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19世紀、アメリカで最初に専業作家となったポオの、
食べていくために売れる作品を――
しかし、本当に書きたいものは……
というジレンマに焦点を絞ったポオ論。
複数の雑誌等に掲載されたエッセイを
加筆・修正して纏めた本。
■売文家の才気と慚愧
ゴシック小説でない、
アイロニーに満ちた作品に描出された
「スノッブ」とは何だったか。
作家:芸術家⇔売文家:ビジネスマン
その間を揺れ動いたポオの苦悩と諧謔。
■「アッシャー家」脱出から回帰へ
D.H.ロレンスによる「アッシャー家の崩壊」読解と、
それに反駁するマボットの意見。
ともあれ、ポオ自身は
19世紀に隆盛した
俗受けするゴシック小説に類する作品を
意識的に書き、売らんがための姿勢を自嘲していた。
■「群集の人」が犯す罪とは何か
物語の語り手が
取り憑かれたように他者を追いかけるのは、
読者獲得を目論む作家の姿勢の暗喩か。
群集の歓心を買うため
「書くことによる犯罪」に手を染めて……。
■黒猫と天邪鬼
完全犯罪を成し遂げる前に自ら秘密を暴露してしまう
天邪鬼=ひねくれ根性は、
没落した上流階級のルサンチマンに起因するのでは。
妻と黒猫を殺した男の根底に横たわっていたのは
女性差別と黒人差別に違いないが、
多少なりとも自己を投影したかのような
キャラクターに鉄槌が下される結末を用意した
ポオの内には、自罰願望があったのか。
■「盗まれた手紙」の剰余
割り切れない話の「余ってしまう」部分、とは。
名探偵デュパンと大臣の二重性の謎。
「盗まれた手紙」はポオが自己を二分し、
大臣に託した側面に他面(デュパン)が
復讐する物語であり、
大臣が表徴するのは
推理小説という売れ筋ジャンルを発明した
ポオ自身の明敏さだったのではないか。
■「メロンタ・タウタ」の政治思想
未来から届いた手紙を開陳する「メロンタ・タウタ」
に潜む裏の意味。
ポオは19世紀中葉アメリカの政治状況に対する蟠りを
小説に仮託した。
■ポー最後の復讐
ポオは最晩年、
自己を投影したキャラクターに
復讐の身振りをさせることで、
スノビズム、
あるいは当時の知識人たちの文壇支配に対する
怒りや憎しみをぶつけようと、
作品に精一杯のアイロニーを込めた。
■付論――ポーとドライサー
ポオと、そのフォロワーとも呼ぶべき
セオドア・ドライサーの宇宙論。
文学‐科学‐SF。
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もとが学術論文であるためか、少し難しめ。専門外な自分にとっては、これを読んでいる自分自身がスノッブなのではと思ってしまう。
細かい感想や戯言はEvernoteにまとめてあります。
https://www.evernote.com/shard/s205/sh/5a744c66-ff52-43b2-a558-651bbbcd054c/b75bd8a72cec42e0116b1a83000f9be3
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アラン・ポー熱再燃のため手に取りました。
読んでいない作品割りかしあったなー。
スノッブ、ボヘミアン、ビジネス思考がキーワードかな。