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紙の本
猫又と百鬼夜行
2024/01/06 19:22
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投稿者:DB - この投稿者のレビュー一覧を見る
遠野の妖怪たちと暮らす小説家の緒方が出会った事件を描くシリーズです。
「迷家荘」という家族経営の旅館に住み込みで働くことになった緒方は、河童や座敷童子たちと同居しながら遠野で起きた出来事を小説にしていた。
趣味を仕事にして温泉三昧という生活ですが、子供の頃は八歳の時に両親を事故で亡くして親戚の家を転々とするという境遇だった。
小学校時代に四年ほど生活した伯父夫婦の家を久しぶりに訪れると、その家には律と名乗る座敷童子がいた。
緒方を「ニセモノ」と呼んで敵意むき出しの律だったが、緒方にはまだ四十年くらいしかたっていない家に座敷童子が住み着いていることの方が謎だったようです。
そして翌日、遠野の旅館に泊まりに来た伯父夫婦に律もくっついてやってきたのだ。
そんな律が引き起こす騒動と、伯父夫婦との壁を取り払うことができた主人公の話を織り交ぜて描いていきます。
今回新たな妖怪として猫又が登場するのですが、天寿を全うした飼い猫が飼い主の側にいたいからと猫又になってしまったようです。
我が家の猫にも常々「二十歳まで長生きして猫又になってずっとそばにいるんだよ」と言い聞かせている身としては羨ましいのですが。
神使のなりてがいないと困っている妖孤にスカウトされてがっつりスパルタ教育を受けているのは微笑ましい。
そのおかげでお守り役の妖孤からしばし解放された化狸の空太は、座敷童子と炬燵でまったりしています。
化狸の妖術で毛皮マフラーに変身するとかどういう設定なんだか。
新年になって雪の降り積もった遠野ですが、迷家荘に「ぬらりひょん」という客人が逗留する。
鬼や落ち武者、土蜘蛛といったお供を引き連れて百鬼夜行の様相ですが、もともと遠野に住む六角牛王や卯子酉、半狼半人の三峰は警戒モードだ。
それに「さとり」の能力を持つ中学生の静香も加わり、迷家荘の妖怪指数はマックスに。
ぬらりひょんの目的は意外なものだったが、百鬼夜行は楽しすぎる祭りの果てに橋を渡っていった。
遠野の地が妖を呼び寄せるのか、雰囲気が整っているから妖怪を見ることができるのか。
部屋で座敷童子に会うのはまだいいが、温泉で河童に遭遇はしたくないかも。
夜中に起きたら宴会場で六角牛王や三峰が酒を飲んでいた日には幻覚剤でも飲んだかと思うだろう。
それでも怖いもの見たさで迷家荘に連泊したい、そんな気になる話だった。
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