紙の本
かぐや姫は宇宙人?
2017/07/15 11:05
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投稿者:夏の雨 - この投稿者のレビュー一覧を見る
「今は昔、竹取の翁というもの有りけり」。
これは言わずとしれた、日本最古の物語といわれる『竹取物語』の書き出し部分である。
これだけ有名な古典で、しかも竹の中から生まれてきた主人公かぐや姫はおとぎ話のように語られることもあって、知らないという人は少ない。
けれど、いざどんな話かと問われると「?(はてな)」と首を傾げてしまう、そんな物語になっていないか。
これだけ有名な古典だから、現代語訳もさまざまな書き手が試していて、川端康成、田辺聖子、江國香織、最近では池澤夏樹さんの個人編集で話題となった「日本文学全集」では森見登美彦さんが挑戦している。
中でも人気の高いのが、SF作家の星新一さんの現代語訳。
星さんの現代語訳の特長は、原文の各章に合わせて、星さんのちょっとした文章がそえられれていて、これは訳文としてはルール違反かもしれないが、これがあるおかげで物語の奥行きがでたような気がする。
さらに、「あとがき」とそれにつづく「解説」もよく、特にこの物語が「かぐや姫が天空の外の人であった点を除けば、なんの飛躍もない」と記したことに大いに納得したことだ。
つまり、この物語はかぐや姫というただ一人をのぞいて、そのほかの登場人物は実に人間臭い。
竹取の翁もそうだし、かぐや姫に求婚する五人の男たちも帝もそうだ。
こういう男たちなら、21世紀の今でも、うんといる。
そういう時代を超越した描き方が、この物語を永遠のものにしているともいえる。
なお、この角川文庫版は原文もついていて、お得だ。
紙の本
星さんらしい訳し方
2017/02/21 10:22
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投稿者:tamayo04 - この投稿者のレビュー一覧を見る
竹取物語も、星さんの手にかかればこんな感じになるのかと思っておもしろかったです。安く買えますが、それもまたうれしいです。
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示唆するものの深い解釈
2020/04/25 09:18
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投稿者:岩波文庫愛好家 - この投稿者のレビュー一覧を見る
竹取物語と言えば幼少期に読んだ事に始まり、中学の古文で『冒頭暗誦』に至る程度にとどまっていました。ところがこの歳になって改めて読むと、幅の広い解釈が出来、中々に奥深さを感じます。
本書は星新一さんの解釈によって綴られており、そこに惹かれて購入しました。星さんの解釈は原文にかなり即していて、或る意味で意外でしたが、そこから解釈される内容は実に腑に落ちるものでした。
また、5人の男性たちの顛末を表現する言葉の成り立ちが興味深いです。言葉というのは時代を経て変化します。言葉とその時代背景を考えるというのも一興かと思います。
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ところどころにブレイクタイムがあって、
かぐや姫を自分のものにしようとした5人の男達が語源となった言葉などの解説があったのが良かったです。
かぐや姫といえば小さい頃に読んでもらえる絵本の定番で、私もその頃からの憧れのようなものを持っていました。
しかし、この本を読んでいるとかぐや姫が魔性の女のように思えてくる!
本の中でも男達の一人がかぐや姫に対してそんなようなことを言っていたのが新鮮でした。
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竹取物語が星新一の訳でポップに生まれ変わりました。最初の5行を立ち読みしただけでベタボレ。原文を読んでから口語訳を読むとさらに楽しめます。
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小6から中1にかけて読み漁った星新一。彼のショート・ショートは当時のわたしにとって読みやすい最高の長さである反面、そのおもしろさの特殊性がまだわからないほど幼くて、ただ余分にブラックなところのあるちょっと怖い物語集だった。それでも怖がりのわたしが熱中して結局だいたい当時の既刊は全部読んだぐらいだったから、よっぽど好きだったのは間違いない。今思うと、大人向けの「ドラえもん」みたいな位置づけにしていたのかもしれない。
以来かれこれ10年以上ご無沙汰だった訳だけれど、先日、弟が外国語訳されたショート・ショートを再び日本語に訳すとかいう宿題をやっていたのを手伝ったときに、無性に懐かしくなって何か読んでみようと思ったのだった。
印象に残ってるストーリーは、たとえば「午後の恐竜」とか「ピーターパンの島」。そういうあまりエロではなくファンタスティックで、バッドエンドの話が多い。そういうのを実家で掘り返そうかと思ったけど、たまたまこの「竹取物語」が夏の100冊で売られているのを見かけて買ってしまった。
