投稿元:![ブクログ](//image.honto.jp/library/img/pc/logo_booklog.png)
レビューを見る
本当の思いが、大切な人に伝わらないもどかしさ。正義は貫かれるのに、やるせなく、切ない後味が残る物語。
投稿元:![ブクログ](//image.honto.jp/library/img/pc/logo_booklog.png)
レビューを見る
扇野藩に、昔、一刀流道場の四天王と謳われた男達がいた。
瓜生新兵衛は、上役の不正を訴え、藩を追われ、愛妻・篠と二人で、故郷を後にした。
榊原采女は、側用人で、「いずれ家老にまで昇り詰めるのは、間違いがない 」とみられている。
父、平蔵は、不正が見つかり、何者かに、惨殺されていた。
坂下源之進は、使途不明金を糾問され、無実を訴えながら、自害。
息子の藤吾は、減石されたお家を元に戻す為、出世だけを目指し、日夜、励んでいる。
篠原三右衛門は、馬廻役で、娘の美鈴と、新兵衛の甥藤吾とは、許嫁の間柄。
瓜生新兵衛は、妻を亡くし、18年後に、ぶらりと、故郷に戻ってきた。
妻が、死際に、「故郷の椿を、自分の代わりに見てきて欲しい」と言った為だった。
そんな新兵衛が見たものは、藩主の代替わりに伴う、家老と側用人の対立であった。
藩主・親家の嫡男、政家が、跡を継いだら、親政をすると言う。
親家の庶兄、刑部家成と与している家老は、不正が暴かれるのを、阻止するため、政家の命を狙う。
家老の陰謀に立ち向かう、新兵衛と藤吾。
繰り広げられる事件を解決していくうちに、坂下源之進の自決の理由、榊原采女の父親を惨殺した犯人が暴き出される。
初めは、反発していた、甥の藤吾が、だんだん新兵衛に傾倒していく様子や、
采女が見せた、武士魂。
泣きどころ満載。
夫婦愛。家族愛。友情。侍である矜持。
どれも、描写が、素晴らしい。
流石、葉室麟と、言うしかない。
投稿元:![ブクログ](//image.honto.jp/library/img/pc/logo_booklog.png)
レビューを見る
良い物語だった。
新兵衛と采女の篠を介した関係や彼らの矜持だけでなく、中途半端な風見鶏だった藤吾の成長や、里見の優しさなど、人と人が関わることで互いに影響し合う機微の描き方は派手ではないものの静かな余韻を残します。
投稿元:![ブクログ](//image.honto.jp/library/img/pc/logo_booklog.png)
レビューを見る
(わしは新兵衛のこと羨んでいるのでだろうか)
きっとそうなんだろう。戻ってきた新兵衛には、貧しい生活を送ろうとも心のうちに豊かさを抱き続けた者の確かさが感じられる。
それに比べて自分はどういきてきたか。
切れ者と人に畏れられるようになりはしたが、親しく言葉をかけてくれる者はいない。ただ遠くから畏敬の視線を送ってくるだけだ。
皆それぞれに生きてきた澱を身にまとい、複雑なものを抱えた中年の男になってしまった。もはやむかしのように素直に心中を明かすことなどできないはしないだろう。
篠とはついに再び会うことができなかった。新兵衛とともにどのような思いで生きてきたのか篠から直に聞きたかった。
それももう叶わない。自分に残されているのは、藩内での政争に勝ち抜くことだけだ。
物思いにふける采女の表情は、しだいに権力を争う重役の顔になっていた。
投稿元:![ブクログ](//image.honto.jp/library/img/pc/logo_booklog.png)
レビューを見る
椿の花が落ちる時は花丸ごと落ちてしまうので武家には嫌われていたが、本編での椿は一片づつ落ちでゆく。
作中の人物も段々と亡くなっていく、本編の椿になぞられる様だ。
哀しい結末ながら、若い二人の新しい芽生えが救いか…。
投稿元:![ブクログ](//image.honto.jp/library/img/pc/logo_booklog.png)
レビューを見る
映画はドラマチックに作られていたが
原作は静かで、なのに腹の底に覚悟があるような、
そんな作品だった。
それぞれが懸命に生きていて
(もちろん悪役もいるけど)
自分もまっすぐに生きることをがんばろうと思えるような
読後感。
扇野藩シリーズも読もうっと。
投稿元:![ブクログ](//image.honto.jp/library/img/pc/logo_booklog.png)
レビューを見る
