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うーん、これまで気付いた中で、一番素敵な紐のしおりの色だと。
冷蔵庫の音に共感。とあるレオパレスに住み始めた当初、夜中に、海の音がする、っと驚いて音の出所を探してみたら、冷蔵庫だったのでした。本当に夜の海鳴りの音なのです。どういう作りの冷蔵庫だったのか、水冷?
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順番に読もうとしたが、あまり心惹かれないので、すぐ表題作に。
壬申の乱直前、大海人一家が吉野に逃れたところからはじまる。
この草壁皇子のイメージは里中満智子の『天上の虹』から借りているように思う。無駄に改行が多いのでボリュームがないように感じる。歴史小説としての厚みに乏しい。…と思ったが、もともと児童文学の人なので、そうなのか。
単行本は持統の視点も入った長編であったらしい。毒ママの言葉がよく似合う。
詩想美しいファンタジーで、やんわりと切ない。
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【収録作品】月と潮騒/トウネンの耳/カコの話/本棚にならぶ/旅行鞄のなかから/コート/夏の朝/丹生都比売/ハクガン異聞
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初読。図書館。ここ最近読んだ短編集に連作短編集が多かったせいか、久しぶりに珠玉の短編集と言い切れる短編を読んだ。わずか5ページの『コート』が最高。通勤電車の中だったので、奥歯を噛んで泣くのをこらえた。姉妹の18年間が5ページに凝縮され、思い出と温かさと悲しみがコートを通して描かれる。本当に素晴らしい一編。こういう作品に出会うと、本を読み続けてよかったなあと思う。
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2014.11.30市立図書館
梨木香歩さんらしく、現実と不思議な世界の境界をしらぬまに行き来してしまうようなお話ばかり、単発で発表されたもの未発表のもの、掌編もややボリュームのあるものもとりまぜた短篇集。
どれも印象的だったけど、「夏の朝」には落涙。掌編「コート」も。表題作「丹生都比売」は、やさしいです・ます調の語りでしずかに運んでいくが主人公のけなげな心に打たれる物語。ひとは一人で生きてるわけじゃないんだけど、核のところはやっぱりひとりなんだなぁと改めてひしひし感じた。
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やっぱりいいね、梨木さん。
特に夏の朝は、泣きました。ゆっくり成長する夏ちゃんにエールを贈りたいです。
だけど相変わらず不思議ちゃんの話ばかりですね。
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読書中の世界は静寂に包まれた雰囲気を漂わせていた。濃紺の装丁からもひしひしと伝わっているような感じである。好きな物語は、「ハクガン異聞」、「夏の朝」である。「夏の朝」は、親指姫の物語を気に入り、春ちゃんという新しい仲間を迎え入れた夏。夏が小学校に入り、クラスに馴染めないことを心配した母。先生に長い目で見ていきましょう。その子にはその子のペースがあるからと言われ、ひと安心する。自分の小学校時代のこととダブらせて読みすすめていったので、このまま馴染めずに小学校生活を終えてしまうのではないかと感じ、悲しげな気持ちになった。夏がクラスに馴染む日が来るを信じて、成長を期待したい気持ちである。子を持つ親は先生の一言により共感できるだろうと思った。
「ハクガン異聞」は調律師とお客様との間に起こった出来事の物語。お客様からの依頼が来なくなったのと、ハクガンの鳴き声がそれを憂うような感じで泣いていたような感じで寂しさが残るラストだった。物語は短いが、ずっしりと重みがある内容だと感じる。物静かな空間の中に入り込んだ、寂しい後味が残る読後感。ひたすら透明で、寂しさを残すという感じが秀逸だと感じる。
あとがきの「ひとはみな、生を寂しみを持って生きていく」という文が印象に残った。
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解釈よりも感性で読みました。タイトルの「丹生都比売」では、草壁皇子の儚さが史実を超えて昇華されています。吉野の山深い暮らしを語る美しい言葉にイマジネーションをインスパイアされました。
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梨木さんの作品は、どこか静粛な空気が流れていて、穏やかで温かい空気感があるところに、どこか一本ぴんと張りつめるような空気が通ってると思う。今回収録されている短編にも、私には難しいものもあったけれど、不思議だったり、穏やかだったり、様々な空気感があるけれど、やはり一本なにかすーっと通る部分があって、読んでいて心地よかった。
