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キング見落としシリーズ、その……いくつだっけな(笑)? 21歳の青年が、大学の夏休みに《ジョイランド》なる遊園地で働くことになる。そこで彼が体験し成長していく姿を、老境の彼が回想する形で描いた作品。ミステリーやスーパーナチュラルの要素もあるが些細なもので、青春小説として楽しんだ。解説にもあるように、『スタンド・バイ・ミー』や『シャイニング』を思い出した。
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なんかこの人いつもこんな感じじゃないか、と何冊も読んだわけじゃないのに言いたくなるような展開、なんだけどもいい感じに引き込まれていくのであった。
割と爽やかに描かれてるけど、青春の1ページとして済ませるにはかなり激しい話で、こりゃもうトラウマものなんだけど、うまい感じでまとめていて、そこらへんは主人公もタフだ。そして童貞を捨てたらすっかり上手くやるようになってて、そこらへんもやりおるな、お主、て感じ。
まぁでも一番いけてたのはワンコだワンコ、やっぱ可愛いくて賢いってワンコ最高よね。
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2021.1.5
うーん。スタンドバイミーって感じ。
ただ、2/3読み終わっても面白く感じられなくて、結局最後まで面白いと思えなかった。
翻訳が微妙。デヴが犯人に辿り着く過程や、何度も出てきた「白じゃない」の意味が曖昧。(後者に関してはわたしが見落としているのかも。飽きてきてババーっと読んでしまったから笑)
唯一、昔ながらの遊園地をマイクと一緒に巡っているところは、なんだかノスタルジックな雰囲気を味わえて良かった。
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2013年刊。
ジャンルは「ミステリー」ということらしい。が、半ばほど読んでもなかなかミステリーらしさは無い。60代の筆者が21歳の頃の夏から秋にかけての体験を回想し、叙述していく内容は「青春小説」である。大学生の彼がジョイランドという遊園地で働くのだが、その遊園地の中の幽霊屋敷には本物の幽霊が出るという。その幽霊の正体は以前そこで殺害された女性の霊なのだそうで、彼女を殺したのは誰か、ということが本作の「ミステリー」としての主眼となる。幽霊が出てくるからいつものキングのホラーとしての色彩も濃いはず。
しかし、このエピソードは当面、物語の核の部分には無くて、150ページを超えてもまだまだストーリーは青春物語であって、失恋の痛手やら、夏に出会った人々との交流が丁寧に描かれ続ける。従って小説の大半は「怪奇」や「謎」への求心力に支えられているわけではないのだが、ぐいぐいと読ませるキングの語りは本当に見事だ。
ここには、キング特有の一人称独白体の魅力が溢れている。そのモノローグ体は典型的なアメリカ人の語りを示しているようにかねてから私は感じていた。モノローグの肉薄性、リアルさ、重さという点で共通性を感じるのはドストエフスキーだ。ドストエフスキーの小説内のモノローグも、私は当初ロシア人の典型的な語り口なのかなと感じていたが、よく考えたらそれはロシア人の普遍的な語りというよりも、やはりドストエフスキー個人のそれなのだった。キングの場合もやはり、アメリカ人の普遍というよりも、キング個人の体質が現れているのだろう。
モノローグの魅力に加えて、順次描かれていく小エピソードの配列の仕方が、「読ませる小説」特有の巧みな技に則っているのに違いない。読み進むにつれて引き込まれ、読者は語る主体に導かれて彼の経験を一体となって経験していくのである。
ようやくミステリーらしくなっていくのは小説の残り3分の1くらいになってからだ。徐々に過去の殺人事件についての謎解きに引き込まれ、同時に「幽霊の出現」というキングらしい超自然現象のカラーも明確になっていく。クライマックスは実にサスペンスフルだ。最後の最後に、ああ、これはミステリーだったと納得させられる構造になっている。
ミステリーであり、ホラー要素もあるが、読者の記憶に残る全体的な印象やエピソードはやはり、みずみずしい青春小説のそれである。それは輝かしく、同時に痛みを伴っており、切実で愛おしいような追憶だ。
これはスティーヴン・キングの傑作だと思う。
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アメリカの作家スティーヴン・キングの長篇ミステリ小説『ジョイランド(原題:Joyland)』を読みました。
