほんとに長いこと眠らせたままでしたが読んでよかった。一篇がちょうどよい長さで俯瞰視点がとてもよかった。