内容の紹介は省くけど、とにかく彼の作家目線、それもSF作家としての目線は、原文の面白みを損なわず現代人向けに翻訳するというのをうまく実現しているようで秀逸だ。それから書き口。まるで語りかけてくるような独特の言葉遣いによる感想と解説は、なんだか幼い日の懐かしい人に再会したような感覚を呼び起こす。亡父に物語を話し聞かせてもらうような感じ、それと同時に、シニカルなバッドエンドの、子供心に少し怖い作家のおじさんのイメージが交錯する。遠い時間の向こう側との対話は、物語自体の不思議さとあいまって夢見心地な気分だった。
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「今はとて天の羽衣着るをりぞ 君はあわれと思ひ出でける」
星新一訳の竹取物語。結局は竹取物語に変わりはないんだよね〜。
やっぱりこの話はあんまり好きじゃないかと思ったけれど、コミカルな文章は星節だなぁ、とつくづく思ったのでした。
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竹取物語を、現代語訳したもの。
全部星新一の文体で書かれてるから、古典だけど凄く読みやすい。
そして、区切り毎に星新一の考察が書かれてたりしてそこも面白い。
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竹取物語の星新一による現代語訳。
章の変わりに星さんのつっこみ(?)が入ります。
訳にも星らしさが出ています。
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はじめに原文を読んでから自分なりに解釈したのちに読もうと思ったのですが、長ったらしい名称を読むのが面倒くさくなってしまい星さんの訳の方から手を出してしまいました…
読み方としては上の方が楽しめると思いますが、星さん訳からよんでもすごい楽しいです
かぐや姫が、ものすごく人間味あふれているし、おじいさんも耄碌しているのかわけわからん言動するし
そのおじいさんの言動の中でもとりわけ好きなのがかぐや姫を自分の子供にするための言い訳
「竹とは、長いつきあいだ。高いとこ、滝のちかく、たくさんの竹、指にタコ。竹はわたし、わたしは竹。うちの子にしてもいいと思う」
もとい超理論
ここですごい笑ってしまった、さすが星さん
間間に星さんの感想などを交えながら日本最古の文学を楽しく読めるのでかなりおすすめです
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星新一独特のの語り口で「かぐやひめ」を改めて読み直すと…
千年の時空を超えてもなお、
このものがたりの新しさ、おもしろさの色あせない事!!
「あとがき」のあと
著者自身による「解説」と、三谷栄一による原文(全文)もあり。
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日本最古の物語。内容に関しては既に完成されているので完成度は言わずもがな。ちょいちょい入る星新一のコメントが、最初は邪魔くさく感じるけど、次第にクセになります。
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竹取を生業としていたおじいさんが光る竹を見つけ、その中から小さな姫を見つける。その姫は美しい女性に成長し、噂を聞き付けた男たちはなんとか姫を娶ろうとするが……。
日本最古の物語とされる「竹取物語」を、星新一さんが現代語訳した本。
各章の終わりに星さんの雑感が挟まれ、新しい視点を与えてくれて、よく知った話のはずなのにまったく新しいお話のように感じた。
また、よく知っているはずなのに、細かくは知らないことも随所にあって驚いた。おじいさんがどうかあの中の誰かと結婚をしてくれないかとお願いするシーンで、かぐや姫はあろうことか「なぜ結婚をしなければならないのですか」と問う。星さんも書いているが、この物語が語り継がれていた時代、結婚は義務に近かっただろう。まだ年端もいかないうちに政略結婚させられた姫もいただろうに、こんな発想ができた作者には舌を巻く。
巻末には原文も収録されていて、読み比べも楽しい一冊。
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たぶん、物心ついてからまともに読んだ古典作品。
全体を通して読み終えたが、物語の筋としては記憶にある、作者注も解釈として面白い、単純に物語としても短いなりにまとまってるとも思える。
やっぱりどこか幻想的なものだからこそ続いていける展開なんだとも思う。こう考えると、歌なんかも短いだけに想像力をかきたてる要因にもなってる気もする。
あとがきにもあるが、現代語訳されていくごとに色んな意味で話が変化しているんだと思うが、割と小さい頃の記憶とも話の意味は違ってくるもなかもしれない。
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だれもが知っている竹取物語、かぐや姫の話。
章ごとに、星流の現代語訳→その場面に対する彼の考えという順番で続いていく。
古典への思いと、前例(少なくとも後世に残るような)のない状況で物語を紡ぎ出した作者への尊敬の念がひしひしと伝わってくる。