紙の本
やる気がないんじゃなく、選択肢を広げた取り組み
2015/11/25 22:47
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:朝に道を聞かば夕に死すとも。かなり。 - この投稿者のレビュー一覧を見る
びっくりしました。1時間で読めました。それくらい易しい文章のタッチでした。
「もっと若い子は、ハングリーにならないと」とか世の大人は言いますが、今の若い子は欠乏感だけでは突き動かず「そこそこでいいです」って言います。
で、この「創造的脱力」ってお話になるんですが、生産性があるのかわかんない。普段のおしゃべりにこそ、究極のリラックス状態があり、素の状態があるとします。「与えられた問題」を解くことをずっとしてきた私たちは、なんか会議的なものがあると、正解に遠いと思われたり、もしくは他人の顔を見ながらの意見を表明しないというリスク回避的な部分があります。
福井県のJK課は、報酬どころか交通費もなく、大学への推薦がもらえるわけでもないのに直接的民主主義がうまく作用したのは、外部に向けた客寄せ的なものではなく、まかせた大人たちが「信じて任せる」という姿勢を徹底させ貫いてくれた点にあります。
地域のことに意識高い人ってのは、案外、自分の利益のために動いていることがあります。地域の人は新しい風が欲しいけど、なかなか来てくれない。そこにフィットします。
ヒエラルキーが最初からあるのは、代議制であり、価値観の違うメンバーが忌憚なく話すと、まとまりがなくなります。介護の現場なんかだと会議では何も言ってないのに、おばちゃんのインフォーマルな「おしゃべり」で「あれ?それって重要なんじゃない?」ってことが彼女たちの間で決まっていたりします。
ルールやマニュアル、ゴール、正解のある世界において、創造的脱力があると、カオス(混沌)が生まれて、試行錯誤のコミュニケーションがはじまります。信用できないあやしさもあります。
そんな「弱さ」に私たちおじさんは、自由にふるまう様子を生温かく見守りつつ、社会の常識を引っ張り出して、若い子の前じゃ、なんかしっかりしないといけなくない?って思い、彼らの自由意思を「善意」でぶっ壊します。
あとがきで若新さんは「人間のリアリティは、科学的な「観察」に限界があるのでは?」と提案されます。
ケアという職種では案外、不確実性のある人間が対象なので、この考えが演繹可能なんですが、調整が行き届いた機械的システム、まぁ金融とかですね、生産性が事前予測できない業界の人にとっては「?」ってなることがあると思うんです。
でも、犯人探し、原因追及だけで世の中がよくなった「ためし」ってないですよね?原因はよくわかんないけど、なんかよくなったっていうのを医療では採用します。正解の見えない世の中だからこそ、こういう選択肢もあっていいんじゃない?若新さんはそう問いかけているように思えます。
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方法としての「ゆるさ」「グデグデであること」
語義矛盾のような気もするけれども、それを真摯にやっているのがよくわかる。
伊達と酔狂に見せる偽悪的な態度の裏にあるキーワードは「覚悟」だ。
先回りしてリスクを回避しようとするばかりに、ギスギスと息苦しくなっていることに皆気づいている。
あえて空気を読まない、あえて忖度しないという「覚悟」が問われている。
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NEET株式会社や鯖江市JK課などに関わってきた人の本。
正直、「うさんくせー」って思っていた。
でも、作った狙いにはかなり納得させられました。
現状をぶち壊す新たな対立軸を作るのではない。
「ゆるい」集まりを作ることで、何かが生まれるかもしれないというゆるい発想。
現行のあまりにも硬すぎる就活、それに染まれない人たちが集まった「ゆるい就活」など、色んな試みを紹介。
自分自身、就活には染まれなかった人間なので、すごく同意しながら読んでいました。
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ヨーゼフ・シュンペーター 社会が発展→新しい方法は非効率な方法を駆逐破壊→新陳代謝=創造的破壊
北欧 余白の時間 大学入学は22、23歳
2014年ゆるい就職→☆R020606現在普及していない
著者・福井県若狭町 ○○先生の子供 詩→教室で失笑→「あ、言ってはいけないことを言ってしまったんだ」
人と組織の研究☆論理が分かりづらい/何に役立っているのか不明
2014年鯖江市 JK課→批判、俗語使うべきではない
市営バスのダイヤ改正
図書館空席アプリ開設
ネットで批判→大人の方が考えすぎた
挨拶指導必要なし→公務員と女子高生の上下関係つくるだけ
みどりん☆目の感じ誰かに似ている!
