紙の本
うさんくさい題名通りのうさんくさい中身
2015/08/20 20:54
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投稿者:紗螺 - この投稿者のレビュー一覧を見る
日露戦争を背景に、その頃の社会を描きつつ帝大教授とその弟子が謎を解いていく…という、あらすじだけとるとおもしろそうな話なのだが、実際に読むと色々と空回り気味。次々人が殺されて、それのすべてが繋がると気を持たせるわりに、結末はお粗末だった。かといって、明治時代の空気や風俗がよく描けているかというとそんなこともない。知識をふりかざしているだけという印象がしていただけない。うまい小説なら、もっと自然に時代の空気が伝わってくるものだ。登場する人物たちも親しみを持てないタイプばかりだった。
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面白かったです。
近代日本史が苦手で全くわからず、
ウンベルト・エーコのことはもっと知らなくても、です。
(よく御存じな方にはたまらないんでしょうね…。)
帝大の教授、宇野辺叡古と
そこに縁あって居候することになる阿蘇藤太が
殺人事件に巻き込まれていく話。
登場人物が実在した名前そのままで出てきたり、
本当にあった史実が出てきたり、
本を片手に検索検索でした。
叡古先生と藤太のやりとりが軽妙なので
最初ちょっとふざけたミステリーなのかと思いきや
どんどん重厚になっていき、
その時代の雰囲気にどっぷりつかりました。
日比谷公園ってそういうつくりなんだとか
帝国ホテルってそうだったんだとか。
赤門もそういうことだったんですね。
ミステリーとしても面白かったのですが、
叡古先生が藤太に諭す言葉。重みがありました。
叡古先生の言葉が、打てばすぐに響く藤太。
なんだか羨ましかったです。(私も響かせられるかな)
近代日本史に興味が湧いた一冊です。
最後の方に明かされる藤太の本名。
えーーーーーって感じですよ☆
門井慶喜さん、他の作品も読んでみたいです。
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一気に読めてしまう通俗探偵小説の佳作。本書の最大の謎のヒントも第1話にこれでもかと散りばめられていたりするのはご愛嬌。「人はなぜ、学問をするのか」に対する叡古教授の答えは思わずニヤリとさせられる。
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+++
最高学府で連続殺人!謎を解くのは天才哲学者「ウンベルト・エーコ」ならぬ天才政治学者「ウノベ・エーコ」。他を圧する「知の巨人」が開示していく事件の真相は、まさに予測不能。ラストは鳥肌モノ!!
+++
ミステリなのだが、歴史の裏側を見ているようでもあり、まさに現実に起こり得るかもしれないと思わされる部分もあったりして、面白かった。歴史として文字で見るのとは違う生の時代の動きを覗き見たら、意外とこんなものかもしれないとさえ思えてくるのは著者の巧さであろう。思わずふふふと笑ってしまう一冊でもある。
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軽くて読みやすいが、時代を明治に設定している意味は余りないように思う。
登場人物間の人間関係もやや安直。
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くだらない、サイテーの駄作だ。オリジナリティーのカケラも無い。作者は厚顔無恥か?世の人の貴重な時間を奪う責任をもっと自覚すべし。もっとちゃんと考えてから書かないと。またそれをいい加減に持ち上げる書評担当者も猛省を!
