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紙の本

三島から後事を託された誠実にして男気の感じさせるジャーナリストによる傑作

2022/04/09 17:39

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:Haserumio - この投稿者のレビュー一覧を見る

三島が何故自分に後事を託したのかを著者自身が自問自答しながら三島の生と死の実相に迫ろうとする傑作。一読、なるほど三島が氏に後を頼んだ理由もわかろうというもの。おそらく、三島は著者もまた一人の「サムライ」あるいは「同志」と見ていたのではなかろうか。

「三島さんに躁鬱症の傾向があるのは誰の目にも明らかだった。」(145頁)
「二年半前に憲法改正不要論に「傾いて」いた人が、なぜ急に平和憲法に発する偽善に「あきあき」するようになり、さらに一年後には憲法を変えるため自衛隊に決起を促すまでに変貌したのか。とりあえず考えられる理由は三つある。一つは世界各地を震撼させていた六〇年代末の「造反電気」(第四章参照)の騒然たる状況が発する危機感。第二はその間に何度も繰り返された体験入隊中に接した自衛隊の偽りない姿、第三に楯の会会員が三島さんに与えた影響である。」(176頁)
「以上のような理由から、私は三島さんが死を覚悟した時期は『反革命宣言』の後、『行動学入門』の前、すなわち昭和四十四年二月と四月の間であろうと考える。」(207頁、同旨326頁、参考203~5頁)
「頭を垂れてとぼとぼ正門への坂にかかった私は、信じられないものを見た。・・・ 下り坂の少し手前、道の右側の元戦史室があったあたりで、数人の職員がバレーボールをしているのを見たのだった。まだ昼休みの時間らしい。女性が四、五人、男も一人か二人いた。それは平和な平和な日本の、これ以上は平和であり得ない、素晴らしい景色だった。吐き気がした。」(268頁)
「ぼくは自分をもうペトロニウスみたいなものだと思ってゐるんです。そして、大げさな話ですが、日本語を知ってゐる人間は、おれのゼネレーションでおしまひだらうと思ふんです。日本の古典のことばが体に入つてゐる人間といふのは、もうこれからは出てこないでせうね。」(271頁、by三島)
「あと一週間のみを残す人の発言である。「もうすぐ死にます」という一語が喉まで出かかっている。その人と何時間も語って、空気が伝わって来そうなものなのに、古林氏は笑っている。・・・ 古林氏は、右の対談を三島さんの死後に発表するに当たり、ペトロニウスの後にカッコして(ローマ皇帝ネロの側近で、「サチュリコン」の作者)とだけ注記している。・・・ だが、私が思うに、三島さんがここで言っているペトロニウスとは、ポーランドの作家シェンキエビチ『クオ・ヴァディス』の登場人物としてのペトロニウスであろう。それも三島さんや私の世代の学生が必ず読んだ木村毅訳、新潮世界文学全集『クォ・ワディス』(昭和3年刊)中のそれではないだろうか。(同頁~272頁、この著者の指摘はすごい。三島と何か相通ずるものがあったんだろうなと強く感じました。)
「入隊検査で即日帰郷になった三島さんは「天皇陛下」を頭でしか理解しなかった。抽象的な理解だったから、それは戦後二十五年を経てもなお三島さんの頭の中で燦然と輝くことができた。もし三島二等兵が上官に「天皇陛下の御為なるぞ」と叱咤され、三八式歩兵銃かついで大陸を行軍したり南海の孤島の死守を命じられていれば、平和の一日一日は天恵の日々でこそあれ呪うべき腐敗ではなかったろうに-私は石川氏の口吻に年長者が血気の青年将校に向ける憐憫の視線をも感じた。この石川氏の文ほど情理ともに備わり、三島さんの胸中に分け入った評はなかったように私は記憶する。」(298頁)

改めて、三島由紀夫について必読の、彼の作品とともに永く残る傑作かと。昨夜放送されたNHK『アナザーストーリーズ 運命の分岐点「三島由紀夫 最後の叫び」』と併せて是非。

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紙の本

昭和史を一際鮮明に彩る一コマ

2022/04/10 04:35

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:719h - この投稿者のレビュー一覧を見る

報道の世界で生きてきた著者が、
彼の事件を間近で見聞した者として
著してくれた記録の書です。

三島氏の存在や作品に興味のある方に
とっては必読の書では。

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