紙の本
十二月八日と八月十五日
2015/08/27 23:14
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投稿者:まさちえ - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書は、太平洋戦争の最初の日と最後の日を、多数の人の日記を引用しながら、単なる時系列の歴史の解説でない、生き生きとしたものに仕上げています。【第1話:開戦の日】「帝国陸海軍は本八日未明、西太平洋において米英軍と戦闘状態に入れり」太平洋戦争開戦直後、それまでの米英の圧迫に我慢できなかった多くの日本人が、日米の国力の差によるその後の苦難の道を想像できず、快感を味わっていたことがわかります。今のわれわれがそれを単純に非難するのは必ずしも公平ではありません。そういう時代だったのだろうと思います。しかし、その後の展開を考えると悲しさを感じます。【第2話:終戦の日】「謹んでお伝えします。畏きあたりにおかせられましては、このたび詔書を渙発あらせられます。・・・国民はひとりのこらず謹んで玉音を拝しますように」戦争中に正確な情報を与えられず、神州不滅を信じていた日本人も多かったと思いますが、沖縄戦が厳しい状態にあり、日本国内も多数の都市が空襲に見舞われ、広島・長崎に原爆が投下された中での終戦。ほとんどの日本人にとっては青天の霹靂であり、悔しさもあったが、喜びと解放感を感じた人も多かった。戦争は否定すべきものではありますが、何故戦争に突入することになってしまったか、どのように終戦に至ったか、それぞれの過程で日本人がどう感じていたかを学ぶ必要があると思います。本書は、そのひとつの手掛かりになります。なお、著者ご自身の体験もまじえており、臨場感とまで書くと書き過ぎでしょうが、親しみを感じます。
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確かに著者の以前書いたものを読んでいれば読む必要はないとは思うけれど、このアイデアは見事だと思う。開戦の日と終戦の日に日本人が何をして、何を感じたのかという話。
太平洋戦争の流れを知らないで読むと難しいのかもしれないけれど、それくらいは学校で習っているはず。今の若い人に読んでほしい。
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太平洋戦争が始まった1941年12月8日、終戦の玉音放送が流れた1945年8月15日日本人はこの日に何を考え、行動したのか?各界の著名人の日記や手記をもとに、戦争というものが日本人」の精神構造にどれほどの影響を与えたかをあぶりだす。戦後70年の今、読みたい一冊。
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戦後70年の8月にこの本を読む。
半藤一利さんは、今年映画化もされた名著『日本のいちばん長い日』の作者で、昭和史の第一人者。記者として政府当事者や有識者からまだ記憶も新しい時期に直接話を聞いている。著者が持つそれらの情報の中から、開戦日と終戦日に何が言われたのかを時系列に沿って並べることで当時の世論や空気、さらには日本の国民性とも言うべきものがよく表されている。佳作。
開戦の1941年12月8日は、驚くほど解放感がある言葉が並ぶ。ここに至るまで悶々とした空気を感じていた様子がわかるし、そういった情報を積極的に流布していた新聞社やラジオ局を初めとしてマスコミの論調も推測できるようになっている。山本五十六が当日の訓示にて、「率直にいって、この戦は半年ないし一年で片をつけるべきものであって、それ以上つづけていくことは、わが国をして非常に苦しい立場に立たしめることになるであろう。みなは、そのつもりで緒戦の勝ちに奢ることなく、沈着冷静に任務に邁進するようにしてもらいたい」と言っていることは印象深い。軍部の一部だけがその日の意味を正確に知っていたということだろう。
終戦の1945年8月15日の事態の推移は『日本のいちばん長い日』に詳しい。作者もあらかじめ断っているように、本作の内容は同書に重なる部分が多くある。
それにしても、その当日に詠まれた短歌や俳句が多数紹介されているが、当時の文化として根付いていたのだなという感想を持った。また、作家が文化人代表として発言をしていることも今と比べると新鮮だ。文学というものの社会での位置付けが変容したこともわかる。現代で同じようなことが起きると、TwitterやFacebookの発言が取り上げられるのだろうか。
『日本のいちばん長い日』のレビュー
http://booklog.jp/users/sawataku/archives/1/4167483157
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20150822
第二次世界大戦が真珠湾攻撃により開戦された日12月8日と、玉音放送が流れた終戦の8月15日。
この日に、どんなことがあって、国民はどのように受け止めたのか。
あらゆる作家の記述と共に紹介されている。
今度は第二次世界大戦の全体を通して振り返られる作品を探して読んでみようと思う。