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初読。図書館。『サクリファイス』シリーズ。チカがニコラのアシストとして、ツールを走る。伊庭もミッコも敵チームで走る。「おお、みんないる、いる」という高揚とともに、シリーズ前作の死の影を持ち込み、冒頭から不穏な気配。いつも思うけど、近藤さんのこの不安感の煽り方は本当にウマイ。さらに近松をぶち込むなんて近藤さんにしかできない。近藤さんの描くツールを走る競技者の「業」って、他シリーズの歌舞伎役者の「業」に通じるところがあると思う。ステージ優勝を手放すチカの恰好良さは、1作目のタイヤを譲る場面を思い起こさせた。
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まさにツール・ド・フランス開催中に読むというグッドタイミング。
長編前作の「エデン」に続き、再び最高峰のグラン・ツールが舞台で、伊庭はもちろん、ミッコやニコラといったキャラクターたちも再登場し、いい意味でのマンネリ化、シリーズとしての成熟感も出てきたように思う。
ランス・アームストロングに着想を得たであろう、ドミトリー・メネンコなるダークヒーローが絡むストーリーはミステリー色が強く、ロードレースならではの不文律やレースの描写も依然として上手く料理してはいるが、これまで以上に自転車以外の要素が占める物語の内のウェイトが増しているような印象も受ける。
序盤、ニコラとドニにまつわる過去のエピソードがいきなり重要なキーとなるから、「サクリファイス」→「エデン」→今作と順に読むことが強く推奨される。
安定した高品質、特に自転車に乗る人にとってはたまらない読み物だ。
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エデンの続編。
今回は自転車レースの、綺麗事ですまないドロドロした部分も描写しているが、文体が平易なのですらすら読めます。
レースが進むにつれて揺れ動く人間の心理状態と情景描写が心地いいですね。
ラストがあっさりしてるので少し拍子抜けですが、世界観を楽しむ小説としてはありかと思います。
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「サクリファイス」シリーズ第5弾。「サクリファイス」から9年も経っているので鶏頭の俺には人物の相関関係が忘却の彼方。それでも本作は縁の下の力持ち「チカ」の物語としてとても楽しく読めました。
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久しぶりのチカでした。嬉しいです。元気に頑張っててくれて。でも細かい話を忘れてしまってるので、もう一度サクリファイスを読みたくなりました。いつもコツコツアシストに徹しているチカの生き方を尊敬しています。未だに自分は何やってるんだろうと考えさせられる。けど、自分のやれる事を頑張らなきゃという気持ちになれる。
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メネンコ、ひどい奴だ。しかし、結局何がしたかったのかよくわからなかった。いろんな事情を知り少しばかり拘わりなながらもきちんと仕事の役目を果たしたチカ、そして事件を未然に防いだ。淡々として冷静に行動出来る奴だ。最強のアシストと言えるだろう。
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ポルトガルから再びフランスのチームに移籍した誓。今回はあのプチ・ニコラをエースに擁しツール・ド・フランスに挑む。
ドーピングの発覚で一度はロードレース界を去った堕ちた英雄メネンコが再びツールを走る。錯綜する憶測、疑念。過去、メネンコとの間に因縁を抱えるチームメイト、アルギと、その妹ヒルダ。療友・伊波のヨーロッパ参戦そして、ツール出場。
お馴染みの世界観の中、見所満載の一巻。
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スティグマータ=聖痕。読了後、熱が乗り移るような感覚になりました。チカは変わってないし、ブレない。最後くらいチカが行っても良かったような気がしますが、「駄目だ、君が行け」とポジションを堅持するその姿勢に感動を覚えました。だから次のシーズンも必要とされるんでしょうね。過去のエースの登場は華々しく、そして去り際は寂しい。この時にドーピングを取り上げるあたり狙っている訳ではないかもしれませんが、フェア精神の無い人に栄光は長続きしない、と改めて思わせてもらえました。チカの傷が早く癒えて、次作でもアシストとして活躍していますように。
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サクリファイスシリーズ最新作。久しぶりにチカのツール。相変わらず文章も含め心地よい。ちょうど本物のツールの後であり楽しく読めた。なかなかすぐに続編が出ないのが難点。また次作を早く読みたい。
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作者が得意とするツール・ド・フランスを舞台にする小説。
個人で順位を争いながらも、チーム戦略を持って競う自転車競技は、いかにも人間ドラマが詰まっていそうで、作者の想像力を刺激するのだろう。
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世界最高峰の自転車レース「ツールドフランス」が舞台のお話。主人公はアシストとしてエースを勝たせるために走る日本人選手。
そのレースに、ドーピングにより追放されたかつての帝王が復帰。レースは選手同士の思惑や非難と共に不穏な展開へ…。ほとんど見たこともない自転車ロードレースの戦略や醍醐味がハラハラさせる展開…。主人公のスターではない地味な現役選手の心の揺らぎ、能力や年齢による力の限界などの切実さも伝わってくる。一生懸命でスリリングな3000キロの物語。
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自転車競技に特別な興味はないが、このシリーズを読むのにそこは関係ない。ほとんどチカのモノローグで進み、読者にもチカと同じ情報が与えられる。
クライマックスの第十五ステージでのチームのエース・ニコラとチカの会話がいい。ラストはありがちだからできれば避けて欲しかったけれど。
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30歳に差し掛かる白石の苦悩とか、伊庭が年配女性には紳士的だったりとか、ところどころ好きな場面はあったりもしたけど、事件の真相とかそういう面ではあっさりしすぎていて全体的にはシリーズの中でも面白くない方だと思う。
だけど「安らぎや癒しを女性に求めたくなるのは、男の悪い癖だ」という部分には非常に共感した。白石は性処理はどうしてるんだろう?とか余計なことを思ったりも。
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ハズレのないシリーズ。
ミステリの要素もあり、最後まで楽しめます。
タイトルもいつもながら絶妙。
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ドーピングの発覚で失墜した世界的英雄が、突然ツール・ド・フランスに復帰した。彼の真意が見えないまま、レースは不穏な展開へ。選手をつけ狙う影、強豪同士の密約、そして甦る過去の忌まわしい記憶…。新たな興奮と感動が待ち受ける3000kmの人間ドラマ、開幕!
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相変わらず自転車競技のことはまったくわからないのだが、その過酷さや駆け引きの妙は、このシリーズでずいぶん味わってきた。今回は、レース以前の不穏さに取り込まれそうになるチカ(白井誓)や有力選手たちそれぞれの対応も見ものである。ただでさえ相手の真意を量りきれない世界で、レースの駆け引きとは別次元の陰謀のことにまで神経を使わなければならないとは、なんと過酷なことだろう。ただ、そんななかでも、信頼関係は確かにあって、それが報われるのを見るのはやはりいいものである。チカにベストアシスト賞を進呈したくなる一冊である。