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モーツァルト最後の四年 栄光への門出 みんなのレビュー

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紙の本

最新のモーツァルト研究の動向による晩年の新しいモーツァルト像

2016/06/28 23:20

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:kapa - この投稿者のレビュー一覧を見る

「モーツァルトと女性たち 家族、友人、音楽」に続く今年二冊目の「モーツァルト本」。宣伝キャッチをつなげると、「不遇で貧窮のうちに亡くなったという俗説を完全に否定」し、「前途洋々の未来に向けて野心的な創作を続けていた」最後の四年間の「刺激的な新解釈」。
これまでモーツァルトの晩年は、いわゆる「レクエイム史観」、また「アマデウス史観」とでもいうべきステレオ・タイプが多い。曰く、ウィーン楽壇にデビューした頃の栄光は過去のものとなった晩年、不遇な地位に甘んじ、貧乏に喘ぎながら、幾多の名曲を書き上げるも、最後は自身のためとなった「レクエイム」を未完のまま急逝、所在不明の墓地に投げ込まれてしまう。そこに、毒殺のミステリーのスパイスを効かせる。
しかし、何もモーツァルトは自分の死に向かって、人生を収斂させようという気は毛頭なかっただろう。幼い頃の演奏旅行を使った宮廷音楽家ポスト獲得、オペラ作曲家としての名声の確立、また、ウィーンでフリーランス作曲家としてのビジネス・モデルなど、何度も新しい境地を開拓したモーツァルトにしてみれば、まだ三十代央、家族を養う家長の責任もあり、新境地を開くという野心はあって当然である。それを後世の者たちが、一定の型に押し込めることがおかしかったと言える。
本書は、その野心をモーツァルトの手紙や作品・自筆譜、また当時の資料などを発掘・解釈し、実証的に解明していくが、本書のアプローチは、最新の研究も取り入れ、かなり斬新である。先行研究では、モーツァルト研究の泰斗ロビンス・ランドン「モーツァルト最後の年」があり、あまり重要視されていなかったシュテファン大聖堂副楽長ポストの獲得や宗教音楽への傾倒の意味、また、渡英計画などを実証的に記述し、新しいモーツァルト像を提示したが、本書も新しいモーツァルト像を提示することに成功している。手紙の読み方では、プフベルクへの無心の手紙も、宮廷作曲家(「貴賓室作曲家」)のポストを得て前途洋々のモーツァルトが、その地位に相応しい生活のための「投資資金」申し込みということになる。
本書の最大の特徴は、第一線のバッハ研究の音楽学者C. ヴォルフ氏の作品アプローチであろう。同氏は最後の四年間の音楽様式を「帝室様式」と捉えるが、これなどはモーツァルトのバッハ体験、また氏のバッハ楽曲研究を踏まえたものであろう。晩年の作品の位置づけにも新しく見直される。例えば、「三大交響曲」は、かつては演奏する当てもなく作曲したものとされているが、その三曲の調性配置からハイドンの「パリ交響曲」セットの三曲を意識したものであること、また、三曲とも演奏される目的をもって書かれたことなどが示される。さらに、晩年のモーツァルトの澄んだ心境を表したとされる最後のピアノ協奏曲の透明で簡潔な音楽は、クラリネット協奏曲にも見られる新たな作曲様式の始まり、ということが楽譜を示し論じられる。
晩年に多い室内楽作品の未完成作品についても、将来完成させるためにキープした「断章」と自筆譜の余白に余計な書き込みがあるなど、廃棄した「断片」と区分けし、自筆譜の見方にも新しい視点を導入している。
最後に作品番号表記について。これまで「断章」は、追加番号Anh.(Anhang)とケッヘル番号の二重表記であったが、Konradの整理目録を踏まえ、Fr.(Fragment)番号だけの表記で統一している(旧K.Anh.66=K.562e新表記は=Fr.1789g)。これなどは、予告されてから10年以上経過して未だに登場しない新ケッヘル目録の考え方を取り入れたもので、最新のモーツァルト研究を垣間見ることができる。

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2016/03/26 00:53

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2020/08/25 19:08

投稿元:ブクログ

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