紙の本
あとがきを読んで初めて意味のわかった短編も。
2020/09/19 19:12
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投稿者:makiko - この投稿者のレビュー一覧を見る
ごく短い短編から100頁超の表題のものまで、ひとはみな、それぞれの生の寂しみを引き受けて生きていくのだという点で共通している小説の集まり。『夏の朝』と『丹生都比売』が特によかったです。透き通るような美しい描写が素敵ですし、知らない植物がちょこちょこ出てくるところも好きです。
紙の本
儚く、美しい物語
2017/04/07 20:22
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投稿者:名取の姫小松 - この投稿者のレビュー一覧を見る
不思議な短編集です。
表題の『丹生都比売』は天武天皇と持統天皇の息子草壁皇子が吉野で遭遇した少女と、その不可思議な体験が描かれています。そして、母の持統天皇の心の中が知らぬ内に明らかになってゆく過程が美しい文章で綴られています。
人と人ならぬものの、重なりあう境界が描かれています。
紙の本
清らかで儚い
2020/01/09 13:45
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投稿者:るう - この投稿者のレビュー一覧を見る
表題作が印象的だった短編集。ひたすら清らかな物語。この世のものではない少女と出会うのは草壁皇子。夭折の皇子に静謐なストーリーは悲しいくらい似合っていました。
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しずかな、しずかな短編集。
雨が降る日にとてもよく似合う気がする。しんとした中で読むのがとてもいい。
良質な一冊。何度も読み返しちゃいそう
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「権力に執着する鬼」が「息子を愛する母」を凌駕する。
著者あとがきにある、「魂の導き手=丹生都比売」が理解できなかったので再読してみたいが、読後になんとも言えない無力感と悲しさを感じたのでいまいち気が進まないことも確か。
伯父が祖父だったり、姉妹で同一人物に嫁いだり、入り組んだ一族構成なので付録にあった天皇家家系図が役に立った。
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中短編9作。
秋の夜長に、、、所詮「独り」なんだということが克明でとても寂しい。
「月と潮騒」が一番好きかな。
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梨木香歩の短編集。90年代からここ数年の作品まで、書かれた年代は幅広い。
表題作と『夏の朝』は児童文学っぽいテイストだが、他の作品は、これまでの幻想小説を思わせる。どちらかというと幻想短編の方が好みだった。
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端正な短編集。読んでいると、自分の芯がキーンと透き通っていくような、世界が柔らかに静まっていくような感じだった。
「丹生津比売」以外は初めて読んだけれど、どれも不思議な世界。
「丹生津比売」は、ヅカファンの私には「あかねさす紫の花」の後日談のような話で、大海人皇子と鸕野讚良の息子、草壁皇子が主人公。大海人皇子一行が近江を逃れ、吉野に隠棲していた頃の話なので、古代史ファンとしても興味深く、旅行で行った吉野のあの山深さ、溢れる緑や風や光、鳥の声などを思い浮かべながら読めた。
梨木さんご本人が書かれていた後書きも良かった。
文庫になったら買いたい。
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胸奥の深い森へと還って行く。見失っていた自分に立ち返るために……。蘇りの水と水銀を司る神霊に守られて吉野の地に生きる草壁皇子の物語――歴史に材をとった中篇「丹生都比売」と、「月と潮騒」「トウネンの耳」「カコの話」「本棚にならぶ」「旅行鞄のなかから」「コート」「夏の朝」「ハクガン異聞」、1994年から2011年の8篇の作品を収録する、初めての作品集。しずかに澄みわたる、梨木香歩の小説世界。
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切ない姉妹の話『コート』、妖しさと朴訥さがミックスされたファンタジー『夏の朝』、表題作以外ではこの二つが好き!
百合から生まれた春ちゃん。
後ろで見守るお姉ちゃん。
温かい気分になれました。
(そして、勿論泣いた……)
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個人的に気にいている作家のひとりである梨木さんの短編集。
昔の(初期のころの)短編を中心にまとめてあるようです。
なかには、短編であることから、あまりにも
妖しくて、突拍子もない話で、ついていけないというか
よくわからない内容のものもありましたが(本棚にならぶ。旅行鞄のなかから)、全体的には9編ともおもしろかったと思います。
とくに、『夏の朝』は感動もので、美しく、こころに残る話です。
『カコの話』『ハクガン異聞』は家守綺譚とよく似た感じ。ドキッとするような、懐かしいような、景色がみえてくるような著者独特のイメージの作品です。
『丹生都比売 』は持統天皇の皇子である草壁皇子の話で
抒情詩的な美しいけど、少し救われない内容です。
個人的にはやはり『夏の朝』が一番いいと思います。
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短編集だからか、めずらしく梨木さんの「あとがき」があった。それぞれの物語で感じたことはゆっくり時間をかけて書きとどめたい。
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胸奥の深い森へと還って行く。見失っていた自分に立ち返るために……。蘇りの水と水銀を司る神霊に守られて吉野の地に生きる草壁皇子の物語――歴史に材をとった中篇「丹生都比売」と、「月と潮騒」「トウネンの耳」「カコの話」「本棚にならぶ」「旅行鞄のなかから」「コート」「夏の朝」「ハクガン異聞」、1994年から2011年の8篇の作品を収録する、初めての作品集。しずかに澄みわたる、梨木香歩の小説世界。
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当たり前のことのようであって、なにかしらどこかしらがほんの少しだけずれているような、躰半分ここではない場所に滑り込み、あとの半分はこちら側に残ったままでいるようなお尻の座らない感じがなんとも堪らない。世界に浸っている間は確か過ぎたことが、ふと夢から覚めるように現実感がなくなり遠のいていくような一冊である。
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表題作を初めとする短編集。過去を釣り上げる話には笑った。他には「コート」と「夏の朝」が印象に残った。
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寂しい子供が寂しい老境に入っていったのだな、と作者本人が後書きで書いているとおりの印象。静かで美しい物語たちは、お休みの午後にゆっくり味わうのがいい。
夏の朝がいちばん好きかな。