紙の本
そういえば、最初の○○はどうしたっけ?
2016/07/15 17:33
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:おらのすけ - この投稿者のレビュー一覧を見る
ボタンちゃんの探検で、どこかに置き忘れてしまったものが
つぎつぎと顔を出してきます。
日常の忙しさに、ついつい私たちも置き忘れてしまいました。
そういえば、最初の○○はどうしたっけ?
遠い昔の思い出に、はじめてのことに、親子で話の花が咲きました。
紙の本
忘れ物してないか
2016/05/29 16:35
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:夏の雨 - この投稿者のレビュー一覧を見る
この絵本の作者小川洋子さんは、もちろんあの『博士の愛した数式』や『妊娠カレンダー』を書いた芥川賞作家の、小川洋子さんその人です。
さすがに言葉を紡ぐことを職業にする人だけあって、なんとも言葉が美しい。
それに物語の構成がやはりうまい。
主人公はタイトルとおり、「ボタン」。洋服についているあれです。
女性ならではの視点です。ボタンを集める趣味の人がいるぐらいですから、女性にとっては大事な小物です。男性にはなかなか思いつかない。
では、ボタンちゃんのなかよしってわかります?
これも男性には思いつかないかもしれません。
答えは、ボタンホール。
ボタンちゃんが丸いお顔なら、ボタンホールちゃんはほっそり顔。それに恥ずかしがり屋。こういう視点も女性ならでは。
しかも、ボタンがかわいいのはボタンホールのおかげというのもいい。
ところが、ある日、そのボタンちゃんのとめていた糸が切れてしまうのです。
ボタンちゃんはコロコロ転がっていきます。
普通であれば仲のいいボタンホールちゃんと離ればなれになってしまうのですから、ボタンちゃんはめそめそ泣いてしまいそうですが、小川洋子さんはボタンちゃんにちょっとちがった世界を冒険させるのです。
それは部屋のいろんな隙間に忘れられた思い出の品。
ガラガラであったりよだれかけであったり、子熊のぬいぐるみであったり。
ボタンちゃんの主人アンナちゃんがうんと小さい時に手にしたり身につけていたりしたものです。
昔はあんなに仲がよかったのに、今ではすっかり忘れられてしまった小物。
この物語の最後には主人公のボタンちゃんも、そういう小物になってしまいます。
だって、アンナちゃんが大きくなれば、いくらお気に入りのボタンがついていても、着れませんものね。
この絵本はそういうふうにいつかさようならをする小物たちへの愛を描いた物語といえます。
読み終わったあと、そういえば何か大切なものを忘れていないか気になりました。
思い出せたらいいな。
紙の本
あたたかいぼたんちゃん
2018/10/29 20:00
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ちひろ - この投稿者のレビュー一覧を見る
かわいらしくあたたかい”ぼたんちゃん”です。
小さなこどもに読むには、文字が多いなぁと感じましたが、だからこそ、読んでいるうちに内容にじんわりしました。
「今のアンナちゃんがあるのは、あなたのおかげなのね」って。
人はいろんな経験を経て成長していきますね。
私は今、大事なネックレスをなくしてしまい、探しています 涙
紙の本
どこにでもありそうな
2016/08/24 09:01
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:gon - この投稿者のレビュー一覧を見る
まず、著者に驚きました。博士の愛した数式の小川さんですね。絵と文章が無理なく調和しています。はじめ本屋さんで立ち読みしました。手元にほしくなって通販で購入しました。子供のブラウスについているボタンがころころと落ちて、家の隅っこに冒険するのですが、我が家にもありそうな題材だったので、ついつい箪笥の後ろなども念入りにお掃除しました。大事にしていたのに、顧みられなくなった「かつての宝物」誰にもありますよね。ほろっとして、考え込み、そして暖かな気持ちになりました。
投稿元:
レビューを見る
小川洋子さん初の絵本。ボタンちゃんというニックネームの子の話かと思いきや、まさかボタンが主人公の話とは。女の子のブラウスから取れたボタンが、おむすびころりんよろしく部屋の中をあちこち転がっては、タンスの裏側やベッドの下で、今では使われなくなり忘れ去られたモノたちに出会っていく。ボタンちゃんってば、励ましの達人。優しいタッチの絵がいい。
投稿元:
レビューを見る
+++
小川洋子初の絵本。子どものころ、はじめて考えた物語。ボタンちゃんとボタンホールちゃんはふたりでひとつ。いつもなかよしです。ところがある日、ボタンちゃんをとめていた糸が切れてしまって…。4~5歳から。
+++
