紙の本
騙されてたと思って、今更ながら獅子文六を読んでみてください
2019/01/26 00:21
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投稿者:ふみちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
次々に獅子文六の作品が文庫本として復刻されている。私にしても、「今更、ないわ」と思っていたのだが、読み始めてみるとすこぶる愉快な本である。主人公夫妻の五百助と駒子がいい。五百助は、ただのぐうたらものと思っていたのが読んでいくにつれて、どんどん愛おしくなってくる。駒子は「ほんといい女だな~」、近くにあんな女性がいたら危ないかもしれない。戦後間もないころの作品だが、全く色あせていない。文体に作者の品のよさが醸し出されている。交わされている会話もいけている。やっぱり、日本語って素敵だと再認識される。
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数年前に御茶の水で湯島聖堂の崖を上から眺めて何かの縁を感じたのは、昔読んだこの「自由学校」の舞台だったからなんだ。66年前のやっと戦争から解放された日本が、まるで大病の快癒期のように前向きで約束された明るい未来に向かって誰もが進んで行く、そんな時代背景の中で、ぐうたら亭主としっかり女房が織りなすドタバタ劇。当時、同時に2社が映画化したほど売れた小説なんだって。映画も観てみたい!
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ざあます、と言う言葉だけが時代と異なるにせよ
この本はまったく先進的で、大したものだと思うのだ。
主人公ほか殿登場人物にも愛着はもてないのだが、確かに面白かった。
獅子文六、昔々に読んだ悦ちゃんや娘と私も再読したほうが良い気がしてきた。
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ウイットに富んでいて軽い文章は読みやすいけど、夫婦間のやり取りはくすぐってはくれるが、もう新しいとは言えないかも。この夫婦喧嘩は現代ならモラルハラスメント問題に発展だ。
自由になりたいとて仕事を辞めてしまったぐうたら夫を、あの当時(戦後5年1950年ころ)妻が夫に「出ていけ!」っていうのが新しかったので。
むしろあの頃の風景や風俗情景を知るにはよい。わたしは小学3,4年ころだったから社会や周りのことはわかっていない。「戦後ってこんなふうだったのね」という感じで読んだが、それが興味深くなおかつおもしろかった。
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開巻早々、暢気者にして怠け者の夫・五百助に堪忍袋の緒が切れた妻・駒子さんは亭主を叩き出す。
昭和25年、敗戦により戦前の価値観は暴落し、台頭する自由の風潮の下、駒子さんはあんな役立たずの夫に縛られることはないんじゃないかと、夫なき身辺に現れる男性に改めて目を向けてみたり、追い出された五百助は日頃の妻の一々を煩く思っていたところ、これ幸いと独り身の自由を謳歌して放浪してみたりする。二人それぞれに我が身の自由に思いを巡らせ、彷徨する訳なのだが…。
皮肉と親しみを絶妙な塩梅で効かせて登場人物を描く筆致は流石という感じ。
右往左往の結果さてどうなったかというと、何かを学んだようで人の心なんてままならないんだなあ、という付録が効いている。
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読みながらしみじみ「獅子文六好きだなぁ」って思った。
なんでもっと有名じゃないんだろう。
教科書に漱石や太宰を載せるのもいいけど、獅子文六、載せませんか?
内容について。
序盤の五百助がぐうたらすぎて、また同性ということもあって、ずっと駒子贔屓で読んだ。だからちょっと結末にんん?って気持ちもなくはないんだけど、会話にも地の文にも楽しませてもらったので大満足。