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投稿者:Koukun - この投稿者のレビュー一覧を見る
作者皆川博子は幻想的には虚構展開の道具として演劇を使っている作品がある。
この作品では演劇の代わりに映画が道具のひとつになっている。
幻想味はやや薄れているがよりリアルさが増している。
双生児、映画、ハリウッド.ウィーン.上海と多彩な道具 舞台を使いこなしためくるめく展開は相変わらずの作者の独壇場。どっぷりと漬かりこんだ。
双頭のバビロン 下
2016/11/07 12:34
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投稿者:によ - この投稿者のレビュー一覧を見る
うぉぉ…
ラストのユリアンの独白(でも、太字になっているのだからきっと、ゲオルクの自動書記が成功したものなんだろう…と思いたい。)で、一気に涙腺が緩んでしまった。
アヘンに侵される上海で、
増えていく謎…、
転がるように変化していく状況…、
そして、ユリアンとツヴェンゲルはどうなってしまうのか…。
ひとときも目を離せない下巻!
そしてこのラスト…。
またしても皆川女史に圧倒され、飲み込まれ、酔わされた。
あぁ、思う存分「双頭のバビロン」の世界に溺れました。
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下巻。
幻想と現実、或いは光と闇。ラストシーンは何度読んでもゾクゾクする。
腐り落ちる寸前の果実というのはこんな匂いがするのだろうか。
まぁ、皆川博子に関しては、この著者の作品を好きになれるか否か、という違いしかないように思うのだが。
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書く作品書く作品すべてが代表作といってもいい奇蹟の作家。
作者の入れ込む結合双生児というモチーフを題材に落とし込みながら、往時の風俗、幻視の街、執着にも近い感情を、小説に織物していく。
陶酔するしかない。
ゲオルク―「きみ」(エーゴン・リーヴェン)
ユリアン―ツヴェンゲル
ぼくはきみを慰めたいのだ
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保護者ヴァルターとの静かな生活から一転、過酷な戦場へ兵士として赴くことになったユリアンとその親友ツヴェンゲル。著名な映画監督となりながらも、撮影現場での大火事の責任をとり、ハリウッドから離れざるを得なくなったゲオルク。交錯しては離れていく双子の運命は、鴉片と悪徳が蔓延する魔都・上海で驚くべき邂逅を果たす。
数奇な双生児を巡る群像劇は、ここに終幕を迎える。
解説=石井千湖
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文章から、声ばかりでなくにおいさえ感じられる。描写されるもののにおいではない。作品自体が放つ、腐爛直前の果実のようなにおいだ。陶酔と眩惑に包まれ、自分自身に内含されたり外部から刺激してきたりする登場人物たちの温度に親しみ、或いは鼓動を速めた。今は何を書いても、作品に魅せられた人間による下手な物真似になってしまう気がするが、それでもこの感動を残しておきたく思う。
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うぉぉ…
ラストのユリアンの独白(でも、太字になっているのだからきっと、ゲオルクの自動書記が成功したものなんだろう…と思いたい。)で、一気に涙腺が緩んでしまった。
アヘンに侵される上海で、
増えていく謎…、
転がるように変化していく状況…、
そして、ユリアンとツヴェンゲルはどうなってしまうのか…。
ひとときも目を離せない下巻!
そしてこのラスト…。
またしても皆川女史に圧倒され、飲み込まれ、酔わされた。
あぁ、思う存分「双頭のバビロン」の世界に溺れました。
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めくるめく物語の奔流。
結末に辿り着いた時、書かれた人物たちの生を想い、胸を熱くする。
そうか、そう生きたのか。辿り着いたのか、と。
皆川先生、物語を紡いでくれて、私たちに読ませてくれて、本当にありがとう。
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この作品大好き!文庫を発見したので購入再読♪
前よりずっとゆっくりと噛み締めて読めて、まだまだずーっとこの作品に浸っていたい気持ちです。今度は手元にあるからいつでも読める!
