紙の本
万城目作品史上最難解
2016/04/30 00:21
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投稿者:オオバロニア - この投稿者のレビュー一覧を見る
脱サラして、雑居ビルの管理人をしながら、作家デビューを目指す男の幻想青春文学。
と書くと、まるで森見登美彦さんの作品のようですが、毛色が全然違います。デビュー当時と違って、近年はこういう「苦さ」や哀愁のある作品にシフトしてきたなーと感じます。
本作は「自伝的青春小説」との触れ込み通り、夢を見るにはそこそこ年を取った男の焦りや不安や閉塞感が滲み出ていて、現在就職活動をしている私は息が詰まる思いで読みました。結末の捉え方は人それぞれでしょうが、この作品の魅力は主人公が「夢」を追い、もがき苦しむ途上の描写に尽きると思います。自分が見ている方向は本当に正しいのか、この先に終わりはあるのか、自分の苦労は報われるのか。そんな誰もが一度は辿った思考経路を万城目節で愚直になぞっています。
登場人物は少なく、舞台はシンプルに、状況はカオスに。という万城目イズムはしっかり受け継がれています。将来が見えなくてモヤモヤしている人に読んで欲しいです。解決はされませんが、少し気持ちは楽になりますよ(笑)
紙の本
リアルとファンタジーが溶け合う万城目ワールド
2022/04/25 15:54
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投稿者:mitu - この投稿者のレビュー一覧を見る
都会の片隅、駅にほど近い5階建てのテナントビル「バベル九朔」の管理人、27歳の俺。
会社勤めを辞めて、祖父の作ったテナントビルの管理人をしながら、小説家を目指している。
これまで短編小説を新人賞に何度か応募したものの一次審査すら通ったことがない。
今度こそ!と退職以来書き続けた長編小説で勝負に出たい。あとはタイトルだけだ。
そんな時に、平和な「バベル九朔」に非日常の空間が出現する。
作者の万城目氏の体験(作家になるため会社を辞めてしまう)がベースになっていて、そこから紡ぎ出されるリアルさがファンタジーと溶け合う。
主人公の九朔の追い詰められる感じ、明日が見えずにもがく感情、ついつい夢見てしまう成功した自分。
世間から切り離されたかのように感じ、焦りもがく感情。どこにもぶつけようのない苛立ち。
親からは、小説なんかとっとと辞めて就職しろとせっつかれる。当たり前だとわかっていても反論できないもどかしさ。
このやるせない心の様が、バベル九朔で巻き起こる奇想天外な出来事のベースにあるから、その世界にグイグイ引き込まれていく。
日常と非日常の間のリアリティ。
これぞ、万城目ワールド。
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なんだか万城目さんが遠くに行ってしまったような気が…。ついていけなかったというか、置いていかれたというか・・・。
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これはひどい。
万城目さんの作品だから面白いはずっと思って最後まで読んだけど、難しいというか意味がわからない。良い意味での意味がわからないではなく、「なんなの?この本?」とネガティブな意味だ。
しゅららぼんまでは、面白かったのになぁ。
なんか、ぐるぐると同じ部分を繰り返し読まされてる気がしてイマイチで残念だった。
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なかなかの込み入りっぷりにヘトヘトになりながら階段を上るけど、意外と疲れてない。
理解を求めても徒労に終わるだけなので、流れに任せて流されれば良いということもある。
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ビルの管理人をしつつも小説家を目指す主人公に突如現れた「カラス女」と人間の夢を追いつつも無駄を糧に、影の世界で成長しようとする祖父の大九朔・・・
現実(表)と裏の世界を行ったり来たり・・・
夢を追いつつも上手くいかない人生。その無駄を糧にするかいつか成功するときをみて生きるか。
万城目さんの奇想天外さが物足りない気がしましたけれども、読んでいて、混乱してきたけれども、これぞ万城目ワールドの新たなテクニックかな!
やはり、自分は万城目ワールドからは抜け出せない!
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1970年代のアメリカの
あんまりパッとしないSF小説みたいな。
…「バベル」だもんな。
マキメさんも混乱したんだな、きっと。
■ ■ ■ ■ ■
「エコ」を合言葉として育ったためか
最近の若者は夢に対してまで省エネを良しとしてるように
昭和のバブルな若者だった私には思えるんだよね。
そんな中で「無駄な夢」をエネルギーの源とする存在を描くとは。
風刺?風刺小説なん、これ?
■ ■ ■ ■ ■
設定は好きなんやけどなー。
なんか…長い。
それこそ「無駄」に長い気がする。
語り口調も好きなんやけどなー。
【結論】
マキメさんのは長いお話より短いほうのが好き。
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テナントビルバベル九朔の管理人兼小説家である主人公がバベル九朔の不思議に飲み込まれていく話。
怖すぎて、よく分からなくて、途中で断念。
王様のブランチで特集されてたから借りたけど、全然良くない。
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む、難しい。
とっかかりにくく、でも第1章を読み終えれば、ぐいんと引き込まれ、えーどういうこと?とまた距離ができ、なんですか?村上春樹?と躊躇するもまたぐいんと読み進み、
え、で、どういうこと?そういうこと?でも…。
そういう場合、もう一度読み直すのが常なんだけど、コレはちょっと時間を置こう。
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他の方のレヴューにもありますが、初期の頃の“愛すべき万城目ワールド”とは毛色が異なる印象で、読み進むうちに、なんだか主人公と共にグルグルと無間に歩かされているような気持になり、少々疲れました。
ビルのテナント名は、万城目さんらしさが出ていて、思わず「くすっ」と。。。
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冒険ファンタジーとでもいいましょうか、宮部みゆきさんが書きそうな物語です。
ただ、宮部さんなら主人公は中学生とかでしょうけど。
少しわかりにくかった。
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ビル。テナント。小説家。カラス。ビルの管理人をやりながら小説を書いている青年が迷い込んだ妙な世界。夢、ではなく無駄を源に育まれるバベル。最後までハマれなかった…。
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ずっと読みたかった本、やっと読めた。作家志望の主人公がデビュー出来ずもがいているところに事件が起きていくお話。万城目ワールド全開。夢が叶うまでの苦しさという現実感と架空の世界が交差しながら混じり合って楽しかった。
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デカい!読み始めた時点ではこんなにデカい話にたどり着くとは思いもしなかったです。いやぁ、デカい物語を描いちゃいましたね、万城目さん!
いままで、マキメさんの描く「自分の世界と地続きの魔訶不思議な物語」をゲラゲラ笑いながら楽しんできたのに、これはもう壮大過ぎてめまいがしちゃいました。めまい、まさに、めまい小説ですね、これは。
これまであまり出てこなかったヒトの世の暗い部分がじわじわと滲み出ているようで、一気に世界が深くなった気がします。
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作家志望の「俺」が管理人を務める雑居ビル「バベル九朔」で奇妙な事件が頻発。ある絵に触れた瞬間、なぜか「俺」は湖にいた。そこで出会った少女に「鍵」を渡されると、巨大な塔が現れ…。
自由奔放な万城目ワールドは健在。でも前作の「とっぴんぱらり…」もそうだったように本作もユーモアはあるものの明るさが欠けていた。序盤はモタモタ、中盤から夢と現実の狭間を行ったり来たりするが、だんだんついていけなくなった。自分の読解力の問題とは思いたくないけど…。
(C)