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自殺を図った娘。
母の手記と娘の回想を交互に読み進めことで、理由が徐々に分かってくる。
自分が母親からして欲しかったことを娘に対してやってあげる。まっすぐな思いなのに、少しずつ母娘の間に溝ができていく。
ほんとの母娘だから、そこまですれ違いにならないだろ…、とか思ったりもしたけど、でも一人っ子だとあり得る?とも思ったり。
さすが湊かなえさん、と思わせてくれる作品だった。
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「読みたい」に入れていた本。7/30読了。
数年ぶりに湊かなえさんの本を読んだ。お得意の、登場人物の語り口調による展開はとても読みやすい。「母性について」「母の手記」「娘の回想」の3パターンから成り立つ、母と娘の物語。母は、ひとり娘で、結婚相手も母親の意見で決めるような、お母さん大好きタイプ。自分に娘ができても、お母さんを優先してしまうような。そんな母親のもとで、常にどうすれば母に喜んでもらえるかを考え、行動するようになる健気な娘。どこまでも、交わらない二人の状態に、モヤモヤしてしまう。印象的だったのは、母性についての回で、女性教師がのべるセリフ「女には二種類ある〜〜、母と娘です」というもの。そうかーと、妙に納得した。
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冒頭から騙しの仕掛けだが、
時代とかの感覚で割と早いうちに、
そのあたりには気づくのだけど
語られた時期も同じように見えて異なるようで、
最後まで二人の「娘」の言い分がかみ合わない。
で、15年ぶりに戻ってきた人、
本当に2時間ドラマの中だけなのか。
こういうモヤモヤ、のどに刺さった骨。
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湊かなえさんの書かれた「母性 (新潮文庫)」という物語が、つい先日文庫化された。以前から読みたかった一冊だったのですぐに買い求めて読み始めたが、今回もまた一気読みしてしまうほどすばらしい作品だった。
物語の主軸になっているのは、幼い頃から母親の愛情を一身に受けて育った母と、その母からひたむきな愛情を注がれて育ってきた娘とのやりとり。その娘が高校生になって、突然自殺を図ったところから物語は始まる。
《あらすじ》
物語は母親の独白によって始まり、幼かった頃から結婚するまで、結婚してから娘を授かるまで、娘を授かって育てている最中のことなど、様々な場面を振り返りながら語られていく。
一方で、母親の独白の後には娘の独白が続いており、母親から見た娘の考え方とはまた違った角度から、二人に起きた出来事について語られていく。途中で第三者の独白が入るが、それは物語の終盤になって意味を持ってくることになる。
自分が愛情を注がれて育てられたように、娘にも精一杯の愛情を注ごうとする母親。母親から注がれる愛情に応えようと、自分なりの愛情表現を返そうとする娘。二人の想いは同じなのに、性格の違いや周囲の環境などによって母と娘の気持ちが微妙に相手に届きにくくなっていく。
そして、物語は父親をも巻き込んだ形で終焉を迎えるが、そこにはさらに心に染みるような結末が待っていた。
湊かなえさんの作品は、女性を主人公とした心にズシッと響くような内容が多い。読後に胸に広がるのは爽快感や温かさではなく、本を閉じてからしばし考え込んでしまうような読後感だ。
今回読んだ「母性」も、読み終わってからいろいろと考えさせられる内容だったが、それが決してバッドエンドの味わいではなく、どちらかというと心に染み込んでいくような感情だった。
相手を想う気持ちというのはどこまでも深くて純粋なのだが、それを想うことと伝えることとは別で、伝えることがどんなに大変なのかが心の中に残ったという感じだろうか。なかなか深い内容の一冊だと思う。
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はじめての湊かなえ本。
さすがなんだなー!
あっという間に引き込まれて、読んでる数日間ずっとストーリーが頭を離れなかった。
最後の章。すっきりと全体がまとまってまるめこまれた。
でも、その実何も変わっていないのでは?という不安感が漂う感じも満足。
自分も母であり娘であるので、多くの言葉がぐりぐり来た。
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出産したらいきなり母になってしまうのだから最初から完璧な母はない。母親、子供、そしてたぶん父親、それぞれの立ち位置に悩みながら成長していくのよね。サヤカちゃんがひとりっ子でなかったら、また展開は変わったんだろうけど。どこの家庭にも小説より奇なりの問題があるなか、自殺はいけません。もっとツライ状況で生きている人はたくさんいるはず。…と思いながら一気に完読しました。
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私はまだ、ただの「娘」の立場でしかないから、子供を産んだらちゃんと「娘」を卒業して「母」になれるかなんて分からない。
別に子どもも好きじゃないし、年を重ねるに連れて可愛いと思えることも増えたけれど、それが「母性」だなんて、ましてや、自分よりも大事にしなきゃならないものが出来るなんて、やっぱり自信がない。
女は子どもを産んだら、母にならなくちゃいけないんだろうか。
母は私を産んで、ちゃんと「母」になれたんたんだろうか。
私にも母を疑う気持ちがあるし、母にもきっと、「愛能う限り」なんて言葉では到底あり得ない感情もあるだろう。
だからこそ、あまりにも酷い言葉に腹を立て、涙さえ滲ませながらも、この親子の心の、何かが自分と重なるようにも感じられた。全く遠い、どこか別の世界のはなしと突き放して捉えられないのは、結論として、私が女だからなのか。
でもやっぱり、「子どもはまた産める」っていうのは、女とか、母親とか以前に、人としてどうかと思う。
だから最後は、娘の清佳が亨と結婚して救われたことに、本当に安心した。
女同士というより、血の繋がりがある人間同士だって、理解し得ない関係は絶対にある。
その苦しみから逃れるには、そこを離れるしかない。分かり合おうとしなくても、他に幸せを感じられる場所へ行けたら良いのだから。
清佳はあの母親を諦めなくちゃならない。
子どもの頃、母が全てだった頃とは違う。
親子でも、二人は別人格で、全く違う人生を歩んでいけるのだから。
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母親になりきれない娘と
そんな母親から生まれた娘の話。
どちらにも共通するのは、愛されたい願望だと思いました。
言う事を聞いていれば愛されると育った母と
母のためにと行動したことが裏目に出る娘。
母親は外面の良いタイプで
思い通りにならないと我慢できない人なんだなと
思いました。
私には娘はいないので
母親がお母さんを思う気持ちが少し
怖いなと感じました。
でも、こういう親子いそうだとも思いました。
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キャラのたった母と娘の「愛の求め合い」にハラハラドキドキで面白かった。「結局のところ、愛なんてエゴとエゴのぶつかり合いなんじゃないだろうか」 多くを学んだ清佳(さやか)と亨の家庭はきっとうまくいくはずだ。
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母性ってなんですか?
