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「はだれ雪」とは、はらはらと降る雪、あるいは解け残ってまだらになった雪のこと。なかなかいいタイトル(酒井抱一の装画もいい)。タイトルからはどのような内容なのか全く想像できなかったが、忠臣蔵絡みとは! しかも、最近ドラマ「ちかえもん」でも取り上げられていた寺坂吉右衛門も登場しているではないか! 主人公は、朝のたくあんの残り、もとい浅野内匠頭の最後の言葉を聞いたとされる旗本・永井勘解由、の流罪先での接待役に任じられた女・紗英。二人の行く末は想定内(笑)。堀部安兵衛カッコイイな。
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葉室さんが好きな女性像は紗英なのだろうなぁと思いました。葉室作品には凛とした女性が登場しますが、この作品も紗英の目線で語られるからか、存在感があります。『忠臣蔵』の赤穂浪士の仇討と絡んで、紗英の運命も大きく変わります。『はだれ雪』というタイトルがぴったりで、討ち入りのイメージ雪と重なって余韻を残します。葉室さんの本のタイトル、素敵だなぁといつも思います。
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両親が不慮の自害を遂げた永井勘解由。同じように、無念や思いを抱えて切腹することとなった浅野内匠頭の最後の言葉を聞いたとされている。そんな彼を接待役として世話することになった紗英。主の最後の言葉を聞いたとされる勘解由を訪れる赤穂浪士の死を覚悟した生きざまが、勘解由と紗英の気持ちを変えていく。
すごく期待を込めて読んだ初の葉室作品である「蜩の記」以来、やっぱりどうしても感じてしまう物足りなさ?あと一歩感。やっぱりある。
なんだろー、これ。
物語の設定はいつも素晴らしくてすごく興味を書きたてられるし、私好みの静かで強い男の人が出てくるのに、なぜかある後一歩感。
でもこれまでで一番、前向きだったと思う。他の作品はどちらかというと「いかに生き抜くか」だったけど、この本は「いかに生きるか」だと思った。
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忠臣蔵の出来事が背景で進む話。
主人公は、浅野内匠頭の切腹直前の言葉を聞き、将軍の怒りにふれて扇野藩にお預けの身となった、幕府の目付役の永井勘解由(ながいかげゆ)と、
扇野藩で勘解由の世話をする事になった、後家の紗英(さえ)
最初から紗英の勘解由に対する恋心が漏れまくって、おいおいと思ったけど。
全体的には、すがすがしい話で、ハッピーエンドで良かったと思う。
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浅野内匠頭の切腹直前に最後の言葉を聞いたことを咎められた永井勘解由は扇野藩にお預けの身になった.そこで接待役として仕えることになった紗英.赤穂藩残党による吉良上野介への復讐が取り沙汰される中での扇野藩の動き,堀部安兵衛や大石内蔵助と勘解由との接触など政治物語としても楽しめる.忠臣蔵を意外な面からの視点で捉えた好著だ.紗英の心の動きを綿密に捉えているところが良い.
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武士の風韻。
かみしめてぇ。浸りながら。
葉室麟という方にも耽る。
忠臣蔵について、書かれたものが。
いくつかあって。
大石内蔵助という方の
懐の深さにアタシもはまり。
永井勘解由と紗英
龍笛と琴
浅野内匠頭最期のお言葉。
討入りと重なる二人の行く末。
別れが待っているんだろうな。
と、読み進めていたのだけど。
切腹の美学や。武士の生き様も…
タイトルのはだれ雪
雪‼︎も沁みます‼︎
なんとしても、生きるに転換していった二人‼︎
に、よかったぁ。カッコよかったぁ。
和歌も複数登場‼︎な、感じで、ココも好き。
内蔵助が於可留へ〜とふ人とかたること葉のなかりせねば身は武蔵野の露と答へん
内蔵助の決意時〜照る月のまどかなるままにまどいする人の心の奥もくもらじ
内蔵助辞世の句〜あら楽し思ひははるる身はすつる憂世の月にかかる雲なし
そして、はだれ雪
〜わが園の李の花か庭に降るはだれのいまだ残りたるかも
〜はだれ雪あだにもあらで消えぬめり世にふるごとやもの憂かるらん
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元禄14年3月、江戸城内松の廊下で赤穂藩主浅野内匠頭が高家筆頭吉良上野介へ刃傷に及んだ。
「赤穂事件」。この事件を記録した史料は多いにもかかわらず、その原因は未だに謎のままである。
そんな永遠の謎と普遍の義が、300年にわたってこの物語を生かし続けてきたのではないだろうか。
本書は史実としての赤穂事件と実在の人物たちのはざまに、創作上の人物と架空の国を織り交ぜて夫婦愛の観点から描く異色の「忠臣蔵」。
舞台となる架空の国、扇野藩は著者の既刊『さわらびの譜』『散り椿』などの舞台ともなっている。
元禄14年11月、雪が舞い、水も氷る季節に扇野に流れつく主人公・永井勘解由と、彼を幽閉先の牢番として迎え入れる紗英。
