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おいしい豚丼を食べるためなら北海道の十勝までも足を伸ばす、そんな人向けの一冊。
世界各国の豚肉文化史を、豊富な豚肉レシピととも紹介されている。
本書でも指摘しているように、世界各国、とくに欧米では、豚肉より豚肉加工品(ハム、ソーセージ、ベーコン)のほうが重宝されてきた。
あれだ、ドラクエ8の錬金釜で、「やくそう」にはそれほど価値はないけど、「やくそう」を錬金した「万能薬」は大活躍するようなものかもしれない。
最近の報道では、米国では豚肉の消費が伸びてきているらしい。
不景気で消費者が牛肉よりも安い豚肉を求める傾向にあるからだそうだ。
不景気でも好景気でも、豚肉は誰が食べてもおいしい世の中になりますように。
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豚肉は栄養があり、おいしく食べることのできる食材の1つだ。そんな豚肉も歴史をさかのぼれば、誰でも食べることのできるものではなく、古代ローマ時代においては富裕層が口にする高級食材だったというから驚きだ。
「豚で食べられないのは鳴き声だけ」と言われるように、頭からしっぽまで食材として利用されている便利な食肉だが、ユダヤ人やイスラム教徒は「けがわらしい」ものとして口にしない。
中国では、「肉」が意味するのは特に注意書きがされない限り豚肉を意味する。ちょうど、関西でカレーライスに入れる肉は牛、関東では豚というのと似ているなあ。
最終章では、大量生産に関する話題を取り上げている。豚にも快適な空間が必要だという言う意識が高まって様々な取り組みが取り上げられている。豚は、人間様が思っているよりも知性があり、きれい好きだ。頭のねじが緩んだり、汚部屋にお住いの人間様よりも上を行く場合もある。そんな豚だけに取り扱いを間違えるとブーイングを浴びることになる。
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「食の」図書館:料理とワインの良書を選定する《アンドレ・シモン賞》特別賞 受賞シリーズ!
古代ローマ人も愛食した、現代でも安価で美味しい豚肉。
偏見、タブー階級意識などの視点も交えながら、人間との豊富な歴史が描かれている。
ハム、ソーセージ、ベーコンなどの加工品の方が長期保存ができるためか世界では親しまれている。食肉のために、飼育場の環境整備についても色々考えさせられる内容だった。
夕飯の材料買いに、午後スーパーに行ったら、暑くなったせいか皆冷しゃぶにすんのかな。豚肉がめっちゃ売れてて、ほんと安くて調理し易い肉だなと思った。
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豚本はコンスタントに供給される。豚や豚肉料理の改良速度のそれよりも確実に早い。それでも豚の歴史や生態をただしく人々に届けるには至らないのだろう。豚肉は手軽である。
それは昔からだったようで、ヨーロッパでは、とにかく豚を飼えばいろいろとうまくおさまるよ、簡単だし、という風潮があったようだ。
世界最高級のハムがイベリコ豚のハムといわれるように、ヨーロッパにはうまい豚料理が多い。かつては豚に冬を越させることが難しかったので、豚肉は保存技術も進歩した。生ハムほど素晴らしい食べ物は、たしかにそうそう見当たらない。
豚肉は、こんなふうに美味しく使われてきたのだが、それはヨーロッパでの話。新大陸でも豚は大いに繁殖したが、そこでは美味しくない豚加工品も大いに増えてしまった。ハムやベーコンは現代的に(美味しくなく)なったし、なによりスパムが出現した。まあ、連中はそのうち牛肉が食用にできることに気づき、すっかり牛ファンになっていくのだが。豚はますます変な加工品化していく。
今では豚は感受性のある生き物としてではなく、生産単位として語られ、取引される。さすがにこういう状況に消費者も声を上げ始めたが、本書はそこにはあまり踏み込めずに終了してしまう。
豚肉ビギナーにはエキサイティングな本かもしれない。豚肉マニアには周知の事実も多いものの、東西のレシピや過去の美術品・創作物からの豚関連資料などは、満足できるだろう。
ところで、人肉は豚肉に味が似ているそうだ。なんでも食べる不浄ないきものとして、いくつかの宗教からは禁忌となっている豚。人肉もたいてい禁忌なのだろうが、豚とは比べ物にならない不浄さがあるしね。