原生林から発売された「丹生都比売」は持っているけれど、「丹生都比売」は自分の記憶が曖昧で、覚えていないほどだったので新鮮に読めました。
「丹生都比売」は草壁皇子の視点から見た吉野の風景はどこか神々しいぐらいで、静粛としていて綺麗でした。その厳かな象徴ともいえるものが、キサでした。壬申の乱が起ころうとしている時代、今よりも吉野は厳かな場所だったのだと思いました。
他には、「コート」「夏の朝」が良かったです。
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2015.01.23.読了
どれも梨木香歩らしさ溢れるよい小説
丹生都比売 におつひめ を読みたくて借りた本。
私の考えられる世界とは
ことごとく異世界に連れて行ってくれる
梨木香歩さんの小説は
とても好き。
湿り気のない文章で
心地よい感じ。
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梨木香歩の短編集。不思議な雰囲気でこの世にはあり得ないことを物語として著している作品が多い著者だが、この短編集もそのような作品がならぶ。特に表題作「丹生都比売」はこの作品集の中で一番長く、短編と言うより中編小説と言えるだろう。古代大和の国の出来事を題材にしてしかも単なる古代歴史小説ではなく、著者らしい幻想的な作品で古代を舞台にしているので物語の展開が違和感なく受け入れられた。
私が好きな作品は「月と潮騒」。ひんやりとした夜の情景をあらわし、夏に読んだら本当に涼しく感じられそうだと思った。また「コート」も娘ふたりを育てた実感から、とても受け入れやすい作品だった。
梨木香歩はひんやりとした静寂、孤独などを感覚として表現する他にはない作家だ。
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短編集。丹生都比売はだいぶ昔に読んでて再読。きっと私が最初に触れた梨木香歩がそれやったと思う。
コート、夏の朝、丹生都比売がよかった。
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表題は飛鳥時代の壬申の乱前、大海人皇子が籠った吉野の滝宮での日々。水銀を主題に膨らむ、草壁皇子を描いた物語。
物語全体の雰囲気が清らかで、草壁皇子のイメージにとてもよく似合っていると思いました。
印象的だったのは鵜野讚良皇女。賢く強く、欲が深く、その心の鬼たる欲とずっと対峙しているひと。均衡を崩せばたちまち呑まれる危うさを孕んだ、悲しいひと。父たる天智に似ている、と設定されていたので、これはこのまま梨木さんがイメージする天智かな。
短編集で、全体的に不思議な世界と優しい物語にあふれていると思います。
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初期の梨木さんの短編集を集めたもの。
ここからすでに梨木さん独特の雰囲気は始まっていて、全てが繋がっているような感じがした。
すっと物語に引き込まれていって何かに包まれているような感じ。
ハードカバーの装丁が似合っているけど、文庫化することはないのだろうか。
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光あれ
不思議な世界、幻想的な世界、そんなありきたりの言葉でしか端的に言えない自分がもどかしい。
パステルで描いたような、柔らかく繊細な物語。
水彩画のように、心に溶け込んでくる物語。
印象派の絵画を思わせる、温かみがあり、光を溶かし込んだような世界観。
それが本書だ。
『コート』
2歳年上の姉とお揃いのコート。
母はなんと、大きさ別に九着も用意した。
彼女たちは毎年それを着続ける。
うんざりしながら彼女たちはそれを着続ける。
そしてある時、転機が訪れる。
姉はそれを着るのを拒み、妹は初めて新品(正確には、ほとんど)の同じ型の大きなコートに袖を通すこととなる。
姉の妹に対する思いが詰まったコート。
幼い頃から同じだった二人の絆がコートに包まれている。
『丹生都比売 』
天武天皇、持統天皇、草壁皇子の親子の物語である。
複雑な事情を抱えた一家は吉野にこもり守り神においでいただくよう、祈祷を繰り返す。
言葉を発することができない土地の子キサと草壁皇子は心を通わせるようになる。
そのうち大海人皇子は大王となり、崩御の後は母がその地位をつぐ。
めまぐるしい日々を過ごすうち、草壁皇子は静かに息を引き取った。
彼者の魂を美しいまま引き取って行ったのは誰だったのだろうか。
鬼と神が同居する吉野の山々に、子を亡くした母の涙と、母を愛し消えていった子の涙が一つになって立ち上っていく。
他に『ハクガン異聞』は『スノーグース』を知っているとよりその儚さが感じられる。
古典的な設定でありながらありきたりという印象を抱かせない。