『スタンド・バイ・ミー―恐怖の四季 秋冬編―』に続き、スティーヴン・キングの作品です。
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巨匠が放つノスタルジックで切ない青春ミステリー
遊園地でアルバイトを始めた大学生のぼくは、幽霊屋敷に出没する殺人鬼と対決する……もう戻れない青春時代を美しく描く巨匠の新作。
1973年。作家志望の大学生であるぼくは、恋人との距離を縮めることのできない鬱屈を抱えながら、夏休みに遊園地「ジョイランド」でアルバイトをはじめた。
乗り物の運転から園内の清掃まで、観光シーズンまっただなかの遊園地での仕事は、多忙ながらも楽しかった。
しかし気がかりもあった。下宿屋のおかみから聞かされた、4年前に遊園地の幽霊屋敷でかつて喉を切られて死んだ女の子がいたという話。
調べてみると同様の事件が何件も発生していることがわかった。
仲間とともに情報をあさった結果、事件の前後に移動式の遊園地が現場近辺に来ているということだった。
そしてぼくは、ひょんなことから殺人鬼の正体を告げる事実を知った。
冬期閉園が近づくジョイランド。
殺人鬼に捕らわれた車椅子の少年を救うため、ぼくはやつとの対決を決意した。
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2013年(平成25年)にミステリー専門の出版社からペーパーバック・オリジナルで刊行された作品で、アメリカ探偵作家クラブ賞最優秀ペーパーバック部門の最終候補作となった青春ミステリ… 回想シーンの描き方やGS&WM鉄道で雌ジカと遭遇するシーンが使われる等、『スタンド・バイ・ミー』に通じる、切ない青春小説の味わいが漂う物語でした。
1973年、大学2年生の夏、「ぼく」ことデヴィン・ジョーンズは付き合っていたウェンディ・キーガンの気持ちが一方的に離れて行っていることに気付き、鬱屈を抱えながら、大学から離れた遊園地ジョイランドでアルバイトを始める… そこで出会うアルバイトの同僚トム・ケネディ、エリン・クックや彼らを束ねるジョイランドの従業員レイン・ハーディ、ゲイリー・アレン、エディ・パークス等々、遊園地を訪れる客、下宿の人々と交流をするなかで次第にウェンディのことを忘れていくデヴィン、、、
そんな中、遊園地の幽霊屋敷・ホラーハウスに現れるという、そこで殺害された少女リンダ・グレイの幽霊の噂を聞いたデヴィンはその謎に惹かれ、下宿と遊園地の間にある浜の脇の館に住んでいる体の不自由な少年マイク・ロス、彼の母アニー、飼い犬のマイロも着実に謎に巻き込まれていくことに……。
スティーヴン・キングの作品なので、ややホラー要素も含まれていましたが、物語全体としては切なくて甘酸っぱい青春小説の要素が強く、そこに様々な土地で殺人を犯しているサイコキラーが絡んでくることによりミステリ要素も絡んでくる感じ… 恋愛の不安と痛み、人と人の別れや喪失も巧く織り込まれていますが、読後に爽やかさも感じる展開で、余韻に悲しさを爽やかさで包むことで生まれる独特の甘酸っぱさが広がる作品でした、、、
ステ���ーヴン・キングって、ホラーのイメージが強いですが、少年や青年が大人になるまでのエピソードや若者の恋愛や青春の甘やかな痛みを描くのがとてもう巧い作家だと感じましたね。
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「クリスティーン」とか「IT」とか、キングの青春ものは大好物なんだけど、本書は、主人公の失恋と友情を描いた前半部分と、後半のミステリー部分がはっきり分かれてしまって上手く融和していない気がした。
マイクとアニー、それにエディをもっと早く表舞台に出して、彼らと主人公との交流を濃密に描いたほうがラストの感動が大きくなったんじゃないかなあ。主人公が彼女に振られる顛末なんてプロローグで十分。
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青春とミステリーが歪なバランスなので、名作!という訳にはいかないけど、とても楽しく読めた。過去の輝きを描くときのキングはいつも冴えてる。終盤の「見世物筋」の矜持には泣けました。
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洋書は物語に入るまでに時間がかかるものが多いけれど、すぐに物語に入ることができるのは、さすがはキングの小説でした。
キング得意のノスタルジーな雰囲気にミステリーと、幽霊を掛け合わせたようなお話。楽しめました。