訳者エッセイがうれしい
2019/01/22 00:18
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投稿者:しょひょう - この投稿者のレビュー一覧を見る
初めて光文社古典新訳文庫を読んだが良かった。
堤中納言物語は大学受験の古文で読んだぐらいで大した予備知識もなかったが、何となく興味があったので購読。
花を手折る中将、虫めづる姫君、ぐらいは知っていたが、他は初めて。
読みやすくかつ丁寧な注釈でスラスラ読めた。
物語自体は恋愛ものの短編集。よく言えば余韻を残す感じだが、ちょっと尻切れトンボに感じるような話も。。。
これ自体は千年前からの古典なので仕方がないが。
各話ごとに訳者による解説のようなエッセイがついているのが良い。
このエッセイにより、改めて本文を読み返してみて、新たな気付きが得られたりする。
この訳者が良かった、ということなので、他のこの文庫シリーズが全部良いかは分からないが、他のシリーズも読んでみたくなった。
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投稿者:リョウ - この投稿者のレビュー一覧を見る
「古文かあ…とっつきにくそう…」と思われるかと思いますが、全て現代語訳されていて読みやすいです。
加えて、それぞれの話の後に、訳者による解説もあって、そこも見どころです。
古典に目覚めそう・・・
2017/02/09 15:07
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投稿者:zuzuzoo - この投稿者のレビュー一覧を見る
とても読みやすかった。
古典入門編として最適!?
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訳がライト過ぎて、あまり平安朝の雰囲気が楽しめなかった。ジュニア向けかな?
20220917表題作のみ再読。常識にとらわれない生き方をする姫君。現代におきかえて読むとなかなか味わい深い。
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短編集なんだけど、どうして、なかなかおもしろかった。個性派の粒ぞろい。
どの物語も情景を想像すると美しく、1つの話を覗いては、最後はどうなったんだか?という処終わりを迎え、結果をはっきりとは描いていないので、可愛そうな話も少しオブラートに包まれる優しい短編集。
花桜折る中将
月の光を朝日と勘違いして、女性の家を後にした中将。数寄屋を発見し、覗き見る。かわいらしい姫君を見染め、手引きを求めるが、心配した侍女の告げ口のため、姫の代わりに、年寄りの女性が部屋にいたのを間違えてさらってしまう。
まぬけぶりが、ちょっと憎めない。
このつゐで
天皇の御渡りの頻度が最近下がっている女御さまとその兄、侍女たち、ちょっと切なかったり、しんみりきたりする話を春雨の中披露して楽しんでいる。そこへ、久々に帝がおいでになるシーンで終わり。
虫めづる姫君
現代でも十分、自分のしたいことを大切に思う女子には共感できる元祖マイペースガールの話。鉄漿は汚いから嫌だとしなかったり、蝶は愛でるのにその前の毛虫の状態を厭うのはおかしいとおもったり、いちいち納得するような理論が彼女の意見にはある。
終わり方も面白く、彼女に興味を持った公達が覗きにくる。実際の姫は健康的で、それも悪くないのではないかと文を送るが、姫の返事がつれないので、最終的にはバカにしたような文が送られてくる。しかし、この後、続きは第二章にあるはずです。この結末はどうなったんでしょうね?という優しい終わり方をしている。
ほどほどの懸想
これは、意外に深い。ある恵まれない境遇の姫と思いを通じ合うようになった頭の中将。でも、うまくいたらいったで、自分を頼りにする姫に対して、自分の心が永遠と約束できないのではないだろうかなど、人の心や行動の頼りなさに思いをはせ始める。
逢坂越えぬ権中納言
これは、平安時代の恋愛のイメージからは少し異なる純粋な話。ずっと思いをかけている姫がいる中納言。容姿端麗で、たいていの恋はうまくいく。しかし、彼女は返事にはなしのつぶて。とうとう、姫君の家を訪れ、さらには侍女の隙をついて姫君の部屋にまで入り込むが、何を無理強いするでもなく、そのまま朝までそばで過ごす。