もともとあるものですか?
母親になったらめばえてくるのですか?
不思議です。
でも、
子どもは母親の愛がほしいんです。
無償の愛がほしいんです。
そして
期待に応えたいんです。
褒めて欲しいんだもん。
この本を読んで
わたしは母にとって
どんな娘だったのかを
考えました。
大人になった今でも
変わらずに愛してほしいと思うのは
おかしいですか??
2015.7.11
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母と娘の気持ちの捉え方、言葉の伝わり方は必ずしも一致するとは限らない。
母、ルミ子には大切な大切な母がいて、その母が亡くなっても尚、母が一番大切だった。
一方、娘、清佳も母が大好きだった。
母を守るのが自分の役目だと思っていた。
しかし、清佳が想ってきた、母の為に、という気持ちは一切母には届かなかった。
こんな不毛な親子の形が実際にあるのだろうか。愛能う限り、その言葉がこんなにすれ違う家族は本当にいるのだろうか。
でも、想像すると、想う気持ちはあるのに、知らないうちに育児放棄や虐待に繋がっていくこと。
本人が無自覚であること、それが一番怖いことなのかも知れないと思う。
母は娘を愛そうとしながらも、自分にとって悪い出来事すべてを娘のせいにしてしまい、それがあの出来事に繋がる。
負の連鎖?自業自得?
あの新聞記事は結局、過去の物だったと捉えていいのかな?時系列がどうも頭の中で整理できなかった。清佳は何年も寝たきりだったのかな。
とにかく、母性云々、子供を産む予定のない自分には関係のないことだけど、母とのすれ違いの生活は痛いほどわかるので、これから清佳には幸せな家庭を築いてほしいと思う。
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私が母であれば、違う受け止め方が出来たのかもしれない。もしくは子供であれば。
もしくは、ふたりのどちらかに、少しでも共感できる部分があれば。
始めは全く気づかず読んで、レビューに恥ずかしいこと書いていたのですが……。
やっぱりイマイチピンとこなかったかなぁ。じっくり考えると考えさせられることはあるけれど、共感できる部分が今の私にはまだなかったかな。
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母でない私は、母性というものを漠然と、女性が本能として持ち合わせた我が子に対して抱く慈しみの気持ちだと捉えていました。
けれど母親は、母である前に娘であること。人生の過程から理想の母親像、母親とはこういうもので娘とはこういうもの、という親子像を自分自身だけでなく娘にも無意識に求めてしまっているのかもしれません。
自分の母親はどういう母親だったのか、私は母にとってどういう娘だったのかと大人になった今、考えることがあります。母娘は一番身近な女同士。離婚すれば他人になれる夫婦以上に当事者しか分からないすごく複雑なナイーブな関係であることも。
お互いの立ち位置も距離も、時間の経過と共に変わりゆくもので、ほんの微妙に違うだけでも母娘関係って変わるのだと。
もし私がが母になり娘を産んで母娘関係に戸惑うことがあった時にまた読み返したい一冊。
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親と子の関係というのは、
一番紡ぎやすそうに感じます。
ただそもそも、親子は対等に見えて、多分違う。
子どもは生まれたばかりの純粋無垢な存在。
何の抵抗力も持っていない。
どんな考えにも環境にも染まる。
それでいて、本能的になぜか愛は求めるんです。
人間の子どもを、愛のない環境で育てると、
体が発育しないそうです。
対する育てる側は、大人です。
今まで様々な環境に触れ、人に触れ、
自分なりの考えを形成しているはずです。
その中に、子どもには愛を与える、
っていうことは、必ずしも含まれていない。
親子って一番近い存在だから、
距離を置くのが案外難しい。
人って、失わないと気づかないこと、
結構ありますよね。
自殺か、他殺か、、。
そういうミステリーでは確かにあったけど、
「母性」について、色々考えてしまいました。
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大学で研究している時にこの本に出会ってたら、また、見識が広がったな。とおもた。
母になっても娘だし、母も娘も女。
いつもいつも、気持ちのすれ違いが
えぐいほどに書かれているけど
今回の小説もまた、えぐい。
最後にどうなったかを
読者の想像に任せることも
えぐい。笑
自分が子育てをする時が恐ろしくなるな。笑