紙の本
日本にもかつて巨大な政治家がいた
2020/05/31 21:58
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投稿者:つばめ - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書は、岸信介総理の評伝である。最近のある雑誌に、「岸信介は善し悪しを別として巨大な人物だった。論理は明快。どんな質問を野党側が投げても、尻尾を掴まれることなく当意即妙に理路整然と返したという。もちろん振付師はいない。それが当たり前だったはずなのだが、いつからか国会や記者会見は台本付きの人形劇となってしまった。」とある。著者は本書を執筆した動機を次のように述べている。「岸は国益のためには保身を図らない政治家が、対する不満や物足りなさが、この本を書かせたともいえるかもしれない。」この評伝は岸の「負」の部分についての記述も当然あるが、全体としては、肯定的評価をしている。
岸がA級戦犯容疑者として巣鴨に旅立つ朝、庭先の縁台に水盃の用意が調えられた。その時百姓身なりの女が、「お前ら、何をしおたれているか。岸は三年ぐらいしたら必ず帰ってくる。日本を再建するのに絶対必要な男だから、神様は殺しはしない。」と告げた。この女は、新宗教「踊る宗教」の教祖で、10年以内に総理大臣になるとの予言も的中。日本の戦後政治の動向や新宗教に関わる予言的中の話題など読み応え十分な評伝であると思う。
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事を成す、リーダーの命懸けの精神は凄まじい。
戦中、戦後、国を想い活躍した岸総理の改憲の想いは、孫に託された。
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岸信介。風圧を感じるという。
昭和の時代を支えるために、戦犯として投獄されていても
時代の要請で表舞台に。
宗教家に、かならず、首相になると言われ
安保改定をやってのける。
晩年も、飛び回っていたようだ。
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戦後A級戦犯として巣鴨プリズンに3年間拘留された後政治の世界を上り詰めた男、岸信介。
保守合同後の初の自民党幹事長、翌年の第56代首相、そして60年安保改定、「ただの運じゃ駄目なんだ。悪運が強くないと政治家は駄目なんだ、運が七分さ」と言い周囲のものを笑わせていた岸信介。確かに巣鴨拘置所に収監されるも、不起訴になり3年後に釈放、自民党総裁選に敗れるもわずか2月後に石橋湛山の辞任によって、総裁総理の座を手に入れる。そんな「昭和の妖怪・岸信介」を作者は数多くの関連書籍を参考によくぞここまで書いたものだ。
又、現在岸の孫、安倍晋三総理が繰り広げる改憲への繋がりも興味深い。
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岸が官僚の道を選んだのは、体が弱かったから。
状況はんだに狂いがない。タイミングを計るのがうまい。それが政治家の必須条件だとすれば岸は天才。
ただの運じゃダメなんだ。悪運が強くないと政治家はダメなんだ。
マスコミから悪口を言われている限りは、社会的影響力を持っている証拠。
岸はまず怒らなかった。
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岸信介の評伝である。評伝というと、生い立ちから始める本が多いが、あれは本題に入る前に疲れてしまうことがある。安保闘争から始まり、過去に遡ったり現代にもどったりとする本書の書き方は読み手に緊張感を与える。うまい。今考えると、1960年の安保条約改定は明らかに不平等条約を改定である。だから、どうしてあれだけの人が立ち上がり反対し、死者まで出したのか。今考えると不思議である。それにしても、岸信介という人は悪運の強い人である。いつも、なにかに誰かに助けられる。だから、「醜聞」は本書からはあまり感じられない。岸さんが女性好きだったという話が何カ所かに出てくるが、これも昔の政治家では当たり前で、醜聞とはいえない。もう少し醜聞を書いてほしかったと思う。
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工藤は文章が巧みである。工藤の手に掛かればいかなる人物であったとしてもそれなりの物語にすることが可能だろう。我々は文章や言葉に直ぐ騙される。その最大の見本がバイブルである。あの文体は脳を束縛する心地好さがある。イエスという人物があたかも実在したように錯覚させられる。しかも西洋人はイエスの言葉を通して、更に実在の不明な神を信じているのだ。胡蝶の夢のまた夢といってよかろう。
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