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投稿者:令和4年・寅年 - この投稿者のレビュー一覧を見る
倫理と道徳の書。なによりも中庸が肝要。感情によって動いてしまう若者の妄動を戒める。倫理を学んだ者が政治を行うようにと、古代ギリシアの都市国家の学問の理想と仕組み。
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昨年末に出たばかりの新訳と知り、興味をひかれ手に取った。翻訳は基本的に新しければ新しいほど良いと思っているが、それにしても本書の訳文は平易な言葉で書かれており、驚くほど読みやすい。訳注も、原語の意味や文脈によるニュアンスの違い、本文での訳し分けなどについて丁寧に解説されており、本文の理解にとても役立つものになっている。
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アリストテレスの哲学
真実は、善と悪を見分けることができる賢慮を持って実践することで近づくことができる。
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アリストテレス先生「幸せって何だっけ」の巻
「幸せとは何か?」というテーマの講義だが、
早々に「徳に基づいた魂の活動」と結論を出している。
徳とはある性向における中間性のことであるとし、
例えば「勇気」なら超過すると「向こう見ず」になり、
不足すると「臆病」中間が「勇気」であるとしている。
「向こう見ず」は勇気に似ているが、
必要の無い時は勇敢に振る舞い、
本当に恐ろしいものに耐えられない。
「勇気」は普段は穏やかだが、
必要な時は恐れるべきものにも立ち向かう。
「臆病」は恐れる必要の無いものでも恐れる。
このように様々な性向に関して検証していっている。
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まず驚いたのは、これが紀元前に書かれた?ものであること。そして、倫理観や人生観について、紀元前も現代も大差がないことを実感した。特に第一巻から第三巻については、人格主義の重要性を唱えるコビー博士の7つの習慣の原型を感じた。
人生におけるアレテー(徳)の重要性と中間性について、その価値観の洞察がすごいと思った。
第一巻 幸福とは何か
第二巻 人柄のアレテーの総論
第三巻 アレテーの観点からみた行為ので構造、および勇気と節制のでアレテー
第四巻 いくつかの人柄のアレテーの説明
第五巻 正義について
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幸福とは何か、正義とは何か。
そんなものは人や立場によって違う。と一蹴されがちである。しかし、本書では、学問的に「幸福」や「正義」「正しい人のあるべき姿」が定義されている。私自身が人間的に未成熟なため、読んでいてピンとこない箇所も多々あり、本書の一部分にしか理解が及んでいないように思われる。しかし、読了後の達成感と、僅かながらも掴めたように感じる本書のエッセンスの有用性に満足できたため、評価を4とした。本書の内容を真に理解するために、引き続き人間性の研鑽を積み、定期的に精読していきたいと思える一冊である。この思いが薄まる前に、下巻まで通読したいと思う。
【解釈】
幸福とは徳(アレテー)を基に為される“正しい”行為の“習慣”によってのみもたらされるものである。つまり、一時的ではなく、“常に”正しくなければ幸福を得ることはできない。そして、常に正しくあるための拠り所となる徳を得るためには、普段から正しいと思われる行為の実践を通して、徳の感覚を磨いていくしかない。そして、人柄に関わる徳は、それぞれの特性の中間(中庸)、つまり特性の超過と不足のちょうど中間にあるとされる。しかし、この中間の位置は、必ずしも量的に正確な中間(例えば、超過が10、不足が2とした場合の中間は6)ではない。中間の位置は、その特性や状況によって異なる。このような定義は非常に曖昧で、精確な説明から逃れているようにも思われる。“真に”正しい人は、それまでの正しい行為の積み重ねゆえに、この中間の位置を違うことなく感覚的に実践すらことができる。そして、“ほとんどの場合において”誰もが正しいと感じられる絶対的な正しさは存在するという主張は、初回通読した現時点(2021/10/27)では、心から同意できるわけではない。しかし、幸福や正義なんて文脈によって異なるので、考えるに値しない。と切り捨てるよりは幾分マシなようにも思える。
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これは講義録の底本になっている。簡潔な叙述が延々と続く。もはや理解できない。ので、またいつか読み直す。
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・アリストテレス先生の倫理学の講義を受けている気分になる。
・2300年前の人が書いた講義ノートを読み解くってすごい体験だな。
・「幸福とは何なのか」ではなくて、「幸福でいるためには何をするべきか」についての本だった。すごく実践的。
・ちょうど良いところを維持して、やるべきことをやる暮らしこそが幸福、っていう内容かなー。
・第五巻『正義について』が難しかった...。「不正」とかの用語のニュアンスがよく分からない。
・下巻もがんばろ。
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幸せを得る方法や、そのために必要なアレテーについて書かれている。
この本は道徳の頂点にいると思う。価値観などのエッセンスが全て記載されている。多分、2割くらいしか理解出来ていないが、色々な本を読み進めたり、経験をする事で身になっていくのだろう。
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批判を恐れずにいうならば、この本は「中間」が最も優れていることを丁寧に解説する本である。また、いくつかの徳(アレテー)が紹介されているのだが、その中でも最も素晴らしい徳は、正義の徳(アレテー)であると言う。それは、正義の徳だけが、自分だけでなく、他人に対しても適応されるからである。
裁判や仲裁においても、その「中間」の美徳は採用されており、片方が一方に損害をもたらしたら、他方も同じ程度の損害を与えられることで、「中間」に戻すということだ。あらゆることがこの「中間」の考え方を適用できるのが興味深いところだった。
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さすが光文社の古典新訳、とても読みやすくて解説も丁寧で助かった。
アリストテレスは最高の善=幸福とは何か、と問いを立て、「徳に基づく魂の活動(徳を身につけ、優れた活動を行うこと)」と定義する。さらにそこから、徳とは何か、という問題に入っていくのである。徳を「知的な徳」と「人柄の徳」に二分し、「人柄の徳」を習慣によって身につく「中間性を示す選択を生む性向」であると定義して、実際の個々の徳がどんなふうに「中間性」を示しているのか考察していく(例えば、勇気は臆病と向こう見ずの中間である)ところまでが上巻。
相変わらずひたすら分類と考察を繰り返していくことに終始していて、アリストテレスって感じがする。魂の調和とかイデアの想起とか言っているプラトンに比べるとめちゃくちゃ地に足がついている。下巻だともっとダイナミックな話になっていくのだろうか?