夫婦、仲間、家族のそれぞれの思いが強いほど誤解もあるもの。思いが複雑に絡み合うなかそれぞれの心情を丹念に描いた傑作。映画もいいがぜひ原作を。
『散る椿はな、残る椿があると思えばこそ、見事に散っていけるのだ。』
投稿元:![ブクログ](//image.honto.jp/library/img/pc/logo_booklog.png)
レビューを見る
2024.1.4 読了
扇野藩シリーズ②だが前後作と関連なし。
新兵衛と藤吾という擬似親子のふれあい、新兵衛と篠との夫婦愛、藤吾と美鈴の初々しい恋、平山道場の四天王と呼ばれた仲間の友情、はたまた蜻蛉組という隠密組織も出てきて既視感のあるお家騒動が展開される。見所は盛り沢山だがうまい具合に話がまとまってゆく。
"散る椿は残る椿があると思えばこそ見事に散っていける"という言葉が印象的。
投稿元:![ブクログ](//image.honto.jp/library/img/pc/logo_booklog.png)
レビューを見る
Netflixで映画を見て、葉室麟作品を始めて読んだ。映画も良かったけどやはりこの原作の方がより深い味わいで良かった。葉室麟作品をこれから読んでいくことになるんだろうなという予感。
投稿元:![ブクログ](//image.honto.jp/library/img/pc/logo_booklog.png)
レビューを見る
とても美しい物語だった。
最初亡き妻の真意が分からず好きじゃなかったんだけれど、読み進めていくと段々と様々な事の裏側が見えてくる。
彼女の、そして彼らの一途な愛が痛いほど伝わってくる。
過去の事件の真相が徐々に分かってくるにつれて、彼らへの心情が二転三転していく。
誰が敵かと疑心暗鬼になったり、卑劣な手段に出る相手方にハラハラの展開もあって、始終面白く読めた。
投稿元:![ブクログ](//image.honto.jp/library/img/pc/logo_booklog.png)
レビューを見る
中江有里解説 散り椿の意味するもの
目には見えない、手の届かない世界は確かにあるのだと思うだけで、生きる力が湧いてくる。散り椿はそんな小説だ
本書の登場人物は、誠実であろうとするゆえに生きづらさを抱え込む人が多い。誠実でありたい、と思っても世の中を渡るには、その誠実さが邪魔になることもある
投稿元:![ブクログ](//image.honto.jp/library/img/pc/logo_booklog.png)
レビューを見る
相手を想うが故に、哀しい方へ行ってしまう。以前拝読した雨宮蔵人シリーズでも和歌が良く出てましたが、この作品でも鍵となる和歌が出てきましたね。二つとも真実の意味の歌。藩内の陰謀と家族愛と恋愛と友情と。盛り沢山過ぎ。やっぱり葉室作品大好きです。
投稿元:![ブクログ](//image.honto.jp/library/img/pc/logo_booklog.png)
レビューを見る
「散り椿」という題名に惹かれて葉室さんの時代小説を初めて手に取った。 長く世間を渡るほど、世の中は綺麗ごとばかりではないと身をもって知ることになる。 ずいぶん昔にどこかへ置いてきしてしまった主人公の一本気な生き方が清々しい。 「散る椿」の意味を知ることになる結びに胸が詰まる。 再読本に入れる。
投稿元:![ブクログ](//image.honto.jp/library/img/pc/logo_booklog.png)
レビューを見る
#読書記録 2023.8
#散り椿
#葉室麟
扇野藩で続く不審死の真相を追うミステリ要素を縦糸に、新兵衛のただまっすぐな妻への思いや剣術仲間の男たちの友情、若者の成長等の人間模様を横糸に。
葉室さんの描く夫婦愛は本当に心に沁みるので、定期的に補充したくなるよ。
#読書好きな人と繋がりたい
#読了
投稿元:![ブクログ](//image.honto.jp/library/img/pc/logo_booklog.png)
レビューを見る
瓜生新兵衛が、かつての上司の不正を訴えたが認められずに、藩を追われる。そして妻の篠とともに故郷を離れることとなる。それから18年後、亡き妻の願いを叶えるために新兵衛は故郷へ戻ってきた。
新兵衛と藤吾との育まれていく絆、平山道場の四天王と呼ばれた仲間たちとの友情、采女と篠との複雑な想い、新兵衛と篠との夫婦愛、様々な人間模様が誠実さを含めて描かれている。
『散る椿は残る椿があると思えばこそ見事に散っていけるのだ』切ないながらも、武士として生きた天晴れな物語である。