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脛にかいわれ大根が生えてきた男
訪れた病院の医師によって自走するベッドに括り付けられ、
療養のため硫黄の温泉を目指すが・・・
地価坑道や賽の河原と今回も
夢とも現とも尽かぬ安倍ワールド全開です。
脛からかいわれ大根は不気味すぎる・・・
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安倍公房氏の逝去作です
安楽死を問うたものと評価されていますが
それよりも何よりも
彼の表現の一部に
今までにない 素直な表現が 心からの一節が
非常に
非常に こころに残る作品です
安倍公房のなかでも特に好きな本のひとつ!
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奇想天外だった。
正直、一度読んだだけでは、まだ全ての世界を理解できずにいる。
彼は自分の持つ広大な世界観の中で、気の向くままにびゅんびゅん飛び回っている、そんな気がした。
そのスピードにしがみつくので精一杯。
いつかまた、読んでみたい。
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亡くなる前に書いたからなのか、病院に関する、死に関する内容。ただ、それを正面からではなく、他の人がみたことない視点でとらえていくのは、さすがの安部公房。安部公房ワールド全開だけど、他の小説に比べるとなんかマイルドな気がする。
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これを読むとカイワレを食べたくなります。
情景が美しく、もの悲しい。
病院の外に響き渡るアナウンスの声が
寒々しさと切なさを醸し出している気がします。
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ある日、目が覚めたらスネにかいわれ大根が生えてしまった男が病院を追放され生命維持装置を搭載した動く医療用ベットとともに地下の運河、賽の河原、などを旅するというか彷徨う、ひとことで言うとそんな話です。
何か冥府巡りのような感じで。
読み進めながら全体的に死を想起させるというか、何か死の匂いのする話だなと思っていたらどうやらこの作品が安部公房の遺作らしいです。
遺作で傑作です。
で、そんな感じで死のイメージが全体にあるものの文章は暗くないしむしろあっけらかんとしていて妙にワクワクしながら読めました。
読み終えてみたけど最後まで結局「カンガルーノート」が何なのかは解らないままでした。
好き嫌いは分かれると思うけどこの世界の描写とかちょっと不思議でちょっと怖いくらいの感じが好きな人にはツボだと思います。
寝る前に読むのがオススメです。
そしたら夢の中で変な世界に迷い込めるかもしれませんよ。
ちょっとダークな冒険モノみたいでした。
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足からかいわれ大根を生やして、
硫黄温泉行きの自動操縦ベッドに乗って彷徨う男の話。
時間や空間の認識力を奪われる感覚。
話の突飛さもあるけれど、描写力のすさまじさもその一因。
真っ暗な空間にストロボライトが点滅するなかを、
必死に走り抜けたような読後感。
読むのにとてもエネルギーが要ります。
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正直ついていけない。安部公房という人物が好きなので一定の評価はするけどダメだ。これを評価する人は本当に頭が良い人かスノッブかに分かれそう
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昨日たまたま立ち寄った古本屋で買いました。
安部公房といえばぼくらにとってはちょっと特別な名前。
大学時代によく読んでました。
何がおもしろかったのか「安部公房全作品」を一冊ずつ揃えては、わくわくしながら読んでいたものです。
単行本「箱男」に入っていた月報的なものに書かれていたと思いますが、「帰属」というのがやはりキーワードかと。
どこに帰属するのか、というのではなく、どこにも帰属できない者のありようは?
とかそんな感じで。
やはりどこにも帰属できないような気がしていた(今でもそうかもしれませんが)、自分を投影していたのでしょう。
その時点でのほとんどの作品を読んだと言える安部公房さんで今でも好きなのは「箱男」、「終わりし道の標に」、「燃える地図」と「カーブの向こう」、「砂漠の思想」、「笑う月」・・・そのあたりでしょうか。
そんな興味も「全作品」で終了して、その後の著作は読んでいませんでした。
「カンガルー・ノート」は完結しているものとしては「遺作」ということになっているようですので、とりあえず読んでおこうかと(あるいは、持っておこうかと)。
物語は、スネにカイワレ大根が密生してしまう奇病にかかった男の珍道中ってとこでしょうか。
美女の肺に水仙が咲く奇病は美しいですが、むくつけき男のスネにカイワレ大根ではあんまり興が乗りませんね。
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事実上の著者の遺作。これはその予感をわかっていて書いた作品なのかもしれません。
頭が悪いので前衛的で理解できない部分も多々あります。
文房具屋に勤めている主人公が提案した商品「カンガルー・ノート」。その日から脛に生えてきたかいわれ大根。そして地獄巡り。
書いた年代から明らかに私小説であることがわかります。
文章も読みやすく、それでいて阿部工房らしい文体で、サクサクと読める作品です。
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起きながらに夢の世界を旅できるというなんとも素晴らしい一冊。シュールでアイロニカルなのは相変わらず、どこか漂う「死」の香り。難しいことわかりませんが、面白いから良いじゃない…って駄目?「気持ち悪いは気持ちいい」タイプの人には超オススメです。だって脛からカイワレ大根だよ…?!たまらん(笑)
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夢の中のような不条理な展開が続いていく不思議な話。ところどころ、妙にポップなのがたまりません。 (kitelette)
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能でも意識したのか、出過ぎた疾走感と、表紙のダサさで評価は3。発想としての内容はおもしろい。過去の積み重ねもあるだろうが、末期の作者内面が色濃く幻想的に出ている、業界では評価の高い作者遺作。カイワレは好きだったのか、嫌いだったのか。
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安部公房最後の小説。
会社にてカンガルーノートたるものを提案した翌日、脚の脛からかいわれ大根が生えてくるという、奇異なまさに安部公房の世界が展開されている。
主人公はその後病院のベッドに乗って街を滑走する。展開が想像の範疇を越え、奇想天外。
夢を見ている気分になる。夢の中ではあり得ない出来事に対して疑念を抱かない、まさしくそれだ。
しかしこの小説にはテーマがある。死だ。
安部公房は生と死をあまり隔たりないように描き、同時に生ける者が死を如何に重んじているかを巧みに描いている。
一度ではわかりえない、安部公房。
深い魅力を感じる。
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文学研究会の春合宿の企画の読書会で行うというので急いで読んだ。脛に<かいわれ大根>が生えるだとか、自走式のベッドだとか、やりたい放題のことが出てきたのだが、面白いかと問われるとはっきり言って面白いとは言えないと思った。ユーモラスといえばユーモラスなのだろうが、解説にあったように「鏡の国のアリス」に例えるのはルイス・キャロルに失礼なのではないのだろうかと思う。すいすいとテンポよく読める小説ではあった。