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お客に対して、「消費者的な人格」を刺激するのか「受贈者的な人格」を刺激するのか。
経済と効率のみを追求し、お客に対してもその点だけを訴求していくことは「消費者的な人格」を刺激することになり、顧客と店は共にいかに「得をするか」のみに注目することになる。
一方、「贈る」仕事ができていれば、お客に対し「受贈的な人格」を刺激し、お客にとって自身の「負債感」を増すことにつながる。そしてお客はその負債を返済するために、また店に対して贈る(来店・購入)行為ををしてくれる。
お金は手に入れるための道具ではなく、何かを受け取るための道具。どんな仕事にもその仕事をなす贈り手がある。「手に入れる/取られる・奪われる」と捉えるのか、「受け取る/贈る」とどちらが幸福感を感じられるか。
スタッフ採用の際「あなたはお店をいかして、どんなことを表現してみたいか」と問う。組織のために人がいるわけではなく、人が組織をいかして自分を表現すること。組織は人を利用するのではなく、人を支援するというスタンスに立つ。
仕事は誰かを支援する。お客を支援し、社員を支援する。
無機質で経済的な目先の利益と効率のみを比較し、ひたすらにそれのみを追求し、そこが成否の基準となっている現代日本に「自分の仕事ってそれでいいの?」と投げかけるような一冊でした。
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東京に長く住んでいる人は共感すると思う。
筆者は西国分寺が地元で、東大を出て、大企業相手にコンサルティングする経験をこれまで積んできている。
だからこそ、「急がなくたっていいんだぜ」という思想や主張をもったカフェを都内で開くことの意義は大きい。
ただ、読んでいて感じたのは、それができるのはこの人だけなのでは、という疑問であった。
それは、能力や経歴をさして言うひがみなどではなく、その仕入れや経営に対して、結局のところニッチだから生き残っているにすぎず、一般的な経済行動に対し解決策を示しきれているわけではない。
この本を読んで共感する人は、おそらく東京勤めで連日の慌ただしい生活に疲れ切った人くらいだろう。本当の農家だとか、自らUターン・Iターンして地方勤務を選んだビジネスマンには、ほとんど共感を呼ばないのではないかと思うのである。
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東京は西国分寺にある大好きなカフェ、クルミドコーヒー。そこのオーナーである影山さんの本。
クルミが食べ放題で、木を基調にした家具やステンドガラスあとても居心地よくて、よく通っていた。学生時分で、1杯650円のコーヒーは決して安くはなかったが、それでも1杯200円のコーヒーチェーン店を通りすぎて、度々通ったものだ。クルミドの夕べでは、影山さんとフランクにディスカッションしたこともある。
大好きなカフェの裏側、経営者の考え方は、とても興味深いものだった。
お客さんの「消費者的人格」(少しでも得をしよう、という考え)を刺激しないような工夫。
お客さんに「こんないいものを提供してもらったのに自分が支払った対価は安い」と前向きな「負債感」を感じさせることが、友人への口コミ、ブログへの紹介など次へと「贈る気持ち」につながる。
経営、経済なんてこ難しいと思っていたが、とても面白く、自分の今の仕事にさえ繋がる部分があった。お金が全てではないが、ボランティアとは違う双方が笑顔になれて、そして回っていく仕組み。
おもしろい、おもしろい。
ゆっくり、いそげ。
今年のテーマはこれでいこう。
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「ゆっくりいそげ(フェスティナ・レンテ)」
ぼくは常々、この中間がいいなと思ってきた。お金がすべてという発想に与するものではまったくないが、一方で便利さも求めたいし、贅沢だってしたいこともある。売上や利益は、自分の仕事に対する社会からの評価だ。新しい技術やアイデアで世の中が劇的に変化していく様子にワクワクするし、競争は自分を高める貴重な機会とも考える。
ビジネスとスローの間をいくもの。
「ゆっくりいそげ」。
AかBか、ではなく、どっちも。
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今まさに「健全な負債感」でいっぱいだ。どのようにそれをお返ししていこうか。自分にどんなギブの方法があるかな。
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働くことの概念を覆されるというか、自分の働き方が鬱屈したもののように感じるというか。
幸せが得られる経済って、考えたことがなかった。うろこ。
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伝わりやすさを優先してしまうと、自分の人生の手綱をどこかで手放してしまう感覚に陥る。メンドくさい、をどう乗り越えるか。も一回読もう。
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西国分寺のカフェ、クルミドコーヒーのオーナーより、働くということについてのメッセージ。
人によって解釈が違うことが前提の為、必ずしも正論とは思いませんが、なるほど‼︎と思わされる節もあり、勉強になりました。
また、今一度、自らの働く上でのポリシーを再認識させられました。
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「ゆっくり、いそげ」
ラテン語で「festina lente(フェスティナ・レンテ)」
目的地に早く到達したいならば、目の前のことを一つ一つ丁寧に進めていけば、存外早く目的地に到達できるものだ。
「勇気を持って、ゆっくり行け」と平井伯昌コーチの言葉が添えられていた
この考え方がこれからの経済や社会の基本指針になるのではないか?という大きなビジョンを
実際にクリミドコーヒーがやってみたことを通じて語っている。
私はこの本に、とても共感するところが大きい
これからの経済、といってしまうと
とてつもなく大きいもので自分とは関係ないように思うけれど
もっと身近な
自分のあり方、社会との関わり方、判断基準に、
「勇気をもって、ゆっくり行く」ことを体現していきたいと強く思った。