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日露講和条約締結の前後を時代背景に、大学教授が連続して殺されるという事件と、それに絡む熊本の五高生阿蘇藤太くん(仮名)及び帝大の叡古教授のお話。
発端であり柱となる殺人事件の犯人捜しと、仮名の主人公の謎があるのでミステリ、それも歴史ミステリにカテゴライズされるかもしれない。
ただ、そんなミステリの部分はあまりに取って付けた感じ否めず、そちらがサイドストーリーのように感じる。おそらく主題は叡古教授が主人公藤太に伝える言葉の端々にあるのだろうし、その言葉を得た藤太が誰であるかがキモであるように思う。
とにかくガジェットが多すぎて漠とした印象が否めない。明治中後期から昭和前期頃までの日本の政治史や外交史を頭の隅に置いて読むと分かりやすいかも。
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明治から戦後までの激動の時代の政治(青春)ミステリ、とでも言おうか。
歴史上の人物がわらわらと出て来て、多分あらすじだけ読めばものすごく固くて長い話だと思うけど、叡古教授の何とも言えない風情と振り回される藤太青年のあわれさに軽やかに読み終わる。
学校ではさくっと飛ばされる近現代の歴史。学生たちにこういう本を読ませれば興味もわくだろうに。
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直木賞候補なんですね~(予約いっぱいになる前に読むことができて良かったです)
面白くて、勉強になりました。というのが正直な感想です。
普段、まず使わない難しい言葉が多くて、辞書が手放せませんでした。
実在の人物がたくさん登場して、気分はタイムスクープハンター♪
叡古教授と藤太のゆるぎない信頼関係も、とても良かったです。
そして、藤太の本名は?と持てる知識を振り絞って想像したけどわからず。
(もしかしてアナグラム?とか…)
最後にやっと、あの方か…。
以下、ネタバレです。
あの方について触れています。(名前は書いていません)
かつて、お名前を読み間違えて覚えていた私が語るには、とてもおこがましいんですが…
日本の外交の歴史において、不世出の方だと思っています。
戦犯とされてはいても、あの時代において誰より戦争反対を訴え続けた方だと。
あの日、どれほどの決意であの場に立たれたのか…
どれほどの想いであの歌を詠まれたのか…
今再び、同じ轍を踏むかのような危うい日本をご覧になったとしたら、どのように思われるのかと…
ふと、考えずにはいられませんでした。
そして、
ミステリーのレビューで、このようにネタバレのようなことを書いていいのか迷いましたが、
門井さんが藤太の本名として”今”あの人物の名前を書かれた…ということの、私なりの受け止め方として書くことにしました。
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五高から東京帝大に進学希望の阿蘇藤太クンの出会う殺人事件の様々・・・といった意趣のミステリーなのですが、一筋縄ではいかない日露戦争~の日本の歴史の中で浮沈する華族や庶民の暮らしまで。何より歴史上の人物が次々と現れてくれるのはうれしい。藤太クンもただそれだけじゃないだろうなと思ったら、やっぱり・・・
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最高学府で起こった事件から始まる連続殺人を巡るミステリ。……なのだけれど。本質はこれ、歴史ミステリかも。残念ながら私、この時代の歴史にはまーったく詳しくなかったので。あの人の正体が判明しても「?」だったのですが。そのあたりをよく知っている人なら衝撃なのかしら。
でも個々の謎解きの部分は十分楽しめました。当時には考えも及ばなかったハイテクが駆使されるのも楽しく。なんといっても叡古教授の稚気が楽しいなあ。わざわざあんな暗号にしなくても(笑)。
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明治開花物というジャンルを切り拓き、そのスタイルを確立したのは山田風太郎です。手がけたジャンルは幅広く、幾多の傑作を残した稀有の巨人です。門井さんは、そのスタイルを良く研究し、器用に再現されています。惜しむらくは、そのプロットですね。山田風太郎の唸らせるほどのプロットはここにありません。真似のできないところですね。
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九州の旧制五高から夏の東京へ先輩を頼って上京してきた主人公は、待ち合わせ場所の帝大図書室に赴く。しかしそこは、頼って上京してきた同郷の叡古教授の殺害現場。と思いきや、その死体は別の教授なのだが、登場した叡古教授に藤太という名前にされてしまう。
知能明晰な叡古教授のもと様々な事件と向き合うことになる藤太。
漱石、徳富蘇峰などなど、実在の人物や事件を背景に明治・対象・昭和の歴史を巡る大舞台。
最後の最後に、藤太の本名が明かされ、歴史を体感させる。
歴史上の人物・事件を踏まえた大フィクション。面白かったけれど、歴史の知識に乏しい私は、もっと勉強しておけば良かったと悔やみました。
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直木賞候補作。
時代ものなのか、ミステリーなのか捉えどころのない感じ。
その奔放さは森見登美彦的でもあり、簡単に人が死ぬ様は、伊坂幸太郎的でもある。
ストーリー的に盛り上がりに欠ける。
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第153回直木賞候補作品。ということで。
知識が乏しくて、藤太の本名に吃驚出来なかった。ナサケナヤー。