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人間というものは、数十年続いている現象について、メディアがそれなりに報道すれば、きちんと確認することなく、その現象の起源など詮索しない。
2013年行われた伊勢神宮の式年遷宮行事。
これは、誰しも、大昔から同じ形式で営々と続いてきたものだと思っていたことだろう。
しかしながら、この本は、実は、伊勢神宮のあり方は、明治維新政府の手にかかり、江戸時代の庶民の楽しみであったあり方を変えてしまったものであることをキチンとした事実経過で紹介している。
時の政府は、自らの正当性を演出するため、伊勢神宮と神話を利用したのである。
また、戦前の政府は戦意高揚のためにも最大限利用とした。
そして、戦後の伊勢神宮の取り組みなど近代における伊勢神宮が歩んできた歴史をまとめたものである。
内容であるが、
伊勢神宮というパラドックス―プロローグ
「神都」の形成過程 明治期の伊勢神宮
近代の神宮と天皇の「大廟」
近代の宇治山田と地域社会
神苑会と「神都」の形成
大正・昭和期の国民と伊勢神宮
1929年の式年遷宮
大正・昭和の伊勢神宮を語る
伊勢神宮の広報
伊勢神宮の参拝空間
戦後日本と伊勢神宮
終戦の危機と式年遷宮―1953年
伊勢神宮の「脱法人化」と式年遷宮―1973年
聖地と俗地の伊勢―1993年の式年遷宮
伊勢神宮の現在―エピローグ
あとがき
となっていました。