紙の本
ひとひねりされた「温泉紹介」。温泉と迷路の共通点とは?
2015/01/29 20:58
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:銀の皿 - この投稿者のレビュー一覧を見る
服を脱ぐのも面倒だと言っていた著者が友人と温泉に行くうちにだんだんとなじんでいく。その過程が楽しく書かれている、ちょっとひねった温泉紹介。「そうか、人は温泉に入りに行くのではない。なにもしないために温泉に行くのだ。」という帯の言葉は「なるほど」である。
古い温泉旅館の、継ぎ足しに継ぐ継ぎ足しでできた迷路は異世界に通じているようだ。そしてそこにある「温泉」という異世界。そこで「沈殿」して何もしない。何もしないことの大事さ、現代生活での足りなさをも感じてしまい、ふらりと温泉につかりたくなってしまう。
中年オジサン3人の「道中会話」も楽しい。
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ものすごく面白い。
お風呂嫌いなのに温泉に行くことにする序章から面白い。
温泉→宿でゴロゴロ→美味しい食事→布団は究極の癒やしですね。
それに迷路的な温泉旅館の探検とちょっと観光が加わってものすごくマニアックな旅の楽しみ方になっている。
著者の宮田さんの情熱は迷路的な温泉旅館80%、温泉20%くらいから始まって、この本の終わり頃には50%ずつくらいまで温泉への情熱が高まっていく。
じわりじわりと。
服を脱いだり着たりするのが面倒とか言ってたのに。
熱い湯には入れなくても、泉質なんて分からなくても温泉は面白い!
周囲の蘊蓄なんて気にせず自分のツボで楽しめ!
という力強い指南書です。
これは全てのことについて言えますね。素晴らしい本です。
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温泉オタクのおっさん2人と、温泉オタクではないが迷路的な造りの鄙びた温泉旅館オタクの著者が行く、温泉旅行紀行。
増改築を重ねた要塞のような温泉旅館に、建築基準法やら消防法は大丈夫かと突っ込みたくなる。
親切に見取り図がついてるけど、見取り図と文章の建物の情報を統合してもどんなところかさっぱりわからない。笑
建物探訪も面白いけど、この3人の旅行の仕方に共感した。
こんな風に旅行したい。3人のおっさんがつるんで旅行をするのも気持ち悪いと、3人は現地集合、現地解散スタイルの旅行。
いいねー!!すごく共感。
私も誰かと行く旅行というのが好きではない。(旦那さんは別。のろけではない)
1人で行けば、しなびた定食屋にも、赤提灯にも気楽に入れる。行こうと思ったところに行かなくても、宿でごろごろしてても、その時間さえも発見に満ちている。
5秒先の行動も自分で決められる。
誰かと終始行動を共にしたら、いちいち合意形成が必要になり、しょぼくれた店だったりするとなんとなく、寂しげな雰囲気漂う。
みんな一緒でこそ楽しいと強要せず、それぞれが冒険して持ち寄る方が楽しいという考え方もありではないか。修学旅行もそうしたらいいのにね。
生きる力と地域の多様性を面白がれる感性が育つと思う。
旅のスタイルは、人との関係の持ち方、生き方にまで連動していると思う。
自由きままに、地域を愛でる3人のようにどこ
かに行きたい。
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「何度も脱ぎ着して何度も温泉に入るなんて理解できない。めんどくさい」という宮田さんの気持ちに納得しつつ、新鮮でもありました。周囲の人がけっこう温泉に繰り返し入るタイプだからかもしれません。
めんどくさい、から出発した宮田さんが迷路旅館をエンジョイし、だんだん温泉そのものに愛着を感じていくさまは読んでいてとても楽しかったです。天狗の湯こわい。こわすぎ。黒湯は入ってみたくなりました。ねぶたの描写が好きです!
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熱いからとお風呂そのものが苦手なおっさんが、全国の「迷路っぽい」温泉宿を訪ねてはつらつらと賞賛したり沈殿したりするエッセイ的な本。
あくまで宿の迷路っぽさにフォーカスしているので、お湯が良いのかなどは良く分からない。
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風呂好きでも、入るまでの面倒くささは大いに共感なので序章からニヤニヤ。
女同士は宿に行くまでのお喋りも旅の楽しみの内だけれど、各々の自由行動を報告しあいながら現地集合って旅もいいなぁ。
「明日に向かって何も前進しないのが温泉旅行の醍醐味」に妙に納得。仕事や育児や日々の雑事に忙殺されてる時ほど行きたくなるもの。そういう温泉が続々。奥那須のK温泉での著者の過ごし方が自分の理想w
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風呂・温泉に対し否定的だった著者を温泉好きにしてしまった紋さん、篠さん。あとがきでは紋さんが単行本発刊後に鬼籍に入られたのを読み、思わず涙ぐんだ。独自の視点から繰り出される宮田節は読んでいて楽しく、旅行、温泉、建築が好きな自分はとても楽しく読ませてもらった。伊勢A旅館、奥那須K温泉、伊豆長岡温泉、渋温泉は是非とも行くつもり。それにしても温泉宿が全てイニシャルで、巻末に解説があるのかと思ったらそれもなし。タイアップしていない取材なのか? キーワードはふんだんに本文に書かれているので、ネットで地道に調べよう。
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旅好きだが温泉には興味のなかった著者が、迷路のような旅館目当てで温泉に行く。しかし迷路な温泉旅館は昔ながらの異様な温泉も備えていることが多く、著者を驚かせるのだった。
私は温泉好きだけど、若いころは海外旅行派で温泉にはさほど興味がなかった。温泉好きになったのは中年になってからなので、著者には共感したし笑えた。「ボロくて陰気で廃墟みたいでもオッケーな温泉文化の不思議」とか視点が面白い。また篠さん紋さんとの自由なおっさん三人旅が、一人旅とグループ旅行のいいとこどりな感じで良いなあと思う。登場する旅館名は「A旅館」などの表記で明記されていないけど、特徴のある旅館なので、ネットで調べればどこか分かる。
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温泉を巡る紀行文ではなく、
複雑に入り組んだ通路を持つ
温泉旅館について書かれたエッセイです。
たしかに温泉旅館に宿泊すると、
迷路のように入り組んだ通路に
戸惑うことが多々あります。
なんでこんなに
わかりにくい造りなんだろうと思う反面、
そのラビリンス感がある種の情緒を醸していて、
趣をおぼえたりもします。
大のお風呂嫌いを自負する著者が、
温泉そっちのけで迷宮に足を踏み入れる様は、
せっかくイイお湯があるのに
ちょっともったいないような気がしました。
手足を伸ばして
ゆったり湯につかるって
至福の時なんだけどなぁ・・・
なんて思いながら読み進めると、
著者も後半になると
湯につかりながら「あ~ぁ」などと
思わずため息を漏らしたりなんかして、
やっぱり温泉ってエライなぁと感心しました。
べそかきアルルカンの詩的日常
http://blog.goo.ne.jp/b-arlequin/
べそかきアルルカンの“スケッチブックを小脇に抱え”
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べそかきアルルカンの“銀幕の向こうがわ”
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