紙の本
進化した竹宮さんが見られます。
2015/03/19 00:42
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投稿者:オオバロニア - この投稿者のレビュー一覧を見る
竹宮さんといえば「とらドラ」で有名なイメージがあって(私は中学生の時に読みました)、それ以来あまり目にしなかったのですが、新潮文庫nexのラインナップで名前をお見かけして「「おっ!」と思って即購入しました。
「とらドラ」のテンポの良さは以前と変わらずでしたが、若者のモヤモヤの描き様は確実に進化していると思います。
ラノベのような見た目ですが、侮れません。是非一読を。
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無職女×コスプレ男の圧倒的恋愛小説、というオビだったけど、恋愛小説ではないように感じる。むしろ枇杷と朝野の友情とか喪失の話なのではないかと…。「清瀬朝野」を中心に回っていた世界が突如壊れてしまった二人が出会う。…やっぱり恋愛小説?読み終わって清々しい気分になる。元気をもらえる。もう一度読みたい!
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23歳無職が実家を追い出される過程がつらすぎる。リクルートスーツで行った親友の葬式をきっかけに、就職活動ができなくなり、引きこもりに。西田亮介さんの例の新書(『無業社会』)思い出してた。
題字も凝っていて、しかもとてもいいし、デザインやイラストの力の入れ方もすごい。
新潮社文庫nexというレーベルに対しての期待値も込みで、個人的には☆5つあげたいところです。(小説的には3つです)
読了しても、表紙の爽やかな印象が心に残って、そう高いとはいえないクオリティを裏切っている(いい意味で)。これからも楽しみ。
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【内容紹介】
これは恋か、贖罪か。圧倒的恋愛小説。
錦戸枇杷。23歳。無職。夜な夜な便所サンダルをひっかけて"泥棒"を捜す日々。奪われたのは、親友からの贈り物。あまりにも綺麗で、完璧で、姫君のような親友、清瀬朝野。泥棒を追ううち、枇杷は朝野の元カレに出会い、気づけばコスプレ趣味のそいつと同棲していた......! 朝野を中心に揺れる、私とお前。これは恋か、あるいは贖罪か。無職女×コスプレ男子の圧倒的恋愛小説。
竹宮ゆゆこ:タケミヤ・ユユコ
1978(昭和53)年、東京生れ。2004(平成16)年、「うさぎホームシック」でデビュー。軽快な会話劇を軸に、男女間の生き生きとした恋愛模様を描く書き手として、強い支持を集めている。他の著書に「わたしたちの田村くん」(全2巻)「とらドラ!」(全13巻)「ゴールデンタイム」(全11巻)がある。
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タイトルと表紙のデザインに一目ぼれして、内容を確認せずに購入。
23歳無職のヒロイン、錦戸枇杷が心の葛藤やらを乗り越えて前を向いていく話。
文章のノリが完全にラノベ。
ストーリーそのものは悪くないけど、書き方が中途半端でいまいち入りきれなかった。
ヒロインの心の叫びをそのまんま文章にしている感じ。散りばめた設定が随所で明らかに死んでいて勿体ない。
ヒロインの心の動きの繊細な部分とか、ぐっとくる個所はいくつかあるけど、同じようなことでぐるぐるぐるぐると考えて見開き一ページ消費とかはいただけない。
タイトルと表紙は本当に気に入ったので、蔵書には加えておきます。素敵。
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読み始めると止まらなくなりますよ、これ。
枇杷の勢いに乗ってどんどん読み進めて行けば ぶっ と吹き出すやりとりがあったり しかして切ない、胸の奥がきゅんとなったり、
とにかくがーっと一気に読み終えれば、元気になってしまうもので小説ってすごいなと
こんなに一気に読んだのは久しぶりのことで
心の栄養だな と 確信したのでした
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最初に。とらドラなどこの方の作品をこれ以外を読んだことはありません。この作者の作品はこれが最初です。
まずこの作品、あらすじを知らず読んでしまうと「いったいどういうジャンルの作品なんなのかわからないよ!」という状態になります。この作品は恋愛小説らしいです。読者さんでこれはこういう作品なんだな、ってしっかりと結論付けてみるといいかもしれませんね。
タイトルの意味は最終章にならないとわかりません。
それとナポレオンズが懐かしい。
―――くるくると回る世界に、枇杷はそうやって永遠に愛を生かす。
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竹宮さんらしくやっぱり行動・ギャグが振り切ってて面白かった―。そんでやっぱ竹宮さんらしくラブコメ。
で、「あなたの罪を断じてあげる!」は結局何だったんですか?実際朝野にはその時なにがあったんですか?いや、何を今さら野暮なことを…って感じですがだって枇杷と朝野の最強コンビもっと見てたかったんだ…。
竹宮さんの作品内では、ラブコメよりも無敵の友情コンビの方が好きになる傾向があるので、どうしてもラブ要素が大きくなってくる後半は寂しさが募るのである…
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ところどころ笑える言い回しがあり言葉選びが素敵だと思った。
暗くなりがちなテーマだけど全体を通して明るく、読後感は爽やかで元気になっている。
枇杷が昴を受け入れたのは愛だ。
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主人公の性格が好みであることと、人間本当に落ち込んだときはおかしな方向にポジティブになる、という性質がよく分かって面白かったです。
