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『それは連綿とつづく憎しみの連鎖の、もっとも美しい終わらせ方だった。わたしたちは血を流さないこともできる。しかし血を流さずに。いったいなにを証明できるだろう?』
台湾、国民党、共産党。
『祖父たちは、いっしょに食うこと、ちゃんと食うことに大きな意味があった時代に生き、そのために命を張ったのだ。』
台湾に行きたくなった。
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デビュー作を『本の雑誌』の献本企画で頂いて以来、細々と見守り続けてきた東山さん。
で、直木賞ということで「おおおお立派になって」と、何か嬉しくなっちゃった今作。
東山さんは文章的には読みやすいのですが、バイオレンス描写がそこそこありまして、それがちょっとつらくて全作は読めてないのですが、これは結構とっつきやすい方だと思います。
さて、主人公は台湾人の少年で、大好きなおじいちゃんが殺されてしまうところから物語が始まるのですが、犯人は見つからない。
それが少年は悔しくて独自に調べていくと、おじいちゃんは大陸から渡ってきた人で、つまり戦時中色々あった世代なんですな。歴史の暗部を抱えている人だったということが明らかになってくる。
それを何年もかけておっかけてくわけですが、もちろん主人公も成長していく過程で色々色々あるので、近代史ミステリでもあると同時に、成長小説、青春小説でもあります。
伝えたいことは、憎しみの鏈鎖をいかに断ち切るか、ということでしょうかねえ。
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直木賞候補になった時から読みたいと思っていた、日本在住の台湾人作家の本。70年代の台北から始まるこの物語は、国民党政権下に置かれた台湾が背負った歴史を主人公たちの家族が背負い、その中で秋生は鮮烈な青春を謳歌し、殺された祖父の過去を探る。台湾映画をも思わせる背景と疾走感あふれる展開は、台湾と大陸の戦後史に詳しくなくても楽しめる。これが日本語で読めるってすごいよ。台湾での映画化希望。
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直木賞、ということで。
実はこの作家さんの本は候補に選ばれてはいても自分的には圏外だった。(の、お詫びも兼ねてのイザ!読み)
国民性が違いすぎ・・・と端っからちょっと酸っぱいものが込み上げてくるような気持ちもあり、しかも台湾や抗日戦争のこともできれば知らなくていいようなことと思えたりしたり。すいません。読み進めるにつれ勢いのある文章とその内容に、血の呪いのようなものに自分まで取りつかれてしまった気がした。
チョイスすれば面白かったところが多々ありどこを引用・・・という箇所は特に見つからないのでけれど、しいて言えばコックリさん。
国民性の違いは否めないけれど人間のドロドロさは同じ。著者さん、台湾生まれとあるがもしや私小説的なところも?
犯人探しのミステリー要素も十分。
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東山彰良さんの作品は初めて
中国語読みの名前になかなか慣れず
なんども登場人物の名前読みを確認して
丁寧に読み進めた
戦後の台湾の喧騒、暴力や
台湾や中国の人たちらしい会話、家庭
昔の日本や中国共産党、台湾国民党の戦い
盛りだくさんの内容なんだけど
青春小説なんだよなと、最後は爽やかな笑いで読了
面白かった とっても
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1970〜80年代の 台湾が舞台の
青春ミステリー。
戦いによる 涙や血の流れ。
血脈の流れ。
時代の流れ。
台湾、中国、日本を行き交う人々の流れ。
タイトルに、筆者の たぎる想い感じました。
漢字の人名を把握するのに
苦戦しましたが(笑)
異国のワイルドな空気感が
絡みつくように伝わってきて。
淡いラブストーリーも、せつなく。
後半は謎解きに、
ぐっと引き込まれました。
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「今年の直木賞作品だよ」と上司が貸してくれた作品
台湾が舞台のお話
台湾について全く知らなかったので(スミマセン)勉強になるだけでなく
多少暴力的だけど家族や人間の温かさを感じるバタバタした感じが好きです
ただ、おじいちゃんを殺した犯人に思い至ってからが急にトントン拍子に話が進んだ印象で
それまでの満足感からするとちょっと物足りなく感じました
桜庭一樹さんの「赤朽葉家の伝説」の男性版って感じでした
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後半は盛り上がったけど、前半はよく分からないまま淡々と進む。前半の伏線が後半になって繋がっていくけど、人名も似たりよったりで難しい。後半の盛り上がりは素晴らしかった。
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今、台湾で台湾人の中で生活をして居る。台湾の戒厳令下や戒厳令が解けた後、外省人と内省人との軋轢がホントの所なんで起きたのか腹に落ちてなかったが、外省人はいろいろな理由で、台湾に逃げてきて、望郷の念を持っている人たちであることがよくわかった。そういう人たちだと、早くかえってもらった方が良いし、今のように台湾人としてのアイデンティティがある人々とは全くちがう世界の人なのだとよくわかる。
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台湾の歴史、台湾のひとたちの広い意味での文化について勉強になった。信仰についても書かれていてとても興味深い。こんなふうに台湾のことを知れて嬉しい。
基本的には楽しく読める青春小説。青春小説という意味では『虹の少年たち』を思い出すところもあった。
推理小説仕立てである。暴力もでてくるが、いわゆるチンピラについての描写に愛がある。登場する女性たちがみんな魅力的なのもよい。
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話の舞台に慣れるのにちょっと時間かかったけど。濃い青春がうらやましい感じ。エピローグの最後の5行がなければ☆もう一個多かったのに。
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大筋としてはミステリーかもしれないが、その「犯人探し」は目的ではなく、物語を繋いでいく一本のテーマ。実際はひとりの少年が、色々なことに巻き込まれ、あらゆることを経験し大人になっていく青春小説。というのが、全体的な印象。
ジェットコースター的に展開していくとか、どんでん返しの結末とか、そこまではいかないけど、でもぐんぐん進んでいくようなところもあり、切なくなってしまうような場面もある。じわじわと染みるように面白いエンタメ小説。直木賞の選考委員が絶賛してるのも頷ける。
昼間仕事をしながら「早く続きが読みたい」とこれほど思った小説も初めてかもしれない。充実した読書になった。
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本当に面白く、ハラハラしながら読めました。世代や国境をも越えて、一族の血を守っていくのは、もしかしたらこの世に生まれ落ちて、最大の使命なのかと思った。こんなにも心地よく、本の中に入っていけたのは、久しぶりでした。
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芥川賞作品はまず読まない。直木賞作品は案外読んでいるか。
1970年代の台湾が舞台。主人公は高校生。
なんだか懐かしい。
家族はわいわい騒がしい。
バイクに乗った不良が学校に押しかけてくる。
こっくりさんをやったり。
老鷲合唱団(イーグルス)を聴くんだ。いっしょだ。
最終章で描かれる中国人が普遍的な中国人の姿であるなら、そうは思いたくないが、安倍首相がいくら反省をのべても徒労に終わるだけだろう。
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1970年代、1980年代の台湾で秋生が成長して行く物語。秋生の背景には中国本土と台湾の歴史があった。
残念ながら、台湾や台湾人の歴史・文化等に詳しくないので、深く理解できていないと思う。
中国語の氏名、品名等が沢山出てくるので、その都度読み方がわからなくスムーズに読み進められなかった。