子どものころ、はじめて考えた物語、ということだが、現在の作風を彷彿させるようでもある。なぜなら、ブラウスから転げ落ちたボタンちゃんは、コロコロ転がり、薄暗い隙間に入り込んで、人が忘れたままに置き去りにされている者たちに注目するのだから。ほつれた糸が手の形をしていたり、表情もとても優しかったり。絵と物語がとてもマッチしていて、小さい子どもが何度でも読んで読んでとせがみそうな一冊である。
投稿元:
レビューを見る
アンナちゃんが成長するにともない忘れたものたちのおかげでいまのアンナちゃんがあるんだなって温かい気持ちになりました。
投稿元:
レビューを見る
細かいレースのついた丸襟のブラウス。
その一番上についているまぁるいボタン。
表紙の絵を見たとたん、あまりの可愛らしさに本を抱きしめたくなりました。
小川洋子さん初の童話。
だけれど、失われて戻ることのない幸せだった時間や
失われることのない大切な思い出の記憶、
書かれていることの根底に流れているものは
大人の本と同じこと。
子どもの頃にこの本と出会える子たちがうらやましいです。
物語と同じくらい絵が素敵。
何度も繰り返し手にとって読みたくなる本でした。
投稿元:
レビューを見る
平成28年度課題図書(小学校低学年)。小川洋子さんの文章は、え絵とぴったり合っています。思い出の詰まった物たちの満足な様子に読後感もよく、温かな気持ちになりました。
投稿元:
レビューを見る
第62回青少年読書感想文全国コンクール課題図書。懐かし思い出が蘇ってくるような物語です。自分の子供たちの成長の時の流れを感じながら読みました。忘れ去られてしまった物の小さな声。そこに目一杯詰まっている思い出。優しい絵と文章で綴られています。
投稿元:
レビューを見る
アンナちゃんのブラウスの一番上にとまっているボタンちゃん。
ある日、糸が切れて、ボタンちゃんはコロコロと転がり落ちてしまいました。
床に落ちて出会ったのは、アンナちゃんが赤ちゃんの時に活躍してきたガラガラやよだれかけ、ホッキョクグマのぬいぐるみ。もう、アンナちゃんは大きくなったので必要ありません。
でもボタンちゃんとともに、お母さんがみんなを見つけました。きれいに洗って、想い出箱へ。
成長とともに、もう使わなくなったものたち・・・アンナちゃんが懐かしく思い出すには、まだ時間がかかりそう。
投稿元:
レビューを見る
赤ちゃんのもちもののような、やさしい絵本。
絵本でも、やっぱり小川洋子さんらしい丁寧な文体だと思った。
投稿元:
レビューを見る
平積みの課題図書を見ていて見つけました。今年の小学1,2年生の課題図書です。
あの、小川洋子さんが絵本を?!
「妊娠カレンダー」しか読んだことありませんが、妊婦の姉に対する、妹の毒を隠し持った視点に驚愕したのを思い出しました。
そんな人が絵本・・・!
興味本位で開いてみると・・・。
引き込まれました。やはり、独特の視点。
忘れ去られた、幼いころの持ち物たち。でも、それらがあったからこそ、成長したその子がいる。そして、いつか今の持ち物もその子の成長とともに過去のものとなる。寂しさもあるけれど、でも、忘れ去られることこそ誇り。
記憶にすら残らない時代との訣別。忘れられたものたちが集い、人知れずその子の成長を祈り続ける。
ファンタジーの中に、人やこの世との関係性の移ろいの真理を感じました。
私の中では、「忘れ去られたもの=この世からいなくなった人たち」に読めちゃいました。
そして、話の雰囲気を高める、岡田千晶さんの絵が、また気に入りました。
大人の絵本でもあると思いました。
投稿元:
レビューを見る
[墨田区図書館]
2016年度課題図書(1&2年)
予約して何ヶ月かしてやっと借りられた。
絵柄通り、可愛らしい、母親の側から読んでほっこりする本。ただ、1-2年生よりも、3-4年生くらいの方が、この本を読んで自分自身の経験と重ね合わせて、「そうだ、そうだ」とまだ年若い自分の歴史と、自分の思い出グッズに想いを馳せられるのでは、と思った。かえって1-2年生には、まだかわいい絵本として、ボタンちゃん自身を主人公としたお話として映るだけなんじゃないかなぁ?
投稿元:
レビューを見る
低学年の課題図書を見ていたら、小川洋子さんの絵本が!小川洋子さんの小説が好きだけど、知らなかった…初の絵本。
ということで、娘のためにというより自分のために即買いした絵本。
娘に読んで聞かせてたら、最後の方でウルウルきてしまい、あやうく泣きながら読むところだった。
小川洋子さんらしいストーリー。
忘れ去られたもの、見捨てられたもの、収集、なんだか物悲しい気持ち、そういうモチーフ。
うまーくまとめられている。
そして、ちょっとした正直さ、冷静なユーモア(“ほんの少し忘れていました” )
子供が読むのと、母親になって読むのと感想が変わってくるだろう。
子供が大きくなるまで保管しておきたい。親になった子供はまた多くの感想を得るはず。
岡田千晶さんの柔らかい絵が物語に合ってる。悲しそうな顔は胸にズキッとくるぐらいの表情をしている。