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読み応えはあるけど、ノンフィクションという事でスッキリとしない部分もあり。
あと必要やとは思うけど、注釈多すぎ。
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実際にあった事件の真相に迫るノンフィクション。
ノンフィクションとは言われているが、ミステリを読んでいるような読後感。まぁ、ミステリとしてはオチがスッキリしないのだが……。
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ノンフィクション。全ての英国人が注目し熱中したロードヒルハウス事件の顛末を事細かに綴った名著。殺された坊やの家族、捜査した刑事に警官、そして弁護士や判事、事件に関わらざるを得なかった多くの人々のその時とその後が記されている。社会の熱狂ぶりはもちろんのこと、静かな結末とエピローグがとても興味深い。
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1860年にイギリスで起きたロード・ヒル・ハウス殺人事件 とこの事件を捜査した、創設まもないスコットランド・ヤードの刑事、ウィッチャー警部を描いたノンフィクション。
この本を読む前は、なんとなく最初の刑事が解いた難事件が描かれるのかと思っていたが、そうではなく、その当時の社会状況と最初の刑事達の出自と社会的立場、そしてロード・ヒル・ハウス殺人事件とウィッチャー警部が生まれて間もない探偵小説に与えた影響が書かれている。
当時の中産階級が崩壊していく最中のイギリスにおいて、低所得者層から身を立てようとする最初の刑事達へ圧力をかける社会が興味深い。
新聞がメディアとして力を持つようになったばかりの当時における、メディアと大衆の狂騒状態は、現代のインターネットによる不謹慎狩りの狂騒状態にも似ている気がする。
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職業として最初に刑事となったスコットランドヤードのウィッチャー警部が取り組んだ
150年ほど前の殺人事件についてのノンフィクション。
単なる殺人事件の記録ではなく、事件を取り巻く環境について、
事件そのものと同じくらい当時のイギリスの様子が詳細に描かれていて、
ミステリとは違う視点での殺人事件の捉え方は新鮮。
この事件をイギリスの大きなターニングポイントとして捉え、
古い記録をていねいに探っていき現在の倫理観や世論と比較していく著者の姿勢は尊敬できるし共感できる
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1860年代に起きた実際の事件、実在した人物が描かれている。個人情報など気にも留めなかった時代でそれでも階級制度が括りとなって警察側は操作困難に陥る。
これがのちの今、推理小説と呼ばれる分野になってゆくのかと思うと感慨深い。
この頃読んだある小説二塁是下天多々ある。
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ヴィクトリア朝のイギリス。スコットランドヤードに初めて刑事課が
設立された。優秀な警察官から選抜された8人の刑事のなかに、本書
の主役であるウィッチャー警部がいた。
鋭い観察眼を持つウィッチャー警部はそれまでにも多くの事件を解決
し、刑事としての仕事にも自信を持っていた。そんな彼が、ある殺人
事件の解決の為にとある村に派遣された。
事件が起きたのは1860年の6月。中流家庭のカントリーハウスで、
3歳の男の子が眠っていたベッドから連れ出され無惨な死体となって
発見された。
州警察が捜査にあたるものの、事件は進展せず。電信が発達して新聞
報道が活発になったことで、周辺住民や新聞は州警察に対して不信感
を露わにしたことから、スコットランドヤードからウィッチャー警部
が解決に乗り出すことになった。
イギリスは現在でも階級社会だが、ヴィクトリア朝の時代ではそれが
更に顕著だ。家庭内で起きた殺人事件とは言え、中流階級の生活を