ニートだけの会社 レンタルニート=人材派遣☆詳細不明
アメリカのダイバーシティー→人種民族対立で問題ある社会の考え方 日本=ほぼ単一民族・島国で導入する考えではない
かたい社会に変化 ゆるい(怪しい)・かたい 魅力的・つまらない のマトリックス
固定電話・ファックスは直に今のネット環境になったのではない・ゆるく怪しいオタクのパソコンが起源
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千葉日報のコラムで、国立千葉大学付属小学校の校長?が引用していた本。コロナ禍での子どもとの接し方についての記事で、紹介していた。興味深かったので、手にとったけど、とても面白かった!
曖昧で不確実な現代のコミュニケーションをうまく表現してる。なんというか、これは世代論の本でもあると思うんだけど、このとてつもない可能性を秘めた人たちのちからを引き出す、中高年の人たちの力量、度量、懐の深さ、愛情とかが問われている気がする。
序章で、ゆるいコミュニケーションについて、書いてます。
「ゆるい」というのは、「いい加減」だということではありません。きっちりとは固定されていないのに、つながっている。強制されているわけではないのに、参加している。必要に迫られているわけでないのに、欲している。細かいことは決まっていないのに、全体としては成り立っている。一見もろそうに見えて、実は「かたいつながり」以上の「ネバネバ感」があり、「まとまり」がある。
(中略)
つまり、「ゆるいコミュニケーション」は、一人ひとりの異なる価値観やスタイルをお互いに認め合い、それぞれの個性的なパーソナリティを引きだし合うことができる「成長の機会」なのです。
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想像的脱力、まさにこの言葉通りでかつ、これでできていない日本人がどれだけ多いことか。
こう言った話を真剣にできるかどうかで身の回りのコミュニティの居心地は大いに変わってくるのだろう。
とても良い本でした。
想像的脱力、まさにこの言葉通りと思いつつもタイトルをもっと工夫できれば、もっと売れたのでは無いかとも思う。
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課題を解決しようとする時に、自分も含めて、正面から突破しようとしがち、結論を急ぎがち、効率重視なコミュニケーションになりがちなことに気づいた。本当に何かを変えるのであれば、「面倒くさいこと」にも向き合い、信頼関係と脱力(リラックス)してコミュニケーションできる場を作ることが大事。
この本から学ぶことが多かったし数々の実験的プロジェクトの話もとても面白かった。
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1.大好きなコテンラジオを聴いてこの本にたどり着きました。
2.本書では、「ゆるい関係」ということが主なテーマとなっており、一般的な規則やルールとは異なる形の世界観を持った人たちのリアルを描いています。著者自身、人とは違うという自我が芽生えたことで、現代社会の疑問や問題点についてより感じるようになっています。
そこで、鯖江市のJK課という部署を設置するという前代未聞の活動を行います。もちろん、最初は反対の嵐ですが、継続していくとその声は静まってきます。そして、この活動の後にNEETを対象として会社を設立します。この活動の中での学びや発見、当時のストーリーなどがこの本には書かれています。
3.ボランティア活動に身を投じている身としてはとても沁みる話でした。学生は「居場所」ということにこだわっていることや「当たり前の枠組み」について疑問視しております。だからこそ、大人では考えないような意見を言ってくれることがあります。その時に私たちはその意見を「違うんだ」と蓋をしてしまわずに、「おしゃべり」をとおして理解しあうための努力をしていく必要があると感じました。そして、この「おしゃべり」に問題解決の圧力をかけてしまうと学生は委縮してしまいます。そうさせないために、私たちは自分のことは二の次で、とにかく「発言してもいいんだよ」という雰囲気作りが大切だということを痛感しました。
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今までのかたい社会に対する実験的な新しいコミュニティの実例
JK、NEET、就職アウトロー等の社会への巻き込み方やそこで観察された考察が素晴らしい
(コテンラジオでの話の方が面白かったけど)
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私は普段、読んだ本について内容を要約しているが、この本を読み終えたとき、「要約したくない」という感情が自分の中に生まれた。
なぜならば、この本は、知識や正解の提供を目的にしたものではなく、読書体験を通して、自己や社会について見つめ直す機会を与えてくれるからである。
自身の感想を表現すると以下のようになる。
コミュニティの常識に、自分を適応させることは、義務ではなく、権利であり、選択肢の一つではないかと感じている。社会の求める正解のようなものは、自分の人生の正解とは限らないし、もっと言えば、自分の人生の正解など存在しないかも知れない。しかし、自分の身体および脳を通して、人生という現象を楽しむことができればと思う。