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紙の本
幸福は日常に
2004/07/16 17:58
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:luke - この投稿者のレビュー一覧を見る
言うまでもない宮部みゆき時代小説ですが、さえ渡っているといしか言いようがない。梅雨時のまとわりつくような小さい雨粒、冬の身も凍るような冷たい北風、とうとうと流れる川を行く船先の砕け散った白い波…雨のにおいが、風び冷たさが、目に映る波しぶきがまるで体感しているように、鼻の中を冷気が通って行くような、キリッとした作品集です。
貧しい時代の貧しい長屋、そこに生きる人々にあるのは、たくましさや野心などではなく普通の、ごく普通の人々が持つ弱さや、ねたみや、悲しみ。そんな、普通の人の貧しい日常生活を描きながら、悲しみや苦労をさりげなく、ありのままに受け入れて生きていく事は決して弱さではないと問うているようです…。
物が溢れすぎて、当たり前に手に入る人々の欲望は際限なく広がり、感謝なんて言葉は死語に、哀れみや慈しみなんて忘却の彼方へ、人と接することの煩わしさから極力裂ける人間関係、相対的にか感じられない幸福、果たして我々は貧しい時代から脱却できたのか、何を勝ち得たのでしょうか。一杯のうどん、一つの握り飯、一枚の着物に喜びと感謝を持てる時代は輝いていた。
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誰にでも秘密はある
2023/11/20 23:14
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投稿者:るう - この投稿者のレビュー一覧を見る
誰だってちょっとくらい秘密はあると思う。
その秘密に振り回されると…
そのため起こった悲劇を描いた「堪忍箱」
最後が寒々しかった…
このなかでは「謀りごと」が気に入ってます。
紙の本
さすがです
2019/09/03 16:50
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投稿者:nap - この投稿者のレビュー一覧を見る
さすが、宮部みゆきさん。
期待を裏切りません。
江戸で暮らす庶民の生活を描きつつ、人の心の中にある
怖さ、優しさといったものを書いています。
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歴史ものも好き
2017/07/06 17:36
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投稿者:HIRO - この投稿者のレビュー一覧を見る
宮部さんは歴史ものも本当に面白い。
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暖かい人々
2001/12/05 00:50
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投稿者:kosaka - この投稿者のレビュー一覧を見る
少し不思議な8編の時代小説が納められている。どこかのお店や、どこかの長屋でおこる珍事。著者独特のその時代の描写がすばらしく読み込める内容。特に登場する人々が魅力的である。舞台は昔のことだけど、登場する人物たちはそれぞれ考え生きていて、現代の人々と全く変わらない。しかし、どの人にも暖かい部分があり読後にもそういう気分が残る。時代小説だからであろうか。何がそういう気分にさせるのだろう。その時代に生きる貧乏な人々は現代の人よりも苦労して奉公していたりする。地域の暖かさや社会の暖かさという面はあるだろう。まわりの人を思いやる気持ちだろうか。いわゆる都会で、全くの他人に囲まれて生活していると感じられないそういう暖かさが感じられる書物である。
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じんわりとした怖さ
2001/11/12 14:20
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投稿者:花 - この投稿者のレビュー一覧を見る
宮部みゆきさんの時代小説は、普段の推理小説とはまた違ったおもしろさがある。この本に収録されている短編は、いずれも特に大きな事件がある訳ではなく、小さな謎や出来事に心を波立たせる人々の動きを細やかに描いている。
誰でも持っている、胸の内にある影。心のひだに巣くう闇を覗くと、まるで自分の心の闇を見ているようで、恐くなってしまった。
表題作の堪忍箱、私ならきっと誘惑に負けて、たとえそれがどれほど恐ろしい結果を生む事になっても、多分開けてしまうだろう…。