貝あはせ
正妻の娘から、貝あわせを挑まれる側室の娘。貝を探して奔走してくれる見方は弟のみ。それを覗き見た蔵人の少将がこっそり貝あはせを贈り、それに喜ぶ彼女達を覗き見るほんわかした話。
思わぬ方にとまりする少将
これ、唯一えぐい。手紙などの行き違いで、姉妹とその恋人が入れ替わって一夜を過ごしてしまう物語。姉妹が可愛そうだし、こういう生々しさは好かないな。
はなだの女御
実際にプレイボーイが忍び込んだ屋敷で聞いた話らしいとの書きだし。侍女たちが自らの仕える女主人を頓知や愛情を利かせ、花にたとえる華やかな話。
はいずみ
若く、新しい女性と関係を結んでしまった男。あれよあれよといううちに、その彼女や家族に押し切られ、他に身よりもほとんどない糟糠の妻を追い出してしまう。���みごと一つ言わず立ち去る妻を、やはり手放せないと思いなおした男は、新しい女性の下に断りをいれにやっていく。あわてた彼女は暗闇で、おしろいの代わりに灰を塗ってしまい、その不気味さに男は去ってしまう。
また、他の話と同じで、結論が書かれていない。
よしなしごと
ある僧侶の妻となった女に、贅沢をさせすぎないように?などと釘を刺す師匠からの手紙。ユーモラスに、責めることなく反省を促す。
断章
1ページにも満たない量の文章が綴られ、文の途中で終了している。
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今もありそうな人間模様。
現代語で読めるって、いいよな、と思いつつ、時代の特徴とかは学んでいた方がよいわけで。有名なのは圧倒的に「あたしは虫が好き(虫めづる姫君)」ですが、他も結構面白いので、ぜひ多くの人に手に取ってもらいたい。
「あたしは虫が好き(虫めづる姫君)」あれ、最後ってこんなto be continued...になっているんだっけ? ここからの物語を考えるとか、楽しそうだ。でも、姫君はよくあるお姫様になんか、なってほしくない。右馬佐は「あれ、なんであいつのことがあんなに気になるんだ……?」をやってほしいし、中将もいい感じのアシストキャラで、そんな続きを考えてしまう。
「貝あわせ(貝あはせ)」女の子たちの無邪気な感じと、ニコニコしている少将がいい。競争相手の姫君が分かりやすい悪役すぎて、ああ、昔からこういうパターンはあるんだ、と。ここから何かに発展しても面白いし、きっと数年後に姫君が成長して、本編(?)が始まるのかもしれない、と思うと、わくわくする。
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いつの時代も人は物語を求めるのだなと感じた。
訳は読みやすく平易な文章だが詩情があり、古典への入り口に適していると思う。
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今まで読んだ古典の現代語訳で最もライトで読みやすかった。「虫めづる姫君」の生き様が格好いい。
現在の視点から外在的に楽しむ、というところから、当時の人の気持ちになって内在的に楽しむ、ということができてくると古典は楽しいのかもしれない。
古典とSFは、どちらも現在と異なる世界を見せてくれる。でも、SFの世界はその物語限りのものである一方、古典の世界はその物語を超えて広がっている。そこに面白さがある。と思った。
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原文が記載されえいると思いきや、全くなし。ネットで購入したのでやんぬるかな(⌒-⌒;)海外の文学ならいざ知らず、自国の書物を現代文の訳だけで対応しているとは、まことに情けない。
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前に「わたしの推しの光文社古典新訳文庫」を紹介した時に読みたい本として挙げていた本。図書館になかったので、リクエストしました(買わせました)。良書です。現代語訳のみではなくて、豊富な図版、注釈もあり、堅苦しくない解説文もついています。2015年発行なので、最新学説が載っていると思われます。