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とにかく新潮文庫NEXのなかから何か読みたくて購入。
文章のスピード感と会話の掛け合いが大好き。読み上げるようにして読みたい。実際に声に出してはないけど。
朝野は、キーとなる人物なのに、最後まで実体が掴めない人だったなあ。
しかし、枇杷の家族は悪い人ではないけど、あれはやや荒療治過ぎないか…。あれで発奮しろという方が厳しい。
あと、裏表紙に書いてある粗筋はちょっと違う気がする。恋愛小説じゃあないよなあ。
ともあれ、新潮文庫NEXはもう何作か読んでみたくなった。
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分からない。
「映画」は朝野であり、
「サントラ」は枇杷の朝野から受け取る心象であり、
「聞く」ことは知ることであり理解することであり、
「知らない」とは不可知だと諦めることであるとともに敢えて知ることから避けることでもある……ように思う。
一見幼い言動が目立つ枇杷は、年齢の割に妙に達観しているようなところがあって、世の中「知らない」ままでいいと思うことがたくさんあるようだ。枇杷の視点から物語を追っていっても、結局朝野の真意はぼやけたままだし、昴のセーラー服徘徊襲撃強奪マッサージ現象の深い意味は分からない(物語の最後に、自死願望から来る何らかの行動だということはわかったが、読者の理解を超えていることに違いなかろう……)。
知ることよりも自分と世界を回り続けて、回し続けることに重きを置く。
読み方によっては、枇杷は最後まで朝野を受け止めていないようにも読めるし、枇杷と朝野は深いところでつながっているようにも読める。
だから分からない。
「知らない」でいいのであれば私は枇杷と同じなのだろうか。
それから、ほかの方々が言うようにこれは「圧倒的」恋愛小説ではない。表紙裏が嘘ついてはいけません。
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ヒロインは、23歳無職。
裏表紙のあらすじには「圧倒的恋愛小説」と書かれていますが、恋愛小説というより、喪失と折り合いをつける物語でした。
テンポ良く遊びのある会話でどんどん読ませてくれますが、根っこにあるのは重たいテーマ。
ハイテンションでぐいぐい引っ張りながら重い話を読ませてしまうのは、さすが竹宮ゆゆこ。
親友・朝野の存在感が圧倒的でした。
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『回転せよ、と誰かが言った。
万物は巡り巡るものだもの。回転するのが自然なの。回りもせずに存在するとか、実はこの世にはありえないし。』
『ぐるぐる、ぐるぐる…扇風機。洗濯機。フラフープ。フリスビー。ていうか地球。ていうか銀河。そもそも原子。全部。すべて。みんな。自分も。』
『音を立てないようにそろそろ動くその姿は「太極拳の女使い手」か、もしくは「女空き巣」か、もしくは「太極拳の使い手で空き巣の女」みたいだが、そのどれも正解ではない。ここが自宅なのだ。』
「本当は、…肋骨的ななにか? が? 折れているにも似た? 状況? という…ほのかな?予感が、する…? かもしれない? のです」
「まさか枇杷ちゃん、そのパンとビールがお昼ごはんなの!?」
「え。だめだった?」
「病気のゴリラじゃないんだからー! せめてパンはトーストするとかぁ! あーもうビールの残りはやめとこうよ、人としてー!」
「…病気のゴリラの何をあなたは知っているの?」
『説得されて枇杷は泣いた。すべてがあの瞬間にダメになったのだと悟った。音を立てて断裂したのは靭帯だけじゃない。あれは夢そのものが断たれた音だった。』
『実はつい先日、シンクに落として割ってしまったのだが、心の中の松岡修造が「割れたからって諦めるのか!? アロンアルファで貼ってみろよ! ダメダメダメダメダメ、諦めるな!」と熱く騒いでいたので、破片を集めて接着してみた。』
『血も法も倫理も、今の自分を縛りはしない。どんなことでも今ならできる。』
『セーラー服女装の変態ルックで、昴はぐいっと親指を立て、枇杷に向けて堂々と微笑んでみせた。
「俺はここにいるよ、錦戸さん。だから、大丈夫でしょう!」』
『(あれは性癖というより運命なんです。ただの女装ではなくて、二代目清瀬朝野なんです。世界には朝野が必要だから、こいつがその跡を継いだんです。そしてより一体性を高めるためにコスプレをしているんです。それに今夜は、)
ー それに、今夜は。
(私が、朝野を探している…から)
だから、着替えてくれたんです。「ここにいるよ」と「大丈夫でしょう」、私にそれを言うために。
多分ですけど。』
「がんばれ! ファイトだ錦戸さん! 君ならできる! 絶対いける! ヒュー!」
「しっ! うるさい! 気が散る!」
「……」
「黙るな! 気まずい! 適宜声出せ!」
「…がんばれー」
「鉄股かあ…それなら俺のことは、独身男、なんて思わなければいいよ」
「じゃあなんだと思えばいいの」
「こういう形をした、生肉でできた置物だと思ってみたらどうだろう」
「…うーん…それはそれで気持ち悪い…」
『(ていうか、変えるためにいくんだ、私は。変えたいんだ、なにかを。もしかしたら、なにもかもを)』
『私はこうして、おまえのためにこの世界を回すから。
だから、やっぱり、元気になれ。どうか元気になってよ、森田昴。死にたいなんて、そんなことはもう二度と思わないでよ。』
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親友を突然亡くして、それを受け止め昇華しきれずにいる主人公と、その親友の元彼とが現実にジタバタしている日常がコミカルに終盤まで長々と続いているだけの印象だったのが、突如として生き生きとし、気付いたら感動的に変化していた。回転の遠心力か(笑)?
文体がラノベらしく軽いので侮りがちだけれど、死というものに押しつぶされない様に何とか均衡を保っているようにも感じられかえって良かった。