投稿元:![ブクログ](//image.honto.jp/library/img/pc/logo_booklog.png)
レビューを見る
舞台は1980年代末期の東ドイツ。
ある日本人留学生の目を通して、ドレスデンを中心に描かれるドラマは、実際には書き込まれていない周辺東欧諸国の熱気も含め、まさに革命前夜たる当時の生々しい空気をヴィヴィッドに読者に投げ掛けてくる。
そして文字通り重く暗雲が垂れ込めているかのような物語中のモノクロームの世界を、明確な映像として見事に表現しており、そこに絡んでくる主題の一つ、旧東欧世界で生き生きと躍動した音楽の存在が、また得も言われぬ素晴らしい役割を果たしている。
いくつか、主人公の言動がリアリティーに欠けて浅薄に感じられるところがあるものの、今の我々とは異なる時空に生きた人々が大きくて理不尽なうねりに翻弄されていったという事実に思いを馳せるきっかけを作り出してくれる、意義ある一冊だと思う。
投稿元:![ブクログ](//image.honto.jp/library/img/pc/logo_booklog.png)
レビューを見る
一気に読破した。時間のあるときに読むのがおすすめ。
筆者の筆に乗せられて、作品世界を「駆け抜けた」印象が強い。
時代が、歴史が、など苦手意識を持っててもするする読めます。というより否応なしに頭の中に入り込んでくる感じ。
読んでよかった一冊。
投稿元:![ブクログ](//image.honto.jp/library/img/pc/logo_booklog.png)
レビューを見る
『革命前夜』で第18回大藪春彦賞受賞、第37回吉川英治文学新人賞候補。
冷戦下の東ドイツを舞台に、一人の音楽家の成長を描く。
厚みのあるストーリーでした、教会や街並みをネットで観たり、曲をユーチューブで聴きながら読みました。
ドイツの街並み、クラシック音楽、歴史がクロスして
素晴らしかった。
投稿元:![ブクログ](//image.honto.jp/library/img/pc/logo_booklog.png)
レビューを見る
#読了。2015年大藪春彦賞受賞作品。初読み作家。
1989年、日本では昭和から平成へと移る際に、眞山柊史はピアノ留学のため東ドイツに渡る。東欧自由化へのうねりの中で、自らの音楽、国に縛られた人間関係に悩みながらも成長していく姿を描く。
時代が変化する圧倒的な人間の力とともに、音楽の繊細さと力強さが圧倒的な強さで伝わってきた。暗い国・街の中で奏でられる音楽との協調や対比も素晴らしかった。クラシックに造詣が深ければなおよかったのだろうが、面白かった。
投稿元:![ブクログ](//image.honto.jp/library/img/pc/logo_booklog.png)
レビューを見る
途中で音楽小説から歴史小説へと変貌する。
前半は読み手に負担をかなり強いる小説だと感じた。専門用語が多すぎる、単純な描写で風景のイメージがしづらい、など。
読んでいくうちに、あの時代のDDRの閉塞感が伝わり、制約のなかでささやかに抵抗しようとしていた登場人物たちの描写に心情を重ねることができた。
歴史小説としては満足できるものだと感じた。
投稿元:![ブクログ](//image.honto.jp/library/img/pc/logo_booklog.png)
レビューを見る
不勉強で申し訳ないのですが、ピアノで東ドイツに留学ということがとても意外で、そこから既に取り込まれていたのかもしれません。しかも、東西ドイツに分かれていてベルリンの壁があった時が物語の舞台ということで、歴史をなぞっている気持ちで読みました。
ベルリンの壁といえば、昔読んだ上原きみこさんの『天使のセレナーデ』の印象が強烈で、実際にベルリンの壁が崩壊したニュースは本当に驚きでした。きっと、この『革命前夜』のようにいろいろな悲劇と個々の戦いがあったのでしょうね。ピアノとオルガンの音が響いてくるようなラストでした。
投稿元:![ブクログ](//image.honto.jp/library/img/pc/logo_booklog.png)
レビューを見る
2016.9 ベルリンの壁が壊れた時は遠い国のことで、へぇと思っただけだったけれど、クラッシックピアノの調べとともにこの小説読みました。
投稿元:![ブクログ](//image.honto.jp/library/img/pc/logo_booklog.png)
レビューを見る
1980年代のドレスデン。DDRに音を探しに留学してきた音大生。皆がDDRから出て行くこの時期に居合わせた巡り合わせ、が面白い設定。
ハンガリー、ベトナム、北朝鮮から留学生が背負うものの重さは想像できるが、平和日本に生まれた我々は、そのことをそれ程までに責められるべきなのか?
