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弁護士の佐山と妻の市子のもとにさかえがやって来る。夫婦は、妙子という死刑囚の娘をひきとって暮らしていた。市子は流産をしていたらしい。子供がなかった。さかえと妙子と市子という三人の女性。市子には清野という戦前に?恋仲だった浮気相手がいて、シネラマ(映画)に行った時に偶然再会する。さかえには光一、妙子は有田と同棲、そして結構までいくのだが、どうもしっくりしない。さかえは実は、佐山(夫)にほんとうは惹かれているのだということがわかるし、妙子は死刑囚の娘であるというところが決定的にネックになっている。それに、やはりさかえと妙子はうまがあわない。最後には、なんと市子が子供を産むことになるのだが、お腹が大きくなったりしていた気配がなかった気がするのは読み落としであろうか。
連載小説のかたちだからか、どこまでも続けられそう。小さな絵が積み重なっている、並列に展示されているのを順番にみていくという感じの長編。退屈でもある。女性が読んだらどの程度、川端康成の描く女性に共感するのだろうか?
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この小説は、東京に住んでいる主人公の弁護士夫婦の家庭に「さかえ」という女性が来て、夫婦と養女の中にいろんなドラマを生む。
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文章がきれいだからすらすら読める。
男性が書いているとは思えないくらい、女性の内にある嫉妬や愛憎、気持ちの高まりがよく書かれている。
怖いくらい。
市子みたいな女性になりたいですね
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さかえちゃんも、妙子ちゃんも、市子さんも、みんなある程度、全ての女性の心の中に潜んでいると思う。
無垢なエロティシズム、年長者の分別と憂鬱と苦悩。
そして、さかえちゃんのように、女は本当によく人を真似るんです。
気味が悪いくらいに足跡を辿ろうとする。相手が気付いてるのにも気付かず、純粋に。
まっすぐなのか、ひねくれてるのか分からない。
そんな生き物なのです。
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若い女性が二人、かたや水底に澱んだような不穏と悲しみ、かたや火花のような混乱と衝動が印象的。若い感性ゆえの危うさとイタさなんだろうけど、それを美の極地に昇華させているのが川端一流の筆力。彼の日本語がそうさせている。
そもそも川端にかかれば初夏で風が蒸し暑くなってきたってだけのことが、あるいは戸口に郵便屋さんが来たってだけのことが、こんなにも美しくなるのだから恐ろしい。
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「朝日新聞」への連載開始は1956年で、1巻をその年に、2巻を翌年に刊行。
とはいえ佐藤碧子による代作の疑いあり。
どおりで川端にしては長い。
ただしきちっとした構成がなくダラダラと続いていくのは川端っぽいといえばいえる。
また、美しい令夫人の市子、気の強い割には気弱なところもあるエキセントリックなさかえ、暗い影を背負った妙子、という女性の三角形と、
彼女達に振り回される佐山、光一、有田という男性の三角形が組み合わさる関係性で話が持続していく作りは、結構川端っぽい。
マンネリの極致なのだ。
で、小母様が好きだとか小父様が好きだとか中年男性の夢のような展開をさせておいて、結局はさかえの奔放が結果的に夫婦を(性的に)盛り上がらせたという、夢の夢みたいな展開にしていくという、悪しき中年男性作家のドリームばかり。
正直結構辛かった……。
ネットで感想を漁ると、結構真正面から感動したという人がいてびっくり。
まあ1956年という「第二の十年」の初期にあたるピースを把握しておくためには、読んでよかったが。
代作問題については、「真似しやすい文体」であったこともまた要因のひとつなのかなと、思ったりした。
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何度も読んでいます。
男性である著者がなぜこんなにも女性を深く掘り下げられるのか。
妙子の飲んだ薬がなんなのか気になります。
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分厚くてとても読む気にならなかったけれど、落ち着いてやっと読めました。
妙子と有田の、愛を考えるシーンがとても印象的で、家族愛や夫婦愛を自身の体験に重ねて読むことができてとても感銘を受けました。愛は誰しもが与えられて育っているのにそれに気づかなく、生きてしまうもの、愛は無償に誰しもが与える事が出来るんだと気づくことが出来て、とても満たされました。
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川端康成の現代物。
昭和30年代の東京を舞台に、子供のいない弁護士夫妻、身を寄せる被告人の娘、大阪から出奔してきた友人の娘が織りなす出来事。
小説として深いものはないが、戦後間もない、豊かになりゆく昭和の世相が面白い。有楽町のキネラマ、キャバレー、デパートなど。映画化されてたら観たい。
また、女性の描き方もど昭和で、男女交際の進み方とか「純潔を奪われる」みたいな表現、21歳くらいなのにすぐ結婚相手にどうかとか周りがソワソワしたりとかが面白い。女性の生き方は本当に限られていて、成人して結婚するまでの数年しか自由はなかったんだなと感じる。
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自由奔放で現代的なさかえが、弁護士夫人の市子の元に家出してきたことで、殺人犯の娘と負い目を感じている妙子や佐竹夫婦が変わっていく。 700ページ近い大作でしたが、物語に惹き込まれてあっという間に読了しました。女性を取り巻く社会通念は当時と大きく変わっている部分もありますが、女として生まれ生きていくことの困難や哀しさは実は変わっておらず、それは最早「女であること」の業なのだと深く感じました。人間関係を引っ掻き回すさかえの複雑な人物描写が素晴らしく、流石は川端康成だなあと思いました。
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こんなに面白い小説があったのか!というくらい久々に一気に読んだ。
文体は易しく、会話文が多くてテンポがいい。会話文では言い争ったりする中で少しの流れの変化で気持ちが揺れるのがよく伝わった。
三人の女性が対照的に描かれているようで三人ともが似ているように思えてくる部分がある。
特に市子とさかえは一部重なるように描かれていて、そういう部分が見える度にさかえは市子を理想化したり見損なったりを繰り返しているようだった。