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前に読んだ同じ著者の『オーブランの少女』は繊細なイメージだったが、これは全然ちがう骨太なテイストで驚いた。(どちらも素晴らしい。)
ノルマンディー上陸作戦に従軍したアメリカ軍コック兵ティムの目から見た第二次大戦。
帯には”コック兵が戦場で出会う日常の謎”と書いてあり、たしかに戦場での料理や、粉末卵600箱が一晩で消えるとか不要なパラシュートを集める兵士の謎などを解き明かす過程も面白い。しかしそれよりもやはりこれは戦争小説で、読み進むにつれてどんどん悲惨になる戦場、死んでゆく仲間たち、戦場の狂気に飲み込まれて変わってゆくティムの気持ちなどに胸が詰まった。
今年一番泣いた本。
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デビュー作が良かったので期待してました。
しかし、前作とは打って変わって戦場!
大変な力作で、また次の作品が楽しみ。
バンド・オブ・ブラザーズ観よう。
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外国の人が書いたと思うくらい、大戦中の米軍内の様子がしっかりと書かれていて最後まで飽きる事なく読めた。
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第2次世界大戦でヨーロッパに派遣されたアメリカ軍兵士。
主人公のキッドことティムはコック兼兵士としてヨーロッパ戦線を戦う。その中で起きる、戦争という日常の、日常の謎の短編連作ミステリ。
まず、ここまで書いて「戦争という日常」という単語の違和感だが、実際に今の時代も戦い続けるのが日常の方々は居るわけである。
「戦争という日常の謎系ミステリ」は、冷静で落ち着いたメガネのエドを名探偵役に置き、みんなにお子様扱いでキッドと呼ばれる素直なティムのまなざしを語り手に置いて、実に正統派である。
戦争については、ほんとにあっという間に人が死ぬなぁ……という印象。
ネタバレしないように内容についてどう書いていいかわからないのだけれど、久しぶりにハードカバーで2段組みで読みでがあるはずなのに、あっという間に読み終えたくらい面白かった。
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もしも、本当にもしもだが
今、戦争になったら、戦争に行くことになってしまったら
こんな感じかもしれないと思った。
第2次世界大戦のころの米軍。
日本の軍隊とはやっぱり雰囲気が違っていた。
何もかもガチガチに管理されるというより
もうちょっと自由な感じもあった。
それでも、戦争なので綺麗事で済むはずはなく、
俺、コックなんだけど。。。なんてことは言っていられなくなる。
殺されないために敵を殺すことが日常になっていく。
その恐怖や緊張感がすごく伝わってくる。
そこの間に挟まれるのが、スカッとしたミステリーである。
これがなかったら、読み進められなかったかもしれない。
敵、味方の線が分かれただけで
なぜ殺し合わなければならないのか?
そんなことを考える間もなく進むのが戦争なのかもしれない。
大事な人が死んだら、取り返しのつかない悲しみがあることがわかるのに
それでも、目の前に立つ、名も知らない誰かの命を奪ってしまうことはできる。
ただ、勝って早く戦争を終わらせたい!早くうちに帰りたい!
誰もが願うのは、そんなことだったかも。
だからこそ、日本への原爆投下もあっさりと描かれている。
ああ、これで戦争が終わる・・・と。
大事な友達を失う絶望感は凄く伝わってきた。
そして、絶望から立ち直りを見せるのもミステリーだった。
敵も味方も、結局はこれだけのことだと言われたようだった。
温かいエピローグ、私は好きです。
壮絶で悲しいけど、なぜかホッとできました。
はじめての深緑さん、とってもよかった。
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第二次世界大戦を舞台にした連作ミステリ。ミステリとしては「日常の謎」で、たわいもなくほんわかした謎解きという雰囲気なのだけれど。なんせ舞台が戦場なもので、ストーリーの方があまりに凄惨でした。むしろ謎が息抜きといった感もあります。
しかし戦争の凄絶さとは裏腹に。主人公ティムの物語は青春小説ともいえるかも。あまりに過酷な戦線での友情だったり成長だったりが描かれているのが読みどころです。どんどん仲間が死んでいくし、ラストでたどり着くあの場所の描写はそれこそ読むに耐えないのですが。読後感としては、爽やかというか穏やかというか。そして戦争のなくなった平和な生活を心からありがたいと思うことができました。
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第二次世界大戦時のコックたちが軍隊内で起こる謎を明かしていく話。
謎自体は小さい見逃してしまうようなもの。
直木賞にノミネートされてから気になっていて図書館でようやく借りられました。