平安文学を読み慣れている方には常識なのかもしれませんが、「堤中納言」て人の名前と思っていました。何故このタイトルなのかわかっていないそうです。一説には「ひとつつみにまとめられた物語」だからということです。作者は不詳です。短編集だということは知っていましたが、ほとんど繋がりのないアンソロジーとは知りませんでした。
それぞれ趣向を凝らして面白いのですが、流石「虫めづる姫君」は、発見がたくさんありました。ストーリーは単純で、虫大好き少女が、宮廷常識からは呆(あき)れられるお話です。
・この姫君、わりと当時の一般教養もしっかりお持ちです。「世間では蝶とかの儚いものをもてはやすけど、その考えは浅いね。人間っていうものは、誠実な心を持って物事の本質を追求してこそ、優れているといえるんだから」と、ちゃんと「一般常識」の本質も押さえながらも、批判精神を持ち世間の嘲笑をモノともしないのです。彼女が、何処からこの思想信条を得たのか、とても気になります。読書から?中国の古典典籍に同様なことが書かれているかどうかは、ちょっと研究対象ですね。単純に自然の弛まない観察からこれを見出したとすれば、アリストテレスに勝るとも劣らない哲学思考の持ち主と言えるかもしれません。
・所謂、眉を剃らない、お歯黒をしない等々で、みっともないと言われている彼女ですが、現代の美的感覚からは、ほとんど美少女の部類に入る可能性が大変高い。何度かドラマ化されている気もしますが、誰が演じていたのだろう。
・男の子を集めて、毛虫を集めさせるリーダーシップも発揮しています。男の子には虫に因んだあだ名をつけています。「けらお(オケラ)、ひきまろ(ヒキガエル)、いなかたち(稲蜻蛉もしくは蛇)、いなごまろ(イナゴ)、あまびこ(ヤスデ)」この昔の虫の呼び名自体がとても興味深い。また、虫に因んだ俗謡を男の子と一緒に歌っているよう。やはり人々の日常生活は歌と共にあったのである。
・物語の構造は、まるで少女漫画みたいに、いけてない女子に興味を示す貴公子・右馬佐さんが登場します。最初はイタズラを仕掛けるのだけど、実際に彼女のことを知ると好感を示すのです。ただ贈った歌に彼女は返事を書かなかった。侍女がどっちつかずの返事を書く。その歌を見て貴公子は笑った。「貴女にかなう人はいませんよ」そう笑い、帰っていったと人づてに聞くのです。この物語の恐ろしいのは、その後の終わり方なのです。「さてさて、この続きはニの巻にあるはずです。気になる読者の方は読んでください」えー?!バッドエンドなの?ハッピーエンドなの?「あるいは、ここまで読んできたみなさんが、続きの物語を考えてくださいますように」と締めるのです。かなりくだけた翻訳なので、どこまで意訳が入っているのかわからないのですが、現代漫画ならば必ず続きがあるはずですが、当時は続きを匂わせるこういう終わり方そのものがあったようです。この物語が、「風の谷のナウシカ」に繋がるということだけで有名だったのですが、「永遠に終わらない物語」という趣向も凝らしているのだと知って、ビックリしている私です。
繋がりのないアンソロジーなのですが、基本的には男女の話になっていて、万葉集にしろ、日本の古典の大きなところは、男女の話です。これは英雄譚が大きな比率を占める西洋文学とは一線を画しています。男女物語(恋のお話)は、日本文学の伝統なのです。だから私は思います。かつての少女漫画がそうであったように、日本の漫画そのものが男女話でいっぱいになった可能性もあったのかもしれません。そうならなかったのは、ひとえにその最初に「天才」手塚治虫が居たからなのかもしれない、とふと気がつきました。
閑話休題。
日向坂46の宮田愛萌さんが推している短編は実は「花のごとき女たち(はなだの女御)」という作品だそうです。プレイボーイの男が知り合いの女がいるらしいと聞いて、屋敷に忍び込めば20人ほどの女御が、仕えている女性たちの噂話(花へのたとえ)をしています。実は男はその多くの女たちを知っていた‥‥、というストーリーです。が、それだけでは終わらないミステリ部分があると宮田さんは評価します。終盤にどんでん返しが2つ以上あるのが、昨今の若者の好みなのでしょうか。
訳者・蜂飼耳(はちかいみみ)さんは、詩人・作家らしいです。かなり丁寧な読解文が付いていました。入門書に適しています。