紙の本
歴史観を変える
2015/08/24 20:00
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ぴんさん - この投稿者のレビュー一覧を見る
私たちが持っている豊臣秀次像が、いかに後年に作り上げられたものであるか、本書は、その生い立ちから史実を積み上げ、秀次について解きほぐしていく。
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織豊政権時代の武将・関白。豊臣秀吉の実姉の子に生まれ、三度目の養家先として跡継ぎのいない秀吉に迎えられる。秀吉から関白職を譲られると、聚楽第にあって学文の奨励や古典蒐集などを行なうが、秀吉に実子秀頼が誕生後、高野山に追放され果てる。養子を巻き込む惨劇となった「秀次事件」の真相と影響を探り、叔父秀吉に翻弄された生涯を描く。(2015年刊)
・はしがき
・第一 生い立ち
・第二 三好氏時代
・第三 八幡山城主
・第四 関白一門として
・第五 尾張清須城主
・第六 関白就任
・第七 太閤と関白
・第八 秀次事件の真相とその影響
・第九 秀次像の形成
・むすびに
よくぞ豊臣秀次をテーマに1冊の本として刊行した事に感心してしまうが、秀次は英雄豪傑ではなく、天下人秀吉に翻弄される様は、正直、読んでいて苦痛であった。
秀吉が敷いたレールを行こうとするが上手く出来ない、おのれの器量を超えた役割を強要される、あげくに、地位を脅かされ自死に至るといった一生は、悲劇としか言い様がなく、運命について考えさせられる内容であった。
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「ありのままの秀次像を描きだすこと」がこの本の目的なのだが、いかんせん一級史料で秀次を書いているものが少ないせいか秀次像が描きだされているかは微妙な気がする。史料が秀次が殺される前後に集中するので秀次事件が描きだされているような。
改めて鶴松の死去がなければここまで秀吉にふりまわされることはなかったのだろうと思わざるをえない。
秀次事件は冤罪の可能性おおいにあるという結論。
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三条大橋の西側にあるお寺。前を通ったことは何度もあったけれど、そこが瑞泉寺という名前で、秀次と妻子の菩提を弔っている、というのをつい最近になって知りました。
そもそも秀次事件をまともに認識したのもつい最近( ・ิω・ิ)子どものころ読んだ児童向け伝記漫画(秀吉の)でかるく触れられてたとはおもうんですけど…( ・ิω・ิ)
なにがどうしてそんな事件が、と手にしたものの前知識が足りなさすぎてよくわかりませんでした…っ! もうちょっと勉強してから再挑戦します。。。
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大権力者の甥に生まれてしまったために翻弄された人生。能力に合わぬ地位を得てしまったがための破滅。公家・仏教界に古典文芸の復興を奨励するなどそれなりの努力はあったが、悲惨な最期は避けられなかった。断罪された理由となる残虐行為は同時代史料に見られるわけではないが、ある種の鈍感さがその結果を招いたのだろうか。犠牲となった多くの妻子のリストに心が痛む。