読むのに時間がかかってしまったけれどとても面白かったです。
戦争描写も詳しくよほど調べられたんだろうな。
戦友も死んでいくのにはショックでした。
しかもキッドの一番の親友が死んだときは泣いちゃいました。
だからこそ最初のほうの穏やか(?)な時間とか粉末卵の事件のときが懐かしいです。
エピローグではその後もちょくちょく交流があったのは安心しました。
今回は図書館で借りたけれど買って手元に置いておこうかな。
そしたらまたグリーンバーグに会えるかも。
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内容(「BOOK」データベースより)
一晩で忽然と消えた600箱の粉末卵の謎、不要となったパラシュートをかき集める兵士の目的、聖夜の雪原をさまよう幽霊兵士の正体…誇り高き料理人だった祖母の影響で、コック兵となった19歳のティム。彼がかけがえのない仲間とともに過ごす、戦いと調理と謎解きの日々を連作形式で描く。第7回ミステリーズ!新人賞佳作入選作を収録した『オーブランの少女』で読書人を驚嘆させた実力派が放つ、渾身の初長編。
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前知識なく、てっきり海外ミステリかと思って読んでいて、途中で気が付いた。どおりで、翻訳にしては文章がこなれていて分かりやすい。
戦争を体験していない自分には、戦場のリアルは正直分からない。しかし、これまでに読んできた戦場を描いた小説やノンフィクションに比べると、物足りなく感じてしまった。著者の主眼はそこには無いのかもしれないけど。
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時は第二次世界大戦。何でも屋の両親と惣菜屋を営む祖母に育てられたティムは、連合国軍の兵士に志願し、いよいよノルマンディに降下した。一人のコック兵として。降り立った村で後方支援として配給食を調理しながら、前線でも戦う。そんな日々の中、補給兵のライナスからシードルと交換に降下に使用したパラシュートを譲ってほしいと声をかけられる。同じコック兵であり冷静沈着で頭の切れるエドや調子の良いディエゴとともに、ライナスの真意を知ろうとするが……。
戦場っていったいどこのファンタジー上の戦場なんだろって呑気に構えて読み始めてしまったので、現実じゃんって最初のパンチだった。
戦争中なのに、日常の謎ミステリ。青年たちの絆の物語でもある。戦闘の描写が丁寧で読んでいるのが大変つらい。良い意味で。謎自体は細やかなのだけど、状況ときちんと絡んでいるので不自然さもなく。ただやはりどうしても、現実に存在したかもしれない、あの戦争で戦っていたアメリカ兵なのだと思いながら読むと遣り切れない。日常の謎ミステリだけど、これは紛れもなく戦争の話なのだ。
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コックと兵士を兼ねるアメリカ陸軍の五等特技兵ティモシー・コールが訓練で知り合った仲間たちと共に第二次世界大戦を生き抜く物語。ミステリーはエッセンス程度ですが、各章に「不要となったパラシュートをかき集める兵士の目的」、「一晩で消えた600箱(3t分)の粉末卵」、「ある夫妻がわざわざ戦場で自殺した理由」、「深夜に彷徨う幽霊兵士の正体」、と戦場ならではの謎が配されています。ちゃんと特殊設定を活かした解ですし、謎が浮いていないのも素晴らしいです。
また、魅力的な登場人物が次々と命を落としていく戦場の苛烈さもしっかり描写されていて戦争小説としても読み応え十分。生き残った者達が40年後に再会するエピローグは感動的です。
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第二次世界大戦時のヨーロッパが舞台の連作形式ミステリー。
それぞれ真相は戦時中ならではだった。何気ない会話が不意に攻撃によって遮られ、彼らの心境・やり取りがどんどん変化していく様に胸が詰まる。
戦争を通して主人公ティムの心境も変化していくけど、芯の部分は変わらない彼にほっとする。
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ページ数は多かったけど、一気に読めてしまいました。
戦争ものですが、推理もの?もちろんコックさんのお話も。
本屋大賞候補ですので、読んでおいて損はありません!
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コックが色々工夫して美味しいご飯を作る、(信長のシェフみたく)みたいな話を想像していたら思っていたより現実的な話だった。
バンド・オブ・ブラザーズと被っているところがあるので映像を思い出しつつ一気読み。
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戦場という極限状況だけど、謎解きは日常の謎で、さらに短編連作のようでいて、大きな秘密が最後に出てくるなど、仕掛けが面白かった。