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見ていない世界
2022/04/17 19:20
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投稿者:ぴんくる - この投稿者のレビュー一覧を見る
また作者が経験していない世界を事細かに書いている。「指の骨」と同じく、体験したかのよう。その世界の中で妻の命の揺らぎが繊細に描かれて、ラストは、、そう来ると思った。この作者には体験していない世界の小説作法を教えて欲しい。
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秋に小春日和とは、さだまさしの悪影響。コスモスに秋桜という漢字をあてた張本人もさだまさしですし。昔ネアカ、ネクラという言葉がありましたがそれと同じように悲しい話を悲しく、楽しい話を楽しくではただの上っ面だけをなぞるようなもので奥行きがありません。些事でもメリハリ、濃淡で大きな表現が出来ると思う。古い漢字、文章表現で昔の話をしているだけに思えてしまいます。
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デビュー2作目であり、第153回芥川賞候補作。TBを患う妻と看病する夫。儚く、脆く、美しい。そして、透き通るような文章に吸い込まれてゆく。前作の『指の骨』に続き、戦時中の話。しかし、今回は戦争の描写というのは皆無に等しい。妻と夫の絆の物語といった感じである。もし、私自身が声を出せないという状況に陥ったら発狂してしまうだろうなと思いながら読了。早季の忍耐強さに脱帽。
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残念ながらわからず。。。
静かに流れる時間…みたいな感覚に釣られてなんとか読み終えたものの、手術の描写が痛くて指が進まず。
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「私の恋人」とは違い、含喩を深読みする必要の一切ない、真っ直ぐな純愛もの。
真珠湾攻撃前後という時代背景、抗生物質の発見前の当時は不治の病であった結核を道具立てとして、若い主人公夫婦の時間が静かに、濃密に、だが容赦なく過ぎていく。
佳作である。
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太平洋戦争になだれ込んでいく頃の日本。
難病に罹った妻と、見舞いに通う夫。
少しずつ弱りゆく妻、ささやかな色彩に彩られた日々。
時代の空気、二人に通う想いを感じながら読む。
静かな中に様々なものが去来する物語。
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結核で入院をしている妻早希との交流を、夫である凛太の視点で描く。
前回読んだ「指の骨」は言葉に違和感を感じたものの、こちらは改善されていた。
また妻が決して取り乱すことなく、病気と静かに闘っている姿が良かった。
終始夫婦で過ごすシーンが穏やかで、素敵でした。
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昭和16年12月。TB(結核)に侵された妻を療養所に見舞う夫が、道すがら回顧する妻の療養の日々。
現在では死病ではなくなった結核が、まだ、確固たる治療法もない時代。戦争の足音を通奏低音とし、時代の緊張感と、二人の愛情が静かに淡々と描かれていく。
少し前に言葉をかわした入院患者が、一人、またひとり亡くなっていく儚さ。
肌が白く透き通っていくにつれ、日に日に悪くなっていく妻の病。
その日々のなか、咽頭の安静のため声を出すことも禁じられた妻との筆談による会話が切ない。
デビュー作「指の骨」ほどのインパクトはないものの、言葉による描写の味わい、作品全体を包む静けさが共通してあって、その時代、その場面にいつの間にか引き込まれている。
ーー人間は親指と小指の間ほどしか生きられません。・・・それでも土に根を下ろして、花を咲かせることが、正しき自然の営みでありましょう。病に根を下ろしてはいけないのです。ーー
亡くなった入院患者の言葉が響いた。
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とても静かで美しいお話でした。
戦争の影が差す時代、結核で療養している妻を見舞う夫のお話。
感情を全面に大袈裟に押し出していない冷静な語り口ですが、病が進行していくにつれて透明になっていく妻に接する夫の悲しみが静かにひたひたとしみこんでくるようでした。
情景や、筆談になった妻の書き言葉もとても綺麗。昔に書かれた物語だっけ…と途中思いました。
この作家さんの文章が好きです。痛々しい描写もありますが、静かで。
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TBを患い入院する妻を見舞う夫、凛太。
見舞いに行くたびに、少しずつ病に蝕まれていく妻の様子。
回復して退院していく患者や、次に病院に来たときには、亡くなっていく患者。
兵士として戦地に行っている、凛太の父の会社の従業員だった男からの、現地の様子が書かれている手紙。
進行や回復を繰り返すなかで、心も体も安静にするように言われている妻。
言葉を話すことも禁じられ、筆談での夫婦の会話。
静かに命の終わりがカウントダウンされているような感じ。
骨を折っての手術、こええええ。
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つい先日 芥川賞を得た高橋弘希さんの3年前 35歳時の作品。昭和15年年末から翌年年末に至る当時の不治の病 結核に見舞われた妻と寄り添う夫との日常の光景が家族や病院の人々と共に 静かに静かに流れるように語られており読者の心に染み入ってくる。こうした作品を35歳の方が当たり前の如く違和感なく極く自然に描けることに驚いた。何故だか不意に大昔に頭に残った文芸歌謡曲、三浦洸一の「純愛」が浮かんだ♪
この作品も芥川賞候補だったし、「指の骨」も芥川賞と三島由紀夫賞候補だったけど この作家の非凡さ半端ないって 笑。
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あの「野火」に匹敵する…の帯にそんなわけがないだろう!と高を括っていたのだが読み終えて思ったのはこれは戦争など知る由もない30代の青年に旧日本軍の兵士が憑依したのではないのかと。その想像の世界の戦争はエンタテインメントに走ることもなく飢餓と病により死を目前にした人間の内面を淡々と描くものであるがそれは遠く離れた南の島で戦病死した何十万人の兵士の生々しい声。忘れてはいけない、語り継ぐなどの大義はさておきスタバのコーヒー1杯分の値段で読めるわずか70年前に起こった歴史の事実を感じ取れるこの文庫本の価値は高い
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テーベ、現在でいう結核を発症している人たちの病棟と思われる入院施設に入院している妻を見舞いに訪れる夫の凛太の視点が主になっている。一瞬一瞬を生きている人たちの光景に死の影がちらちらとあって、だんだん不安になる。特に筆談で会話するようになってから。そんな中でも最後は少しだけ光が見えたのかな。わずかな命に輝きが見えたそんな感じ。
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妻に迫る"死"を静かに、綺麗に描かれていた。
一見淡々としているようだけれど、夫婦の会話などから感じる"愛"。それを感じると、やっぱり色鮮やかに描かれてるなあと痛感した。
いい意味で、インパクトがあった訳ではないが、この本から感じる温度がとても心地よかった。
また時間があれば読みたいし、部屋に置いておきたいと思える一冊でした。
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ちょっと昔の小説を読んだような不思議な感覚。作者はまだ若い。結核病棟のそれも現代的ではない空気が感じられた。