それは、文章を読んでいて感じた
書き手の影山さんだけでなく
クルミドコーヒーのまわりに培われている信頼関係や、
クルミドコーヒーを支えている人たちの思いや愛情など
文章には表現されていないだろうノンバーバルな部分に
私はとても惹かれてしまった。
理論ではなくて、何か直感のようなものが、こっちだな
と反応した感じ
この本は、とても気持ちがよい。
もし、急ぎすぎているひとがいたら
この本を紹介してもいいなと思った
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林麻衣子もってます。昭島で地域通貨がはじまる第一歩となった、影山知明さんの書籍。 伊藤さんへ貸し出し中。
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介護関係のFBページで知った本。
ゆっくりいそげ。フェスティナ・レンテ。
日々の利用者支援でスピード感に欠けてて、でも慌てると失敗する私にとっては、座右の銘にしたい言葉。
経済って難しそうと思っていたけれど、介護サービスだって経済活動のひとつ。人と人との関わりと捉えれば、身近で温かみのあるもののように思えた。
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【概要】
クルミドコーヒーというカフェを軸にした、人を手段化しない経済について。ビジネスとスローの間にあり、AかBではなくてどっちも。そういった理想論を実際のカフェの運営を通じて記載した本。
対お客さん含めた利害関係者との付き合い方、対従業員との付き合い方。
それぞれに対してもGIVEをベースにした可能性を記述しており、実現したいと思える良書。
【評価】
91点(理想的な内容だったけど、文章が納得感のある理論でまとめられていて実現できそうな気がする。一部ボリューム増すためか、本題とかけ離れるような一般論があった点はいらなかった気がする)
【共有したい内容】
・「ゆっくり、いそげ。ラテン語でフェスティナ・レンテは急がば回れのように、目的地への到達を急ぐのであればあるほど、むしろ目の間のこと、足元のことを一つ一つ丁寧に進めた方がいい」
・「消費者的な人格(できるだけ少ないコストで、できるだけ多くのものを手に入れようとする)よりも、受贈者的な人格(いいものを受け取ったから、もらったもの以上のもので、なんとか返したい)を刺激できたらいい。」
・「「健全な負債感」(受け取っているものの方が多いな、返さなきゃという気持ちを背負うこと)が感謝の気持ちとともに人の中に自然と芽生えるといい。
・「利用しあう関係よりも、支援しあう関係がいい」
・「自分一人の「小さな自由」では実現できることが少なく、責任も重いが、他人とともにある「大きな自由」を構想できれば実現できる「可能性」が広がる
【悪いところ】
具体的な従業員の反応といった記述がなく本当なのか?という疑問はある。
VC時代の話も悪くはないけど、今回の本では不要な感じがした。
【どういう時に役に立つか】
お客さんと向き合いたい時
カフェを開きたい時
組織文化を作っていきたいと思った時
【ターゲット】
人事部
経営者
入社1年目くらい
【自由記述】
キャッチ―な言葉が多用されており、具体的にその言葉から色々と考えてみたくなった。
理想論が多い気もするが、考え方・姿勢の問題で解決できそうなちょうど手が届く形の内容だったため、すごく腹落ちした。
ギブの精神ということはよく言われているが、繰り返し、対お客さん、利害関係者といったところ、対従業員といったところ、それぞれに対してのギブをしていって、さらにその結果としてどうなっていくのかまで記載しており、イメージしやすい。
ロジカルなバックグランドの著者が、クリエイティブな感じの文章で(コピーライターの人が書いた本みたい)さらに内容がカフェをベースにしていることもあり、優しい本といったのが感覚で来た。
人に贈りたくなるようなそんな本だった。
人に伝えたい内容ばかりだった。
この内容を突き詰めてフェアの概念まで作りこめればと感じた。
【合わせて読みたい】
日本一働きたい会社の作り方
自分の小さな「箱」から脱出する方法
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資本主義、経済至上主義のど真ん中で闘うでもなく、そこから下りて原始的な生活を送るでもなく。顔が見える、でもある程度の規模の特定多数のコミュニティの中で、無理なく経済を循環させていく。すごく共感できる考え方。
人と人との関係性についても、ムラ社会的な不自由な共生ではなく、自己責任が問われる、自由な孤立でもなく。自由で、でも共生していく、そんな関係性が当たり前になったらいいなぁ。
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資本主義とスローライフの二項対立的な構図を超えて豊かに生きるためのヒントが詰まった本。クルミドコーヒー行かないとな。なぜ、カフェを始めたかについて深く書かれていないが、気になって検索したら納得。そして最後の一文に強烈な意味合いを感じてしまった。とにかく素晴らしい本だった。
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◯特定多数間での複雑な価値のキャッチボールを成り立たせるためには、多くの場合、身体性を伴う直接で密度の濃いコミュニケーションが必須だということだ。(39p)
◯どんな仕事にも、それを現実のものとしてくれている「贈り手」の存在がある。その仕事/ギブを受け取りました、いただきました、ありがとう、とお金を渡すのだ。(125p)
◯存在を傾けた、手間ひまのかかった仕事をちゃんとすること。そしてその仕事を受け取ってくださった方に、時間をかけてちゃんと寄り添い続けること。(227p)
★特定の人の間で直接やり取りできるなら、お金で表せない価値も成り立つ。手間ひまをかけた仕事をギブしあう関係。AIの時代には当たり前になるだろうか。
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次回の #インクワ望月ゼミ 用に @mimimizuho さんが選書した『ゆっくり、いそげ』西国分寺にあるクルミドコーヒーでの実践を通じた心温まる経済書であり、哲学書。利潤と生産性の追及に帰結しがちな資本主義が唯一の解ではないかもしれない。その可能性を感じられる