凍える季節に始まるふたりの冷えびえとした縁が、和歌や筝曲を通して次第に温かく心通うものに変化していく描写が素晴らしい。
彼らの関係に大きく影を落とす赤穂事件と、旧赤穂藩士たちによる、吉良襲撃計画の存在。
大石内蔵助たちがその宿願を果たしたとき、勘解由たちにはどのような運命が待っているのだろうか。
それにしても人びとの生きざまはまるで雪のよう。潔く消えてゆくか、泥にまみれて春を待つか。
勘解由も堀部安兵衛も、そして浅野内匠頭ももちろんイイ男だ。なかでも内蔵助には惚れてしまう。しかしイイ男とは去っていくものなのだ。溜息。
KADOKAWAさんの文芸情報サイト『カドブン(https://kadobun.jp/)』にて、書評を書かせていただきました。
https://kadobun.jp/reviews/439/6d98b982
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おもしろかった。「青嵐の坂」につづき、主人公の男性が私好み。赤穂浪士の討入りにからめた話だったけれど、実在の人物なのかしら。それとも史実にからめた全くの創作なのかしら…。扇野藩シリーズ、他にもあるようなので読もう。
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自分の命は絶えても、我が子に何がしかは伝わっていく。それが未来永劫にわたり、生きると言うことではあるまいか。命は途切れることなく続くものだと考えるからこそ、すべての力を振るって今を懸命に生きねばならないと思う
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主人公たる男女の生死についてはとても気になるのに、四十七士のみなさんは亡くなってしまうのが当たり前と思って読んでしまう、そこに至ることは分かっているので、それがどう物語に関わってくるかに気を配って読むことになる。
改めて考えると、同じ命なのにねと思ったりする。
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葉室麟 21作品目。
浅野内匠頭が吉良上野介に刃傷事件後、浅野の最期の言葉を聞いた永井勘解由の流罪記。
赤穂浅野家は刃傷で改易になり、家臣は武士としてどうするか考えた。同時に、全ての武士は同様のことが起きたら、自らの身を処し方を考えたのではないか?
1つの事件が、世の中を大きく変えることがある。その一つがと、赤穂浪士 討ち入り事件だった。
復讐や単なる忠誠心だけでなく、”理不尽”(幕府の裁定、浅野家の改易)に対する、喧嘩両成敗の恣意かもしれない。その結果としての切腹かもしれない。
この在り様によって、”武士としての生き方”あるいは”武士としての矜持”が、より明確になった気がする。それが今日「同調圧力」に進化しているのかもしれない。
江戸幕府成立後、約百年。戦というものがなくなった時代に、”武士”が権力や役割を持ち続けたことの悪影響かもしれない。きっと、この事件のあと、”武士”は、本来の武士の在り方を根本から変えなくてはいけなかった。変えるべき(武士である必要がない)だったかもしれない、と。
→そうすれば、残りの江戸時代は、士農工商のような身分が支配する制度ではなく、もっと自由な(個人の能力に応じた)市民制度が芽生えていたかもしれない。とも、思う。
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扇野藩シリーズ第3
江戸城松の廊下で赤穂藩主 浅野内匠頭が、高家筆頭 吉良上野介へ刃傷に及んだ。
側用人 柳沢吉保は、経緯を明らかにしないまま、内匠頭 即日切腹の断を下したが、
幕府の目付だった永井勘解由は、監視の目を掻い潜り、切腹直前の長矩と、襖越しに言葉を交わす。
しかし、その行動は、将軍綱吉の勘気を被り、扇野藩に配流となる。
扇野藩としては、勘解由は、幕閣の中枢に返り咲く可能性があるので、粗略に扱えない。
とは言え、綱吉の勘気が続いたとしたら、罪人をもてなしたとして、幕府の心証が悪くなる。
勘解由の対処に、難儀していた。
配流先での接待役となった紗英は、武家に生まれた女として、藩の命令に従うしかなかったが、
清らかな強さを持って生き抜こうとしている勘解由に、だんだん、惹かれて行く。
赤穂浪士が、討ち入りを果たすと、勘解由が、浪士に協力したとなり、扇野藩が処罰される。それを、回避する為に、勘解由の命を狙う者。
扇野藩 筆頭家老、馬場民部と次席家老、才津作左衛門の対立。
大石内蔵助と勘解由の交流。
赤穂浪士の動きを描きつつ、接待役となった紗英と勘解由の、心の通い合いを綴る。
はだれ雪とは
まだらに降り積もっている雪。はらはらと降る雪。の事。
《はだれ雪あだにもあらで消えぬめり
世にふるごとやもの憂かるらん》
夫木和歌抄
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赤穂浪士の討ち入りを題材にしての創作もの。
浅野内匠頭の切腹の折、密かに内匠頭と言葉を交わしたとして、流罪とされた永井勘解由が主人公。
天下の法が大切だとする柳沢吉保に対し、公弁法親王は政事をするものは思い上がらず、ひとの正しさ、悪に沿って導くことだと説く。法で裁くだけなら、政事はいらないとする。確かに、いまの政治家に聞かせたい。