世紀末ウィーンと20年代のハリウッドと魔都上海。舞台も全体に映画の雰囲気まんてんの作品。私は映画は詳しくありませんが、映画がお好きな方はもっと違った楽しみ方も出来る作品なのでしょうね^_^
↓ここから先はちょっとネタバレご注意↓
みんな好きなシーンばかりなんだけと、頭にすごく残ったところ…
パウルとアデーラの出会いからの話とか、大好き♡ え?なにこれ映画?そのまんまだよ〜みたいに思いながら読んでました。
あとは…ツヴェンゲルが名前を言う瞬間にまたドッキリしてしまいました(・・;)2回目なのに。
あ、もう一つ外せない大好きな場面、ユリアンとツヴェンゲルの再会。感動で心が震えます…ツヴェンゲルがピアノ弾いてます。メランコリックな小品ばかり弾くとかあるけど、何を弾いてたのかな。やっぱりショパンかなぁ。
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下巻も面白かったです。壮大。
人の汚いところも美しいところも、余すところなく描かれていました。
最後までゲオルクとユリアンはちゃんと会うことはなかった。けれど、ユリアンとツヴェンゲルはお互いの間に誰も入り込ませたくなかったのだと思います。
「私はハリウッドの安直なハッピーエンドには辟易している。けれど、現実の不幸はできるかぎり少ない方がいい。」
最後のユリアンの章、そしてラスト10行、泣けてしまいます。精神感応は出来たのだろうか。
「君によき日の続くことを。」
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上下巻の感想。
ゲオルグは名家の跡取りになるけれど、決して順風満帆な人生を歩んだわけではない。のだけれど、いまいち共感できない…
ユリアンは自分が何者でもないことを悩み、結局は何者にもなれないまま…
けれども、最後にはユリアンは救われたんだなあと思うのは、ツヴェンゲルがいたから。
ユリアンにはツヴェンゲルがいたけれど、ゲオルグにはいなかった。最後にゲオルグが書いたものと、ユリアンが書いた手記の違いはそういうことなのかなあ、と。
それにしてもツヴェンゲル有能すぎ…
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壮大であり切なかった…ゲオルク、ユリアン、パウル、どのストーリーもとてものめり込んでしまった。ゲオルクとユリアンにとって切り離せないツヴァンゲルという存在。
徐々に三人の語る出来事が繋がりリンクしていくのが見事だった。
ラスト、ゲオルクの書いた結末でも、ユリアンの語る結末でも、どちらか真実か分からないがどちらにしても切なくて胸に木枯が吹く。
君に良き日々の続くことを。ユリアンからゲオルクへの、最後の一文がとても身に染みる。
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皆川博子さんの、まるでその世界に入り込んでしまったような錯覚を覚えるほどの緻密な世界観は病みつきになってしまうけど、今回はお話があんまり好きになれなかったかなあ。上巻ののろのろ展開には辟易したし。あと、結末がハッピーエンドとは言えないのも読み手としてつらい。
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皆川作品恒例の男2人の絆に置いてけぼりになるやつ
ゲオルク可哀想だな…最初は傲慢で不遜で勝ち気でみたいな人かと思ったら意外と普通の感性があって(でもこれはユリアンと違って外の世界で自由に生きれたからこそだと思うので、それもまた残酷な描写だと思うのだけど)後半ゲオルクのこと見直すし好きになるよね
最後のシーンはどちらが本当か、について。
多分読者の解釈それぞれ答えなんだろうけど、私の考えではツヴェンゲルの方なのかなぁ、と最初は思った。
なんでかっていうと、誰もいない所で2人で一緒に死のうといういわゆるメリバは、皆川先生の中ではハッピーエンドなのかなと思ってるから。
そして、ツヴェンゲルの方は「先に片割れが死んでしまった。自身も壊死していく中の残りの人生はそれを弔う時間」。こっちの方が皆川作品的にはバッドだと思うんです。(そもそもどっちもバッドなんだけども)
最後のユリアンパートは、作中でも言及されていた「最後の人」の手法のオマージュなのかと思っちゃったので、もうこれは「現実が悲しいから(ユリアンとツヴェンゲルにとっての)ハッピーエンドバージョンも見せてあげるね」ってことだ…と解釈したんですが
フォント的に精神感応してるからユリアンパートが本物、という考察も見てなるほど…!?と思ったり。
どっちが本当なのよ〜!?的なエンディングあんまり好きじゃないはずなのに皆川博子が大好きという矛盾
そしてこういうエンディングのせいでめちゃくちゃ引きずるんだよな皆川作品…