様々な立場や能力や希望を持った人々が入り乱れる中、何気に冷静なのは、母の亡命を父が密告、それでもDDRに残る決断をした、ライプツィヒ在住のニナ・ダイメル、14歳だ…おっと、厨二かw
投稿元:![ブクログ](//image.honto.jp/library/img/pc/logo_booklog.png)
レビューを見る
「価値観なんて、たった一日で簡単に反転する。」
東ドイツ。ベルリンの壁が崩れる前。
青年は音楽を学ぶ。
投稿元:![ブクログ](//image.honto.jp/library/img/pc/logo_booklog.png)
レビューを見る
内容(「BOOK」データベースより)
バブル絶頂期の日本を離れ、東ドイツに渡った一人の日本人留学生。住民が互いに監視しあう灰色の町で彼が出会ったのは、暗さのなかから生まれる、焔のような音楽だった。冷戦下のドイツを舞台に、日本人音楽家の成長を描く歴史エンターテイメント!
投稿元:![ブクログ](//image.honto.jp/library/img/pc/logo_booklog.png)
レビューを見る
読んでいてこんなにもピアノやチェロ、オルガンの音が響いてくる音楽小説に初めて出会いました。ベルリンの壁が存在する時代に、東ドイツへピアノ留学をした主人公、柊史。彼が、目にする閉塞感でいっぱいの灰色の世界。洪水のように、包み込むように、弾き手によってさまざまな顔を見せる音。表現が独特なのに豊かで、小説内で描かれる「音楽」というものに圧倒されて、とっても良い意味での疲労感を味わいながら読みきりました。魅力的な登場人物たちが、それぞれの楽器や音楽と向き合い生きる様に夢中になりました。クライマックス、あの一夜の真実、彼の思い、そしてラストのピアノオルガンデュオのタイトル…歴史に詳しくない私でも胸が熱くなりました。須賀さんの小説は初めて読みましたが、ものすごくエネルギーを消耗するのに、それ以上の達成感のようなものを味わえる読後感があるので癖になってしまいそうです!
投稿元:![ブクログ](//image.honto.jp/library/img/pc/logo_booklog.png)
レビューを見る
冷戦下の東独に留学した柊史の視点を通して、壁ひとつで隔てられた世界を感じることができた。誰が密告者か判らないような状況で、自分の音楽の追及し、恋をして傷つく、登場人物たちの造形が見事で、彼らが奏でる音楽の音の表現も素晴らしかった。ベルリンの壁の崩壊、なんだかすごく昔の出来事のような気がしていたけど、平成に入ってからの出来事なんですねえ……ニュース映像でしか知ることのなかった世界を体感できたかのような楽しみが味わえた至福の読書時間でした。
投稿元:![ブクログ](//image.honto.jp/library/img/pc/logo_booklog.png)
レビューを見る
抑制された美、というべきか…。正直これだけの材料が揃うと、もっと直情的な内容になりそうな気がするが、冷静に読了。(つまらないわけではない)
ラカトシュとイェンツという二人の魅力的な天才ヴァイオリニストに対して、もっと書いて欲しかったのだが、説明すべき背景が多すぎて(若干お腹一杯)ページ数足らなかったか?といった感じがした。
投稿元:![ブクログ](//image.honto.jp/library/img/pc/logo_booklog.png)
レビューを見る
☆4つか5つかものすごく迷って、限りなく5に近い4かな。
須賀さんの中では一番。
断然面白い。
教科書的すぎず、メロドラマ過ぎず、音楽と恋愛と政治と人間関係とがちょうどいい。
この本に出てくる曲が全部わかればもっともっと面白いのだろうな・・・。
投稿元:![ブクログ](//image.honto.jp/library/img/pc/logo_booklog.png)
レビューを見る
東西に分断されていた時代の東ドイツに、ピアノ留学をした男子学生が主人公。共産主義国での特殊な暮らしをとおして、音楽的にも人間的にも成長していく。
『また、桜の国で』に次いで手に取った本作も、少し前の欧州を舞台に重みのあるテーマを扱った一冊だった。
例えばオリンピックで東ドイツの選手は強いなどという具合に、東西ドイツの事情には曖昧な記憶しかなく、テレビでは見ていたものの国を分断するベルリンの壁についての知識もいい加減だったことに気づいた。
留学先に東ドイツを選んだ理由は弱いが、その国の当事者ではなく無知な日本人を主人公にしたことで、共産圏の様子を内外から客観視できたのが効を奏している。
12月の忙しさを口実に、本は読んでもレビューは後回し。結局年が明けてから、遡って何冊分もまとめて書く始末。いい作品ほど記憶の鮮明なうちに書かないとね…。