世間の目に晒すことをよしとしない。
それでも、状況証拠を積み重ねてウィッチャー警部は犯人を特定する。
しかし、「労働者階級の刑事が、中流家庭の人間を裁くなんてとんで
もない」との意識が検察官や州警察にあったこともあり、ウィッチャー
警部が犯人と確信した人物は不起訴処分とんされた。
この事件が引き金となって、ウィッチャー警部の名声は一挙に地に墜ち
てしまう。そもそも、州警察の初動捜査が杜撰極まりないものだったの
だが、この時代も中央と地方の警察との意地の張り合いがあったのか
と感じた。
ロード・ヒル・ハウス事件と呼ばれるこの殺人事件と解決にあったた
ウィッチャー警部は、ディケンズらの探偵小説に多大な影響を及ぼし
ているらしい。
本書ではウィッチャー警部の挫折後の活動以外にも、家族を失った
一家のその後、事件後数年が経過してからの自白など、入手可能な
限りの資料を駆使して綿密に追っている。
翻訳が少々私には合わなかったのだが、イギリスでは切り裂きジャック
と同様に有名だという本書の事件の顛末は犯人の自白はあるものの謎も
残っていて興味深かった。
世間はウィッチャー警部を非難しながらも、新聞や警察に「犯人につい
て、自分はこう思う。こう確信している」との投書が有名無名取り交ぜ
て多く届いていたなんていうのは、21世紀の現在とあまり変わってない
のかな。今はインターネットだけどね。
捜査方法こそ発達したものの、刑事の仕事のどこ臭さはその最初期から
現在まで、あまり変化していないのかもしれない。
探偵小説も好きだが、その探偵小説に影響を与えた事件と刑事の話を
誌って探偵小説を読むとまた違った味わいがあるかも。
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1860年6月、イギリス南部ウィルトシャー州のロード・ヒル・ハウス屋敷の3歳の息子が殺され、屋敷の屋外便所で発見された。地元警察の調べでは埒があかず、ロンドンの首都圏警察から「優秀な刑事」ウィッチャーが派遣された。ウィッチャーは1842年8月に創設された、区域を超えたり、重大な犯罪を捜査する中央集権制の精鋭刑事集団の創立メンバー8人のうちの1人だった。
題名の示す通り、ロード・ヒル・ハウス殺人事件とそれを追うウィッチャー刑事のノンフィクション。当時のイギリス社会の様子も詳しく語られとても興味深くおもしろかった。しかし事件の内容は当事者にも追跡者にも重い。
塀に囲まれたお屋敷で何が?当時頃から隆盛した新聞の事件報道により興味本位な目にさらされる家族、それにより顕わになった家族関係。さらにウィッチャーはじめ捜査の仕方も新聞に晒される。そしてこの事件が、あるいは事件報道が後に数々の探偵小説を生むことにもなったというのだ。
裕福な家、亡くなった先妻とその子供たち、ナニー上がりの後妻とその子供たち、その中心にいる父。う~ん、父がもっと節度があれば、いやよくある再婚形態か? 犠牲になるのは子供だなあ。クリスティの作品にも裕福なお屋敷の中の複雑な家族関係で一家の主の蜘蛛の糸に絡められている家族が登場し、しかしクリスティの場合、元凶の主が死んで子供たちは解放される、というパターン。・・しかしこの現実はそうじゃない。事件後5年たって21歳の時に自首したコンスタンスは20年の刑期をまっとうし、オーストラリアに行き、しかしなんと100歳まで生きたのだ。現実はすごい。
ウィッチャーは当家の16歳の娘コンスタンスが犯人と睨むが、裁判では証拠不十分でコンスタンスは無罪に。そしてその失策からウィッチャーは49歳で早期退職。ところが5年後、コンスタンスは犯行を自首。ウィッチャーも面目を戻し私立探偵となる。しかし自首後の裁判でも、その後の手記でも、継母が実母をないがしろにした、自分につらくあたる、継母に苦痛を与えたかった、という犯行理由は語られても、具体的な犯行となると霞がかかっている。あるいは弟も共犯だったのか否か、それは永遠の謎となっている。
刑事は労働者階級で、事件の起きたのは中産階級、この階級の差も捜査の妨げになったという。しかし「刑事フォイル」「刑事モース」「刑事バンクス」と最近BBC制作の刑事ものを見てるが、今や刑事は花形だ。
原著2008発表
2011.5.25初版 図書館